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刻印氷河編。

恋に恋する話。


・ラブポーションの魔術師
※瀬戸氷河
俺の体に刻印が刻まれてから三日ほど経っただろう。
刻印はゆっくりだが、確実に俺の体を侵食している。
早く解かなければ、俺が死んでしまう。
しかし、逃げ出した魔術師を再び捕まえる手段がない。
魔術師の捜索は、情報部隊に任せて俺は治癒術師や攻撃部隊としての仕事に専念することにした。

津川さんの傷を治したときのことだ。
津川さんは、最近へんだよね、と話を切り出した。
「氷河、恭二に会ってる?」
「え?」
「恭二がよく外に出ててね。こっそり見てみたら、街で女の人と楽しそうに話してるんだよ」
恭二はフレンドリーな奴だから、別に街で他のやつと話していてもなんら不思議ではない。
でも、おかしいと言うのなら。
「最近、俺の血を求めなくなったな……」
夜に恭二が来なくなったのは、寂しい。
恭二は刻印のある俺に遠慮してるのかもしれない。
いや、恭二が遠慮なんかするやつだったかよ。
「……もしかして、恭二、あの人に恋してるのかな?」
「恋、か……恭二だって男なんだから、当たり前だよな。むしろ、今まで俺に好きだって言ってくれたことの方が……」
「ごめん、氷河。軽率なこと言った。落ち込まないで、まだそうと決まったわけじゃないんだから」
津川さんが、励ましてくれているのだろうか。
「恭二が急に氷河のことを見放すなんてするはずないよ」
「わかんねぇぞ、そんなこと」
だから、と言いながら、津川さんが立ち上がる。
「調査をしようよ、恭二が本当に女の人を好きになったのか、それとも……魔術師の魔術なのかをさ」
「魔術師……」
「人の心を操る魔術師だっているんでしょ?だったら、恋心を操る魔術師だって言うと思うよ。」
津川さんの言うことは最もだ。
魔術師の魔術は、ほぼ何でもできるらしいからな。
どこに介入していてもおかしくない。
「……分かった、街に行ってみようぜ、津川さん。」
俺も立ち上がり、ホルダーの銃を確認する。
津川さんは、ライフルを置いていくようだ。
「行こうか、氷河」
「ああ」

-------------------
恋心編。

奪われるのは恭二。


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