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眠り姫と小人。

・エンドスリープの魔術師
※柊水城
俺に一本の電話がかかってきた。
相手は柊神社の図書倉庫管理人、夜桜だ。
『もしもし、柊さん?』
「なんだ?」
『貴方に回収してほしいものがあるんですよ。』
「……回収?」
夜桜はくすりと笑う。
『そちらの研究熱心な治癒術師ですよ。』
「氷河、か」
夜桜は面倒な言い回しが好きな奴だ。
だから、本当はあまり会話をしたくない。
『ええ。我々の住む森で倒れていましてね。魔術にかけられたのか目覚める気配がないのですよ。僕らが運ぶのも嫌なので、取りに来てください』
またあいつは魔術師に襲われたのか。
しょうがない奴だ。
あいつにも聞こえるようわざとらしくため息をつき俺は言った。
「分かった。回収するから、氷河にかけられた魔術の解析をしろ」
『分かりましたよ。失礼しますね。』
通話が切れた。
全く俺も暇じゃないんだがな……。
さて、どうするべきか。
俺一人で氷河を運ぶのは嫌だ。
運ばせる奴が必要になるが、誰に頼めばいいのやら……。
「柊先輩、どーしましたー?」
依鶴が俺に声をかける。
こいつはダメだ。
仕事がかなり残っている。
「手を動かせ、依鶴」
「あ、はい」
大人しく作業に戻る依鶴。
誰も思い浮かばなかった俺は諦めてあいつを呼ぶことにした。
氷河バカ、榎本恭二だ。

氷河バカは、事情を話すとすぐにでも行こう!と俺を引っ張り出した。
恭二は氷河が関わるとうるさいやつだ。
森の中を歩きながら、恭二は俺に話しかける。
「氷河が目覚めないだなんて、なんでだろーな?」
「当然、魔術師の魔術だが、昏睡させる魔術は聞いたことがないな」
「んー、氷河が目覚めなかったら嫌だな……」
「それは俺も困るんだよ」
「なんで?」
「俺が治癒術師をやらされるからだ」
「いいじゃん、やれば」
「嫌だから逃げたんだ。ほら、ついたぞ」
そういえば恭二をこの倉庫につれてきたのは初めてだ。
このバカが、本なんか利用するはずもないのだが。
扉を開けると、安堵した様子の夜桜が迎えてくれた。
「あぁ、よかった。やっと回収に来てくれたんですね」
「この場に残階以外がいるのがそんなに嫌か?」
「嫌ですね」
「さすが親父が見込んだ管理人だ」
目をはなすと恭二が真っ先に眠った氷河の元に行っていた。
遅れて俺も氷河の様子を見る。
「死んだように眠ってるな。」
「ん……とりあえず、本部に運ぶね」
恭二は簡単に氷河をお姫様だっこし、この小屋を出た。
あいつが吸血鬼で助かった。
ばか力はあるな。
俺は、夜桜に言う。
「かなり高度な魔術だろ」
「そう。我々でも解析をしてみたのですが、駄目ですね。大本を倒すしかないかもしれません。」
それはこいつを眠らせた魔術師を殺すって事だ。
いちいち居場所を突き止めるのが忙しくて嫌になる。
「出来るだけ、それ以外の手段を使いたい。あいつの目が覚めれば、楽に追い詰められる。」
それならば、と一冊の本を俺に渡す。
渡されたのは童話の眠り姫だ。
「王子様でも探してみては?」
「……荒れるぞ」

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次回、荒れます。


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