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ファンタジーノイズワールドの5話です。

俺と波乃は、放課後になっても帰らずに学園に残っていた。
波乃の友人である亜出風遊浦に巻き込まれていたのだが、その発端である彼女は用事があるから少し待ってろ、と教室を出て行ってしまった。
教室の隅っこでぼんやりしていた闇枝崩欠が呟く。
「あれ。私は何していたのかしら…。」
それを隣で聞いた波乃が笑って答える。
「不思議にぼんやりしていましたよ~。」
「確かに意識が飛んでるように見えた。大丈夫か?」
俺もそれに続いて答える。
「……そう。ならいいわ」
闇枝さんはそれだけ言うと、またぼんやりとどこかを見始めた。

「…人って」
ぼんやりしていた闇枝さんが突然口を開く。
俺は驚いて、闇枝さんを見つめる。
「何で、一人じゃいられないのかしら。」
「それは…楽しみが欲しいからだと思いますよ」
闇枝さんの疑問に波乃が答える。
闇枝さんは、そのまま話し続ける。
「一人でも楽しみってあると思うの。私って目の前のことしか見れてないのかしら。」
「一人でも悪くないと思いますがね。」
俺が答えると、闇枝さんはくすりと笑う。
「でも、広い方がいいっていうわよね。」
「常識的にそう言われてるだけでしょう。」
波乃が言うと、闇枝さんは吹っ切れたのか、大声で笑った。
「そんなものなのね。私はやっぱり狭いのね。」
「そんなことないですよ。貴方が思っているよりまともです。」
波乃は意味深なことを話す。
俺には理解できなかったが、闇枝崩欠にはわかったようで、ありがとうと一言言った。
そして、彼女はふらりと帰った。

「すまん!待たせてしまって悪かった!」
亜出風さんが謝る。
波乃はふわりと笑って、構いませんよ、と言った。
「じゃ、俺は帰るぜ。」
鞄を抱え出て行こうとしたら、亜出風さんに止められた。
「おいおい、ちょっと待て。帰り道はほぼ一緒だろう?」
「一緒に帰りましょう?」
波乃が俺に手を伸ばす。
「いや、波乃はいつも残っていなかったか?」
「今日は平気です。帰りましょう。」
「分かったよ。」
俺は波乃の手を取った。
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