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第三話です。

また穴に入る。
目を開ければ、前に長閑な農村。
彼女達は、緑の原っぱの中に倒れていた。

The last Song 第三章 記憶の手掛かり

「う…どこだよ、ここは…」
リーオがゆっくりと起き上がる。
ユーニスとヴァイスの二人はまだ倒れている。
刀を抱えて、適当に歩くことにした。

リーオが歩き続けても、緑ばかり。
村が前に見えるが、そこに行くのは二人が起きてからにしようと考えていた。
リーオは改めて、持っている刀を見る。
「俺に魔法なんて使えない。使えないはずなのに。」
なのに、何故刀から火が出たのだろう。

「ここどこ…?」
「ついに別の世界に着いたな」
倒れていた二人も起き上がり、周りを見回し始める。
「お、ようやく起きたか。」
リーオが二人の近くに戻る。
「あれ、おまえ先に起きていたのか」
「先にちょっと周りを見てた。」
リーオはそっけなく返す。
「で、どうだったの?」
「そうだな…」
リーオは頭をかいて、見たことを説明し始める。
「少し先に村がある。それと、ここら辺は緑ばかりだ。あまり情報が手に入るとは思えないな。」
「分かった。まずはその村に行ってみようか」
「そうね。宿屋とかあるといいわねぇ」
ユーニスは暢気なことを話して、歩き出した。
ヴァイスとリーオも、後を追った。

歩いてからすぐに村についた。
村の人々は畑を耕しているのが多く、平和な村だった。
「本当にまともな情報が掴めるかしら?」
「…希望は薄めで行くかな」
ユーニスとヴァイスの二人が、情報収集しようと分かれて歩く。
それをリーオが止める。
「ちょっと待った。俺が巻き込まれた理由を説明してもらっていない気がするんだが。」
「そういえば、私もそれは聞いてない。」
ヴァイスも足を止め、ユーニスを見る。
「今、聞きたい?」
ユーニスは苦笑いで聞く。
「聞きたいな、私は」
「わけわかんないで、おまえらに付き合ってられるかよ」
ユーニスは、宿屋を指差す。
「じゃ、あそこで話すわ。それでいい?」
二人が頷くと、ユーニスは足早に宿屋へ向かった。

宿屋で部屋を取り、ユーニスの元に集まる。
リーオはそのきっかけである、刀を手に持つ。
「で、まずはどっちから話そうかな?」
刀をリーオを交互に見るユーニス。
「じゃ、俺を巻き込んだ理由からだな」
リーオが答える。
「あ、そう?理由はあなたがその刀を使えるから」
長い話になるかと、思っていたヴァイスとリーオは唖然とする。
「…じゃ、この刀は一体何なんだ。」
次はヴァイスが聞く。
「これは、私がいつの間にか持っていた不思議な刀。何故か炎の力を強く持っているの。」
「いつの間に?」
「ああ、私の話もろくにしていなかったわね。ここに来るまであっという間に事が進んだから。」
ヴァイスは頭を抱える。
ユーニスと出会って歪みの穴に落ちてから、いろいろありすぎた。
ユーニスもどこから話せばいいのか、悩んでいた。
「とりあえず、おまえのことから話したらどうだ?結局、おまえの素性が分からないと、この刀も俺を巻き込んだ理由も分からないだろ?」
リーオがうまくまとめる。
その意見を聞いたユーニスは、手をポンと叩く。
ヴァイスもそれならいい、と返す。
「よし、決まり。…私は、記憶がないの。そうね、10歳くらいから前の記憶は全くないわ。その時に気付いたらこの刀があったの。」
「他に覚えてることはないのか?」
「…黒い渦の穴。それが私の過去への手がかり。それだけは覚えてた。」
「だから、飛び降りようとか馬鹿なことを考えるわけだ」
ヴァイスが呆れ口調で言う。
ユーニスは頬を膨らませて答える。
「それはいいじゃないのよ。」
「まぁ、そうだな。」
ヴァイスはくすくすと笑う。
「続けてくれよ。」
リーオが促す。
「あ、ごめん。で、ここから刀の話になるんだけどね。あの刀は私には使えなかったの。」
「おまえが持っていたのにか?」
「うん。あんな風に炎を出すことは出来なかったわ。」
「じゃ、俺が炎を出せた理由なんてのは、分からないのか…」
「そう。だから、あんたも巻き込んだの。その刀の秘密を知るにはあんたの力が必要だからね。」
「そうはっきり言われてもな…」
完全に俺は被害者だな、と心の中で思うリーオ。
そこで、話は終わった。

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