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「くーまっ!」
そんな声が外から聞こえた。すると、熊崎は瞬時に立ち上がると座っていた椅子を理科研の入り口に向けて蹴り飛ばし、合気道の構えを取った。俺は熊崎の机のすぐ隣にいたので、かなり驚いた。
バァン!と理科研の扉と一緒に椅子が吹き飛ぶ。
「熊ァ……この扱い、酷いんじゃねーのォ?」
その蹴飛ばした人物は、赤毛メッシュの入ったショートのスーツ姿の男だった。随分身長が高く、ひょろ長い。やや低めだががっしりとした熊崎とは大違いだ。
「オメーだって理科研の扉を毎回壊しやがって……よく言う」
俺はその堂々とした立ち振舞いで誰なのかすぐに分かった。
「赤空先生……」
「赤空葉茎様と言え。なんだ、氷河も居るのか」
「居ちゃ悪いかよ」
「いや?教師が嫌いなお前がここにいるのが珍しいと思っただけだ」
案外まともな返答をした赤空に俺は少しホッとした。が、それも束の間の事であった。赤空が俺をジロジロ見ながら近付いてくる。すると、突然間合いが近付き、気が付いた時には目の前に熊崎の白衣があった。
「うはは、熊何やってんの?」
「そりゃあこっちの台詞だっつーの。オメーこそ瀬戸に何してる」
熊崎と赤空のそんな会話の後、赤空が後ろに飛んで下がり、また距離が置かれる。そこで俺は赤空の攻撃を熊崎が庇ってくれたのだと理解した。
「違和感感じちゃったから?殴ってみたくなっちゃったー!うはは!」
思ったより酷い理由だった。
「しかしまあ……なんだ」
熊崎は疲れた様にため息をついて隣の机の椅子を引っ張って座る。
「今日の瀬戸が何か変なのは確かに俺も感じた」
「だろ?」
赤空は今度は普通に近付いてきた。俺は自分では特に変なところなど無いと思うのだが。むしろ、おかしいのは周囲なので、逆に俺に対して違和感を感じているのかもしれない。
「氷河」
「なんだ……、っ!?」
唐突に。
赤空にキスをされた。
「ん、んー!」
もがいても手で頭をがっちり固定されてしまっているので逃げられない。もう片方の手は俺の右手を掴んで反撃を防いでいる。この数瞬で隙をつくのがどんだけ上手いんだよ!
「……はぁ」
隣で熊崎がため息をつく声が聞こえた。嫌なら止めさせろよ!
そうこうしてる間にぬるりと口内に舌が入ってきて、ゆるゆると俺の舌を弄ぶ。妙に上手いのが腹立たしい。
「っ、はー」
ようやく唇が離れると、赤空はチロリと舌を出して怪しげな笑みを浮かべる。それにゾッとして俺は袖で思いっきり口を拭いた。
「つれないなー」
「男からキスされれば誰だって嫌だろ。特に空になんかヤられたら逃げ出したくもなる」
冷静に熊崎が俺の言葉を代弁してくれるが、助けてくれなかったのは恨む。
「クソッ、覚えてろよ!」
これ以上何かやられるのもたまらないので、俺は理科研から逃げ出した。アイツらは確実に無関係だ、そう信じたい。
――と。
俺が出るのを待ち構えていたかのように。
「氷河」
女が立っていた。
「やあ、『せとひょうが』。この前ぶりじゃあないか?」
水色の髪で、眼鏡を掛けた、釣木学園の生徒。ひょろりと背が高く、嫌な感じのする作りっぽい笑顔を浮かべていた。
「お前は……」
「自分は『世界』だよ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
最強が男になると最強で横暴にみえる。
そんな声が外から聞こえた。すると、熊崎は瞬時に立ち上がると座っていた椅子を理科研の入り口に向けて蹴り飛ばし、合気道の構えを取った。俺は熊崎の机のすぐ隣にいたので、かなり驚いた。
バァン!と理科研の扉と一緒に椅子が吹き飛ぶ。
「熊ァ……この扱い、酷いんじゃねーのォ?」
その蹴飛ばした人物は、赤毛メッシュの入ったショートのスーツ姿の男だった。随分身長が高く、ひょろ長い。やや低めだががっしりとした熊崎とは大違いだ。
「オメーだって理科研の扉を毎回壊しやがって……よく言う」
俺はその堂々とした立ち振舞いで誰なのかすぐに分かった。
「赤空先生……」
「赤空葉茎様と言え。なんだ、氷河も居るのか」
「居ちゃ悪いかよ」
「いや?教師が嫌いなお前がここにいるのが珍しいと思っただけだ」
案外まともな返答をした赤空に俺は少しホッとした。が、それも束の間の事であった。赤空が俺をジロジロ見ながら近付いてくる。すると、突然間合いが近付き、気が付いた時には目の前に熊崎の白衣があった。
「うはは、熊何やってんの?」
「そりゃあこっちの台詞だっつーの。オメーこそ瀬戸に何してる」
熊崎と赤空のそんな会話の後、赤空が後ろに飛んで下がり、また距離が置かれる。そこで俺は赤空の攻撃を熊崎が庇ってくれたのだと理解した。
「違和感感じちゃったから?殴ってみたくなっちゃったー!うはは!」
思ったより酷い理由だった。
「しかしまあ……なんだ」
熊崎は疲れた様にため息をついて隣の机の椅子を引っ張って座る。
「今日の瀬戸が何か変なのは確かに俺も感じた」
「だろ?」
赤空は今度は普通に近付いてきた。俺は自分では特に変なところなど無いと思うのだが。むしろ、おかしいのは周囲なので、逆に俺に対して違和感を感じているのかもしれない。
「氷河」
「なんだ……、っ!?」
唐突に。
赤空にキスをされた。
「ん、んー!」
もがいても手で頭をがっちり固定されてしまっているので逃げられない。もう片方の手は俺の右手を掴んで反撃を防いでいる。この数瞬で隙をつくのがどんだけ上手いんだよ!
「……はぁ」
隣で熊崎がため息をつく声が聞こえた。嫌なら止めさせろよ!
そうこうしてる間にぬるりと口内に舌が入ってきて、ゆるゆると俺の舌を弄ぶ。妙に上手いのが腹立たしい。
「っ、はー」
ようやく唇が離れると、赤空はチロリと舌を出して怪しげな笑みを浮かべる。それにゾッとして俺は袖で思いっきり口を拭いた。
「つれないなー」
「男からキスされれば誰だって嫌だろ。特に空になんかヤられたら逃げ出したくもなる」
冷静に熊崎が俺の言葉を代弁してくれるが、助けてくれなかったのは恨む。
「クソッ、覚えてろよ!」
これ以上何かやられるのもたまらないので、俺は理科研から逃げ出した。アイツらは確実に無関係だ、そう信じたい。
――と。
俺が出るのを待ち構えていたかのように。
「氷河」
女が立っていた。
「やあ、『せとひょうが』。この前ぶりじゃあないか?」
水色の髪で、眼鏡を掛けた、釣木学園の生徒。ひょろりと背が高く、嫌な感じのする作りっぽい笑顔を浮かべていた。
「お前は……」
「自分は『世界』だよ」
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最強が男になると最強で横暴にみえる。
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