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FNWの15話です。

美都依さんの研究所を離れてから、しばらく歩いていた。
そういえば美都依さんに波乃の居場所を聞いていなかった。
だから目指すあてもなく、ふらふらと歩くしかなかった。

「…ん?」
ふと下を見る。
札が一枚落ちていた。
「巫女とか対魔師みたいなのが持ってそうな奴だな…。」
拾って書かれている奇妙な文字を見る。
草樹の魔術書とは違う文字だ。
当然、理解は出来ない。
ぼんやり見ていると、怒鳴られる。
「何をしている!貴様も操られた者か!」
「あ、いや、違…!」
俺は持っていた札をひらりと落としてしまった。
「いや、聞いても分かるまい!覚悟!」
突然、札の持ち主らしき女が札を構え、襲い掛かってきた。
襲い掛かってきた持ち主は、何故か光りだす札を見るなり、足を止めた。
「くっ、まずい!」
「は?やばいってのかよ!」
その札がいきなり爆発し、俺とその持ち主は吹っ飛ばされた。
「ぐっ……うぁ……」
俺は瓦礫に叩きつけられた。
同様に持ち主も瓦礫に突っ込んだらしい。
爆発した札は、灰になりひらひら落ちる。
「くっ…なめたまねを…ならば、結界しかあるまい!」

持ち主は壊れた街の路地らしき場所に隠れ、結界を張った。
そこから、何かの札をばらまく事にしたらしい。
「札は遠慮なしに斬っていいんだよな?」
「やってみろ!電波に憑かれた者よ!結界は壊せまい!」
切りたいものを切る刀。
今、試してみたいと思い、投げられた札を斬ってみる。
斬られた札は、その効力も斬られたらしく、ただの紙のように舞う。
もしかしたら、結界も斬れるかもな…。
「悪の電波を弾く結界だ!貴様に出来るわけがない!」
持ち主は今のを見ていなかったのか、変わらずに余裕そうに笑う。
結界の前で刀を構える。
叩きつけられて、身体が痛む。
それでも、構わずに刀を振り上げる。
そして、刀を宙に振る。
俺と持ち主の間にあった壁は斬れていた。

「何…?くっ…貴様…よくも結界を…」
持ち主は手段を失ったらしく、その場に座り込む。
俺はゆっくりと歩み寄る。
そして痛みが襲い、膝をつく。
「だから、俺は操られてないっての…」
「…そうなのか?」
やっと話を聞いてくれた持ち主はきょとんとしている。
「てっきり、私以外の生き残りはいないのかと…」
「俺も似たような事考えた。けど、違ったみたいだな。」
持ち主も吹っ飛ばされた衝撃が強かったらしく、所々に傷が見える。
それは俺もだが。
「まだ味方はいるのだな。私は札月音々。電波という魔を払う者だ。」
「俺は、存原幽夜。ただの一般人。だから吹き飛ばすなよ…身体痛いっつの。」
「ふむ。まだ馴れていないのか。馴れないのが当然だがな。」
「はは…そりゃそうだよな…」
俺は苦笑いした。
よくやった、と自分を褒めてやりたい。
「しかし、あれを発動させたのは貴様だ。」
「…え?」
いきなり真面目に札月音々は言う。
「私も驚いた。だから私も痛いんだ。あんなに勢い良く叩きつけられたのは、久々だ。」
「俺は初めてだった。」
「済まなかったな。襲って。」
札月音々は立ち上がり、また会えるといいな、と告げて行ってしまった。
「…そのうちああやって耐性付くのかな、俺も。」

でも、生き残るにはそうするしかないんだよな。
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