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第二話です。

穴から出ると、そこは彼女達の街ではなかった。
だが、あまりにもその光景が似ていた。
夜で路地裏あたり。
違うのは、目の前に男が倒れていたことだけ。

The last Song 第二章 刀の使い手

「…誰?」
ユーニスが声をかける。
男は立ち上がり、服の埃を払う。
「そりゃこっちのセリフだ。いきなり落ちてきたのはそっちだろ。」
「まぁ、否定出来ないな。それより後ろを見たらどうだ?」
ユーニスが後ろを見ると、男を追っていたらしき連中が待ち構えていた。
「リーオ、助っ人か?いきなり落ちてきた奴を当てにするのはどうかと思うぜ。」
「助っ人じゃない。どっちかっていうと中立だな」
連中の問いにヴァイスが答える。
「そうか。なら邪魔すんなよ。俺はリーオに用事があるんだよ」
リーオと呼ばれた男は、手に持っていた剣を構える。
ヴァイスは大人しく脇にどいた。
「そういうことだから、どいてくれよ。中立さん方」
ユーニスは、不意にリーオの肩を叩く。
「ねぇ。これ、使ってみない?」
ユーニスは持っていた刀を渡す。
「何だよ、これ。刀は専門じゃないぞ。」
「いいから使ってみて。嫌なら返してくれていいから」
リーオは剣を鞘にしまい、刀を構えてみる。
「覚悟は出来たな、リーオ。覚悟しろ!」
連中がリーオに襲い掛かる。
リーオが刀を一振りすると、炎が巻き起こった。
「あれ?俺、魔法なんて使えないはずなのに…」
連中は炎に巻き込まれ、悶えている。
リーオは不思議そうに刀を見つめる。
ユーニスは、それを見て嬉しそうに笑う。
「あなた、それが使えるのね。ちょうどいいや。来て頂戴!」
ユーニスはリーオを手を引く。
そのまま、連中を振り払い先に進む。
ヴァイスは突然の出来事に驚いて炎を見ていたが、ユーニス達を見失うわけにもいかないので、慌てて追いかける。
炎はとっくに消えていた。

逃げた先は、あまり変わらぬ道。
路地裏からまた別の道に迷い込んだだけである。
「何よ、これ!入り組んでるわね!」
「同じ道が続いてないか?」
「いくらなんでも、これはおかしいな…」
この街に詳しいリーオでさえも、疑問が生じる。
「ちょっと…道違うの?」
「いや、正しい。正しいはずなんだが…」
後ろを振り返る。
あの連中はもう追いかけていない。
その変わりに無限に続いてるような、路地裏の道。
ユーニス達は止まり、あたりを見回す。
すると正面から、誰かが歩いてきた。
「あれ~…私としたことが無限回廊を作っちゃったわ」
「おまえが犯人か?」
本を抱えた女は、ちょっと間違えただけのことように言う。
結構重大な事だが。
「何の犯人?別に借金に追われてたりとかしてないわよ。」
びくっ、とリーオの肩が震える。
「そんなんじゃなくて、歪みの穴の話だ。」
ヴァイスはそれを見ていなかったので、構わず続ける。
「ああ、それなら私よ。」
あっさりと自白した。
「じゃ、元に戻してもらおう。」
「それは嫌。」
この答えも即答である。
「なら、実力行使…かな!」
後ろにいたユーニスが銃を構える。
「しっかし、本当に存在がバレてるとはなぁ…ねぇ、どう思う?」
女は上を向いて、問いかける。
警戒していたユーニスは、飛び降りてきた人物によって倒される。
「!?」
「だから言っただろう。おまえが馬鹿なだけだ。」
剣をユーニスの首に突きつける。
「馬鹿っていうより世間知らずって言われる方がいいわね。リライア」
「それは悪かったな、ビレイア」
ヴァイスは舌打ちをする。
「どうしたらいい…」
「そうね、一旦どっか行ってみる?」
ビレイアは本を広げて、詠唱を始める。
すると歪みの穴が開く。
「私らに殺されるか、一旦逃げてみるか。どっちか選ぶといい」
ユーニスに突きつけていた剣を戻す。
解放されたユーニスはゆっくり立ち上がる。
「そうね、じゃ一旦逃げようかしらね」
「ここで犯人を逃すのか!?」
ヴァイスは声を荒げる。
ユーニスは冷静に言う。
「ここで死にたくないわ。私。」
「おい、これどうなってるんだ…」
刀を構えたまま、わけの分からない状況に戸惑うリーオ。
そんな彼の手を取ってユーニスは歪みの穴に飛び込む。
「ちょっと!判断が早すぎる…」
さっさと飛び込んでしまった二人を見て、溜め息をつくヴァイス。
「早いわねぇ…関心、関心。」
「判断としては正しいな」
ビレイアとリライアの二人は、こくこくと頷いている。
「…じゃ、頭を冷やしますよ」
ヴァイスも遅れて歪みの穴に飛び込む。

「そういえば、もう穴は作らないんじゃなかったのか?」
リライアが問いかける。
「うーん。そうねぇ。でも、穏便に済ますにはあれしかなかったと思うのよね。」
「そうだな…」
ビレイアは目の前に、異空間の穴を作る。
「まぁ、どうにかなったし。帰りましょ」
「分かったよ。」
二人は異空間の穴に入る。
 

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