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FNWの14話です。

連れてこられたのは、美都依さんの研究所らしき施設。
「ささ、座って。」
「どこに椅子があるんですか…」
本がひどく散乱した部屋には、座れそうな場所などない。
仕方ないから、本を少しまとめて場所を作る。
「そんな事しなくても座れそうだけどなー。」
「そんな事より説明して下さい。この世界について。」
「話が早いなー…」
美都依さんは、頬を膨らませた。
「で、ここは?」
俺は構わずに聞いた。
「ここは、天使が破壊した君の世界。電波の力で上に立つ科学者が支配する世界。」
「平行世界とかじゃないのか…。」
「まぁ、あまりにも一瞬だったから、そう思うのも無理ないね。」
美都依さんは、持っていた本を広げる。

「そして、ここからが面白い話。支配する科学者の研究成果により、『能力』が生まれてしまった。ま、あたしの見解じゃ、そんなの最初からあったんだけどね。」
「えーと…つまり?」
あまりにも飛躍し過ぎていないか?
話に着いていけなくなった俺を置いて、話は進んでいく。
「ここで生きている人の大半は能力持ち。電波が生み出し能力を操る者達。あたしも、君もね。」
「能力…」
そういえば、草樹が何か言ってたような気がするな。
「皆、漢字一字で表せるよ。例えばあたしは『法』。あたしは法を作り出せる。」
「それって、何だか卑怯だな…」
俺の呟きに反応して、美都依さんは笑う。
「そんな事ないよ。私の法は、適用される時間が短いの。それに制限もある。だから大丈夫。」
「…成る程な。」
美都依さんは、俺を指差す。
「それに、君にもあるんだからさ。」
「俺に…?」
美都依さんが真剣な表情で俺に詰め寄る。
「そう。君も。なんで電波塔が寄ってくるか、とか考えなかったの?」
「ただの偶然…とかじゃないんだな。」
そうだよ、と彼女は短く答える。
「君の能力は『寄』かな。引き寄せる能力。ここは、電波が蔓延してるから、能力はもっと強く具現化される。」
「…信じられないですよ。」
「だろうね。だって君は普通だと強く思っていただろうから。」
「あれ…なんで分かったんだ…?」
美都依さんは、くすりと笑う。
「そりゃ、君を見れば分かるよ。あの一瞬で充分。」
俺は美都依さんに見透かされているのか。
美都依さんは俺から離れ、くるりとその場で回る。

「でも、この能力は魔法と同じなんだよね。信じる力の強さ。想像力の問題。うまく能力をイメージすれば、どうにかなるから。」
「適当だな…。」
それでも学者なのか、とまでは言わないでおいた。
「で、能力が広がった事で何が起こったんだ?何で李卯が俺を狙った?」
「科学者が電波の力で操ってるのさ。とりあえず君を殺すために。」
「何で、俺なんだよ…。」
「さぁ…?そこまでは知らないけどね。何かに利用しようとしていたのかな?」
美都依さんの言う科学者が、放送室にいた奴なら。
俺を利用しようとしていた理由は分かるが。
「…いや、美都依さん?」
「何?」
「俺が必要なら、殺されるのはおかしいんじゃないですか?」
「そこまでは知らないや。」
美都依さんは誤魔化すように苦笑いした。
話を変える。
「美都依さん。波乃と識数依里阿は…何されてるんですか。」
「彼女達は、天使再生の生贄。だから捕まってるよ。」
「そうですか…。」
俺は立ち上がる。
それを見た美都依さんは、聞く。
「これで、君がすることは分かった?」
「…とりあえず波乃を助ければいいんだろ。俺は元に戻りたいだけです。」
俺の答えに美都依さんはくすりと笑った。
「元にかー…。『寄』だけじゃ足りないだろうから、これをあげよう。」
美都依さんは、李卯を助ける時に使った刀を取り出す。
「俺…使えませんよ?」
「いいの。これも能力だから。『斬』の力の刀。」
李卯と電波の繋がりを斬った刀。
俺はそれを受け取る。
「これは、大体の物なら斬れるんですか?」
「うん。君の斬りたいものを斬ってくれるよ。」
試し切りをしようかと辺りを見るが、美都依さんの研究室で何か壊してよさそうな物はなかった。
「なら…俺は行きます。」
「よし。じゃ、頑張って。」
美都依さんはコンピュータの前に座って、俺に手を振る。
「見放しますね…。」
「また会えるから平気だよ。」
「そうですか…。」

今の世は、能力大戦時代ってことだ。
俺は元の生活…日常を取り戻すために波乃を助ける。

俺も非日常へと足を踏み入れた。
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