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眠り姫と勘違いの王子様。

・エンドスリープの魔術師
※津川朋康
氷河が眠ったまま目覚めないらしい。
恭二が氷河を部屋まで運んでベッドに入れた。
それを聞いて心配になった俺や丙、芳示に雨境まで部屋に押し掛けた。
「恭二、どうなってんだ?」
芳示が様子を恭二に聞く。
「分かんないよ。一応生きてるのは分かる。けど、何をしても目覚めない。」
「氷河……」
俺も氷河の様子を見る。
死んだように眠っていて、何だか綺麗だ。
見たくない美しさ。
「こーやって黙ってれば氷河は美人なのになー」
雨境が皮肉げに言う。
いつも思うけどこの人は素直じゃないよな。
「そうだね……けど、ずっとこのままだと……嫌だな……」
丙が軽く氷河の髪に触れる。
気を使われている氷河の髪は流れるように綺麗だ。
「お前ら」
さらに柊さんが入ってきた。
彼は一冊の本を俺たちに渡した。
その表紙には眠り姫とある。
「目覚める方法はまだ分からない。だが、試してみる価値はあるだろう」
「ね、眠り姫かぁ……」
氷河に言ったら殴られそうだ。
吸血鬼に姫君と呼ばれるだけで怒るのに。
「じゃ、こっちでこっちでやることがあるから、頼んだぞ」
すぐに柊さんは出ていってしまった。
雨境がぱらぱらと中身を読む。
「……くくっ」
「ちょっとなに考えてるんですか」
読んでいた雨境がにやりと笑う。
怪訝に思った俺が聞くと、雨境はあるページを見せた。
それは眠り姫が目覚めるシーンだ。
王子のキスで姫が目覚めるという女の子なら憧れそうな場面だ。
「氷河に王子様がいるとしたら、誰なんだろうな?」
雨境は、この場にいる全員に聞こえるように言った。
すると三人はぴたりと動きを止めた。
「そんなの、俺に決まってんじゃん!」
「だったら、キスで目覚めるかもよ?」
恭二を唆す雨境。
芳示は呆れてため息をつく。
「そんなことで目覚めたら苦労しねぇよ……」
「いや!眠り姫ってヒントはこういうことかもしれない!」
恭二は氷河に軽くキスをした。
当然なんだけど、目覚めない。
「……駄目だねぇ、もしかしたら王子様じゃないのかなぁ?」
「氷河の王子になれない……だと……」
物凄く落ち込む恭二。
あ、こうやって雨境は略奪する口実を作っているのか。
ろくでもない猫だな。
「恭二、どけ。」
今度は芳示が恭二をどかして、氷河の前にたつ。
「俺も、試してみたくなった」
芳示まで氷河にキスした。
当然なんだけど、目覚めない。
「……わ、わかってんだよ。魔術にかけられてんのに、こんな童話みたいな方法で目覚めるわけないってな!」
なんだか恥ずかしそうだ。
今度は丙がするのかな、と思って待っていたが、丙は首を横に振る。
そこで雨境が氷河の前にたつ。
「いいか、見てろよ?これで俺の略奪が完成する……!」
雨境も氷河にキスした。
当然なんだけど、目覚めない。
「やっぱだめか」
「騙したな、雨境!」
恭二が雨境に怒る。
騙されてたのかよ、とあきれたツッコミをする俺。
ふとずっと黙っていた丙が呟いた。
「……氷河、守ってあげるからね」

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この話の主役は丙です。



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