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FNWの34話です。

俺は人間だ。一般人だ。
こんな瓦礫ばかりの街で、刀を振り回しているなんてありえない事だ。
そんな俺から作られた影は、一般人らしからぬ動きをする。
普通に考えて一般人が非一般人に勝てるわけがない。
要するに。
「おいおい、もう終わりか?」
俺は死にそうだ。
いや、死んでもおかしくない。
影は俺を殺す気まではないようだが、切り刻まれてはいる。
「まさか…自分は一般人だ、なんて考えてるのか?」
俺は一般人だろ。
こんなのには縁遠い人間だ。
また影の刀が振られる。
俺は避けきれずに、また斬られる。
影は舌打ちする。
「図星か。…ばっかみてぇ。能力がある時点でお前は一般人なんかじゃないのにな。」
能力…か。
「お前には人を寄せ付ける異常な力がある。異常な能力がお前にあるんだ。それがどうして、一般人ぶれるんだろうな。」
影は苛ついているようにみえた。
そして俺が今まで当たり前のように思っていた物を壊していく。
「実際、お前は何人もの人を斬ってきたじゃねぇか。それが中身であれ、人を斬ったことには変わりねぇだろ?」
それは助ける為とか、自衛の為に斬ったわけであって、殺すためじゃない。
「俺は…あんたの言う人斬り…じゃない。」
「何言ってんだ?お前は人斬りで異常なんだよ。お前はなんとなくこの異常な空間に適応してるじゃねぇか。異常に慣れる奴は異常なんだよ!」
「ははは…っ。」
俺の口から乾いた笑みが零れる。
影はなんだか嬉しそうだ。
「ようやく理解したのか?」
答える代わりに、俺は影を寄せてその身体を刀で突き刺す。
自分を刺したようで、吐き気がする。
「…分かってんじゃねぇか。」
「この能力が…あるから…俺は異常な人間になるしかないんだ…。なら、大事なものは能力で取り返せばいいんだろ…?」
「…80点だな。全然なってねぇや。」
影が俺にもたれるように倒れる。
「それは合格なのか…?」
「一応な。能力で奪えばいいって事が分かればいいんだよ。」
影が消えた。
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