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コラボ補足編。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
零雨様に書いて頂いた噂の補足編。

世界の中心の話、中編。



ミス研を訪れると、黒髪ロングの美少女が優雅にコーヒーを飲んでいた。
「ん?あぁ、氷河か」
「よう、コーヒー飲んで良いか?」
「構わないよ」
黒髪の美少女、黒塚愛裕は入ってきた俺に気が付くとカップを置いて微笑んだ。彼女は俺の取って付けたような理由には触れず、立ち上がって白いマグカップにコーヒーを入れてくれた。
「――それで。私に話せる事だったら協力するけれど?」
彼女は俺がソファに座ったのを確認すると、楽しそうにそう言った。
「お見通しかよ」
「いや。何故だろうね、今回は全然分からないんだ。いつもと同じ平和な日常なのに、貴方は動いてる」
「その日常の常識が根底から違うんだよ」
「ふうん?」
マグカップを俺の前の机に置いた愛裕は俺の正面に座った。俺はお礼を言いつつ、彼女の容姿を眺めてみる。艶のある黒髪、眠そうにも見えるたれ目、整ったスタイル。そつなく平均以上の見た目は高嶺の花、という訳ではなく庶民的な物も感じさせ、男からの告白も多いだろうと思われた。
「常識、ねえ……私の知識内のファンタジーにはそういった能力は思い付かないかな。と言ってもたかが知れているんだけど」
「いや、いいよ。サンキュー」
俺は調査の休憩も兼ねてコーヒーを啜る。これはいつもと変わらない味だ。
「愛裕さん!」
外が騒がしくなったかと思えば、室内に金髪の青年が入ってきた。恐らく小城だろう。
「騒がしいよ、リード。お客がいるんだから静かに出来ないの?」
「あ、すいません。って、氷河さんか」
愛裕に怒られると小城の金のアホ毛がしょんぼりとなるが、俺を見てあからさまにガッカリした顔をされた。
「なんでそんなガッカリしてるんだよ」
「お客っていうか、遊びに来た人じゃないですか」
「失礼なヤツだな……」
愛裕は少し考えていたようだが、また口を開いた。
「もし、赤空先生に心当たりが無いようなら、教師関連ではないよ」
「そうか」
「あとは……心当たりが多すぎる。世界の常識を根本から変えたんだとしたら、かなり強力な能力者――有名人の筈なんだが、逆にそういう能力を持つが故に全く目立たない人だっている」
「何の話ですか?」
「推理さ。客だって言ったろう?」
愛裕は口にコーヒーを運び、ぺろりと上唇を舐めた。
「もしくは、君はパラレル世界にトリップしてしまったのかもしれない。もしそうなら、能力者そのものがここにはいないかもしれないし、助けの迎えを待つしかないね」
俺はコーヒーを飲み干して、立ち上がった。
「コーヒーありがとな」
「私も一緒に助けに着いていってあげたいんだけれど……今日は生憎此処を離れられなくてね」
「いや、いいよ。いつも一人でやってるしな」
申し訳なさそうに言った愛裕に俺は手を降って返す。笑ってみせると、少し彼女の顔が赤くなって俯いた。リードが横で煩くなったが無視する。
「探偵頑張れよ」
「うん。氷河も頑張って」


ミス研を出ると、鈴砂とばったり出会った。
「あ、氷河さん。こんにちは」
鈴砂はそう言って微笑んだ。俺は思わず身構えてしまった。何故なら相手の姿は普段と同じだったからだ。制服さえも。
「なんですか、今日は男装だからってそんなに身構えなくったっていいじゃないですか」
鈴砂がしょんぼりした声をあげたので、慌てて謝った。そうだ、男装だ。声も容姿も中身と同じく創ってるんじゃないか。俺は知らなかったはずなのに、何故か前から知っていた様に納得した。
「それで?今日は何を探しているんですか?零子に聞きましたよ」
しょんぼり顔は演技だったらしく、今度は悪戯っぽく笑う鈴砂。
「さあな」
「さあな、って」
「俺にも分かんねえの」
「そうですか。まあ、頑張ってください」
そう言ってあっさりと去ろうとした鈴砂を俺は思わず呼び止めた。引き留めるつもりは無かったが、あまりにも淡白だったのでつい引き留めてしまったのだ。
「なぁに?氷河さんが呼び止めるなんて珍しいですね」
振り返った鈴砂はニンマリと笑っていた。俺は鈴砂のキャラ作りの罠にハメられていたことに気が付いた。
「いや……あー、なんでもねえ」
「素直じゃあ無いですね」
そこが良いんですけどね、と小さく呟きつつしっかり俺に聞こえる声で言う彼女。……ギャルゲーの主人公にでもなった気分だ、なんだこのあざとさは。
「……何か、言ったか?」
「いえ、何も。せっかくなので僕も着いていきますよ」
鈴砂は生徒会だし、何か役に立つこともあるかもしれない。俺は頷いて了承した。


