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FNWの30話です。

「ん?エラー?」
機械は異常を訴える。
天宮魔那は異常に気付かない。
「早く直しなさい、魔那」
「ちょい待って。」
彼女は機械を器用に操る。
彼女が異常を理解した時は手遅れであった。

俺が目を覚ました時は、大爆発の後のように荒れていた。
床に流れる液体を見るに、何か事故があってあの筒が壊れたのだろう。
ガラスの破片も見える。

いきなり喉元に刃が向けられた。
刃をたどって見ると、持ち主は俺に似ていた。
ってか、あれはそのもの?
色が灰色っぽくて、まるで影だ。
影が俺を見る。
「こいつが俺の身体ね…。まあいいじゃねぇか。」
「貴方は…何者なの?」
呆然としていた俺のかわりにか、天宮魔那が聞く。
影は天宮魔那に刀を向ける。
「俺は…俺も存原幽夜って名乗ろうかな。『斬』の能力だ。」
「それは刀の能力だろ!?」
影は俺の反応を楽しむように笑う。
「そーだぜ。この研究員がお前の体を写して、その身体に『斬』の能力が入ったのさ。」
天宮魔那が、明らかに動揺した。
「そんな…!まさか他の能力が入っていたなんて…。どうして?何も入れてないはずよ!?」
想定外だったようで、天宮魔那は呆然と立ち尽くす。
ふふ、と別の方から声がする。
「そんなのどうでもいいじゃない…。貴方を操ってしまえばこちらの物よ!」
彩世孤さんと呼ばれていた女が、影に向けて何かを放つ。
影は、刀を振り下ろす。その能力を切ったのだろう。
「外したっ!?」
影は、くく、と笑う。
「俺はお前らに従う気は無いんだ。もちろん、コピー元にもな。せっかく意志と体を手に入れたんだ。遊ばせてもらうぜ!」
影は、開いていた窓から飛び出した。
 
私達は、地下層の牢屋をくまなく探していた。
地下層の牢に神坂彩貴はいる、と美都依さんが言っていたからだ。
そして、美都依さんが神坂彩貴を見つけた。
「彩貴!ここにいたのね。」
「お姉ちゃん!?どういう事よ!なんでいるの!?」
「お、お姉ちゃん?」
私が疑問符を浮かべる。
「彩貴は私の妹。つまり私は神坂美都依。驚いた?」
「え、ええ…。」
「そんな事よりどうしてお姉ちゃんが!」
「智香ちゃんに頼まれたのよ。」
「智香が…」
神坂彩貴が止まる。
美都依さんは牢を開けた。
「さぁ、逃げなさい。ここにあなたの居場所はないわ。」
神坂彩貴は飛び出した。
 
その後、ようやく地下層を抜けると、爆発の音がした。
「上の方だわ!行くわよ!」
近くにあった階段を駆け上がる。
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