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ファンタジーノイズワールドの4話です。

「あ、雛~」
波乃が誰かを見つけたのか、声をかける。
波乃が声をかけたのは、電波質の中でも有名人、祭在雛だった。
祭在雛はこの学校の神様とまで呼ばれる電波質。
彼女に触れるだけで、しばらく不幸がなくなるというなんとも不思議な話である。
だが、その能力のせいか、祭在さんはたくさんの人に寄り付かれた。
それが嫌になり、あまり学園に来なくなっている。

祭在さんは波乃に軽く触れると、やはりね、と呟く。
「波乃。厄が溜まってるわね。そんな事だろうと思ったもの。来てよかった。さぁ、波乃。私が貴方の不幸を引き受けるわ。」
祭在雛は何故か波乃の事を気に入っている。
学園に来なくなった後も、波乃を気遣い来る事もしばしばある。
波乃は祭在雛の手に触れる。
第三者の目線からは、何が起こったか分からない。
だが、触れてすぐに波乃は満足そうに笑う。

「ありがとうございます、雛。」
「で、波乃。彼は誰?」
祭在さんは俺のことを指差す。
波乃は俺の紹介をする。
「彼は存原幽夜。私のお友達です。」
祭在さんは興味がなさそうに答えた。
何を思いついたのか、波乃がにやにやと笑う。
「あ、幽夜も如何です?私の神様を貸してあげます。」
「私の、って随分な言い方だな。」
俺はぼそりとツッコミを入れた。
そのやりとりを見て、くすくす笑った祭在さんは俺に手を伸ばす。
「あら、波乃が認める人なのね。なら、いいわよ。さぁ、貴方も手を差し出して。私が貴方の厄を引き受けるわ。」
ゆっくりと、祭在さんの手に触れる。
触れた途端に、身体から何かが抜けていく感覚がした。
これが、不幸を引き受けるという事か。
「貴方…量がおかしい…?いや、私が余計な物を吸い取っている…?」
祭在さんの表情が苦しそうになる。
すぐに、俺は祭在さんから手を離す。
祭在さんはがくり、と崩れ落ちた。

祭在さんの元に駆け寄る波乃。
苦しそうに立ち上がると、またふらりとよろける。
「雛!?幽夜に何が?」
「彼は…おかしい…。さすが波乃が認めた人ね。早退させてもらうわ…」
祭在さんは教室を出ていった。
波乃は不安そうに祭在さんと俺を交互に見つめる。
「…幽夜」
波乃はか細い声で俺を呼ぶ。
「何だ?」
「いえ、何でもありません。」
波乃は不安な表情のまま、自分の席へと戻る。

俺の世界が奇妙な音を立てた。
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