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看病されるはなし。


・ケージインラブの魔術師
※瀬戸氷河
津川たちが出ていって、部屋には俺と茅野の二人きりになった。
すっかり毒も抜けて落ち着いてしまったので、ベッドでただ寝るだけってのは辛い。
話題を用意しようとしたら、先に茅野から話しかけられた。
「氷河さんは、いつもあの人たちといるわけじゃないのね」
「恭二たちのことか?」
「ええ。津川さんって方は始めてみたわ」
「あの人は魔物討伐もあまりしない大人しい人だからな」
それを聞いた茅野は微笑んだ。
「それなら、本部は皆進んで人殺しというわけではないのね。よかった……。」
「魔物討伐の技術はあるから、殺そうと思えば出来るけどな」
「いいのよ。大事なのは心だから。」
津川さんの存在で、茅野の本部を見る目が少しでも変わってくれればいいのだが。
「ねぇ、氷河さん。手を、繋いでみてもいいかしら?」
「んなの何度かあったと思うけど……ほら」
布団の間から手を差し出す。
茅野は、俺の手を取り静かに重ねた。
茅野の体温を感じる。
「氷河さんの体温、冷たいですよね……」
「氷魔術とかのせいかな。よく使ってるから」
「そんな単純な理由かは分からないですけど……それでも触れれば生きているんだな、と実感できます。」
それだけで十分、と茅野は呟く。
「……悪かったな、こんなことさせちまって」
「いえ、むしろ氷河さんを助けられてよかったから、いいの。」
「俺は、茅野に助けられてるけどな……」
彼女の力はもちろん、考え方にも救われたことがある。
きっと彼女にとっては当たり前だろうから、自覚はしてないだろう。
「私はなにもしていないわ。貴方の力に守られているだけよ」
「……お前ならそう言うと思った」
二人してくすりと笑う。
急に茅野が指を絡めてきた。
「氷河さん、無茶しないで。すごく、心配したんだから……。」
「茅野……ごめん、な」
「氷河さんがそういう性格なのは、知ってるけど……不安なのよ」
「安心してくれ、ってのも信じられないよな」
「ええ、無理ね」
俺からも指を絡めると、茅野がびくりと驚いた。
「茅野を守るために死なない、ってのはダメか?」
「貴方には優先すべきがいるでしょう?」
そういわれちゃ叶わねぇな。
「はは……似合わねぇのな、俺にキザっらしいセリフってのは」
「ええ。その気になりそうになるから、やめてほしいわね」
茅野から手を離した。
すぐにドアの前に向かう。
「なにか飲み物を用意するわ。待ってて」
「ああ」
小さな声で呟やかれる。
「私にもっと勇気があれば、大胆なこと出来たんだろうな……」
「え?」
「な、なんでもないわ!」
茅野が恥ずかしそうに、顔を赤らめる。
「氷河さんは……届きもしないから、ずるいのよ」

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別名、氷河が好きだけど報われないーズの話。

手を繋ぐだけで頑張った茅野。
可愛い恋かよ!?
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