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FNWの35話です。

「影が消えた…。」
呆然とした状態の中で、亜出風が呟くように言う。
「器に戻っただけよ。幽夜君、大丈夫?」
「これが大丈夫に見えるんですか…。」
俺は見て分かるほどに傷だらけだ。
立ち上がれもしない。
美都依さんは、たはは、と笑う。
「ごめんごめん。とりあえず手当てしに研究所にもどろっか。」
亜出風が、俺を支えてくれた。
「悪いな…。」
「大丈夫か?かなりボロボロじゃないか。」
「あれの動きに勝てる奴いるかよ…」
亜出風がくすりと笑う。
「いるじゃないか。お前が。」
「あれは違う。」
しばらく研究所を目指してゆっくり歩いていると、亜出風が呟いた。
「…あれは怖かったな。」
「何が?」
亜出風が、俺を見てはっきり言った。
「影を刺したときの目だ。あんなに鋭い目。まるで…存原でないようだった。」
「あの時は、無我夢中だっただけだ。」
あの時の影の言葉は、俺にしか聞こえていないようだった。
そしたら、いきなり俺が影を突き刺したようにしか見えないか。
「ありゃこいつが、理解しただけだぜ?」
「うわっ!?」
いつの間にか影が隣にいた。
「驚くことはないだろ。器に入れば力は戻るんだから、力が戻れば出入りは自由だろ。」
「そ…そうか、そうだな。」
亜出風は、自分を納得させるようにこくこく頷く。
「それに霊体になって、こいつの身体を奪うことが出来る。やってみようか?」
「やめてくれ、人外。」
影が何故か笑った。
「人外か、いいねぇ。なら俺はお前を人間と呼ぶか。俺はお前に人外の力を使わせることが出来る。意識…体でもいいか。それを取るくらいなら刀に能力は残るしな。」
「姿を現したら駄目なのか?」
「そしたら、刀から力は抜けちまうな。」
「成る程ね…。二人がかりって訳にもいかないんだ。」
いつの間にか美都依さんまでいた。
先に歩きだしたはずなのに。
「二人がかりはしない。俺が二人いるって見えたらやばいだろ。」
「ま、やばいわね。」
「だから、人外の力がいる時はこっそり入れ替わればいい…だろ?」
「やってみたら?それなら先峰抄断もなんとかなるかもねー?」
美都依さんは、また先に歩き出した。

影は刀に戻り、美都依さんの研究所で傷を治してもらった。
そしてまた、電波塔へ向かう事にした。
波乃や李卯…それと日常の為に。
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