「……ん」
適当に校舎をぶらついていると、鈴砂が何かに気が付いた。
「どうした?」
「杏津がいる」
彼女が何もない所に手を降ると、俺の携帯が鳴った。宛先は哀川杏津(ここで参津のことだと分かった)からで『今行くから待ってちょん☆』と書いてあった。つーか何処にいるんだよ。
「やや、おまたー」
数十秒後、モデルガンと思われるスナイパーライフルを背負った杏津が現れた。
「あんなところで何してたの?」
鈴砂が杏津に聞くが、あんな所って何処だ。一体何処に居たんだ。
「えへ、雨せんせぇを守ってあげてたの」
「ストーカーじゃねえか!」
「ひっどーい、愛のカタチだよぉ」
「そんなに好きなら会いに行けば良いのに」
鈴砂が言うことは最もだったが、杏津は顔を赤らめてモジモジする。
「や……だってぇ。恥ずかしい……」
「馬鹿言ってないで行くぞ」
杏津の腕を引っ張って理科研に行く。さりげなく反対の手を鈴砂が握ってきたのは無視した。
「失礼します」
鈴砂がドアをノックして理科研に入る。が、中には熊崎しかいなかった。
「瀬戸と鈴砂と……哀川か」
熊崎は随分な美形になっていた。その綺麗な顔が杏津を見た途端シワが寄った。
「雨ならいねーぞ」
「あ、そーですか……へへ」
杏津はへらへらと笑っていたが、あからさまに肩を落としてがっかりしていた。そんな様子を見て、熊崎は溜め息をつく。
「あのなあ……理科研に毎回来られるのも困るが、遠くから見られるのはもっと困るんだよ」
「す、すんませェん……」
「お前が一喜一憂すんのはどーでもいいが、雨がお前の心配して外を見るのがメンドクセー」
「……へ?」
杏津がキョトリとした顔になる。杏津のストーカー行為は雨顧問先生にバレていたということか。
「次からはストーカーは止めろ、特に雨天中止だ。普通に入ってこい」
「え、え?」
「うわー、熊崎先生イッケメーン……」
「うるせーぞ鈴砂」
鈴砂の茶化しに嫌そうな顔をする熊崎。どうやら熊崎は杏津のストーカー行為を止めたかったらしい。確かに雨降ってる時に外の木の枝とかから見られてたら風邪引かないか心配になるよな……それがストーカーでも一応生徒なんだし。
「もしかして、これって!熊せんせぇ公認ってことピョン!?」
「どう解釈したらそうなるんだっつーの」
喜んで跳び跳ねる杏津とやれやれと眉間を押さえる熊崎。
「こうしちゃいらんない!雨せんせぇ探しに行こ!朱ちゃんも一緒ポヨ!」
「えっ!僕も!?」
「モチのロン!氷河、付き合ってくれてありがとちゃーん!」
ぴょん、と大きく一度飛び上がると杏津は鈴砂に抱き付き、俺に手を降ると鈴砂と一緒に理科研を出ていってしまった。出て行き際に鈴砂が「氷河、頑張ってね」と言っていた。
「…………」
「哀川のパンツの色」
「スパッツ履いてた」
「外道だ」
「だな……って、何の話だ!このセクハラ教師!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
氷河ハーレムじゃないですか、これ。
ハーレムが出来ても氷河は狼狽えないよね。
女性慣れしてるんですよ。


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