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FNWの26話です。

「蒜虎さーん!助けてくださいー!」
空飛ぶ少女が限界のようだ。
彼女は、カフェテラスらしき場所で紅茶を飲む男に助けを求めた。
男は、少女を見付けるとやれやれと溜め息を吐く。
「仕方ないですね…。『燕さんは彼を運んでこちらにこれます。』」
限界だったはずの燕が、急に力を取り戻し、俺を運んだ。
運びきり、カフェテラスらしき場所に降り立つ。

「ありがとー!蒜虎さん!」
「今回は何を拾ってきたのですか?」
怪訝そうに尋ねる男。
少女は笑顔のまま答える。
「侵入者さん!」
「はぁ…貴方がそうなのですか。私は紫鏡蒜虎と申します。彼女は大空燕。貴方の名前は?」
「俺は存原幽夜。侵入者とのんびり話をしていいのか?」
まともそうなこの人にこの状況を聞いてみた。
紫鏡蒜虎は苦笑いした。
「電波塔は実験体にとっては、退屈な籠です。侵入者と言えども他人が貴重なのですよ。だから、燕さんも貴方と話したくてしょうがなかったのですよ。」
「…普通は捕らえろ、じゃねぇのか?」
「命令を聞くとならば、そうなるでしょう。」
大空燕が割って入る。
「私たちは天宮さんに自由にしていい、って言われてるんだ。だから、この階層の実験体は自由だよ。」
「命令されてないようなもんか…」
「まぁ、紅茶でも飲みませんか?毒は入れませんよ。」
その言い方されると怪しいと思ってしまうな…。
あんだけいい話をしてくれたのに。
疑って表情が悪かったのか、大空燕がむきになって怒った。
「せっかくの他人を殺すはずないよ!私も蒜虎さんも。」
「あ、ああ…じゃ、貰うかな。」
「では、お持ちしますね。」
紫鏡蒜虎が紅茶を用意しに行った。

大空燕が退屈なのか、カフェテラスの話を始める。
「このカフェテラスは蒜虎さんの趣味なんだよー。いかにもあの人らしいでしょ?」
「ああ…電波塔って変な場所なんだな。」
「研究は大真面目にしてるんだよ。天宮さんが優しいから、実験体は苦しまないんだ。」
「…そりゃいい研究員だな。」
紫鏡蒜虎が紅茶を持ってくる。
「天宮研究員が優しいというのは誤解ですよ、燕さん。幽夜さんもどうぞ。今日はダージリンです。」
「ありがとー、蒜虎さん」
「悪いな。」
大空燕はその紅茶に砂糖を大量に入れていた。
対照的に紫鏡蒜虎は砂糖も入れずに飲み始める。
俺は1杯砂糖を入れた。
「幽夜さんは何しにここへ?」
「波乃を取り返して、李卯を助けるためだ。」
大空燕は頭を抱える。紫鏡蒜虎は、紅茶をすする。
「波乃ー…?李卯さんはどっかで聞いたような。」
「光宮波乃は電波質の原初だそうですから、先峰様自ら研究していますね。椎名李卯は…私も忘れてしまいました。」
先峰抄断自らが…。
嫌な予感しかしない。
余計に焦る。
紅茶を一気に飲み干す。
「悪い!俺は上に行く!」
「余程心配なのですね。燕さん。彼をエレベーターである程度上まで運びなさい。」
「よし、わかった!」
「なんでそんなに助けてくれるんだよ…」
紫鏡蒜虎は答える。
大空燕は笑顔で俺に手を伸ばす。
「我々は自由だからですよ。」
「そーです!さ、捕まって。」
「ありがとな、悪い。」

そして、いいシーンは風切り音で壊れる。
その手を取ろうとしたら、風によって遮られる。
「見つけたわ!存原幽夜!」
楽しそうに笑う女は風を纏っていた。
「さぁ、次は私達と遊ぶ番よ!」
風を操り俺の側で突風を起こす。
「四元に見つかってはおしまいですね。」
「蒜虎さん…」
二人は諦めたかのように、立ち尽くす。
風を纏う女は、俺の手を引っ張る。
「烈火と由呉が来ないうちに、遊びましょう!」
無茶な高さなのに、風を纏い飛んだ。
俺の体も風が支えていた。

そしてさらに上まで飛んだ。
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