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「貴方達、神隠しの森へ行くの?」
森へ向かおうとしたら、村の女性に声をかけられた。
「ええ、そうよ。」
ユーニスが答える。
「森には魔物もいるし、森の奥に行くと、不思議な場所に連れて行かれると言うわ。それでも行くの?」
「分かってて行くって行ってるのよ。」
「そう…気をつけてね」
村の女性は、不思議そうにユーニスたちを見ていた。
The last Song 第5章 森の奥の少女
森にはあまり日が差し込まず暗い場所となっていた。
その暗さは魔物の好む暗さらしく、森には魔物ばかりが増えた。
「本当に暗いわね…しかも、魔物が不意打ちしてくるし。やってらんないわ!ねぇ、それでまとめて燃やさない?」
「そんなことしたら、村の人に怒られるだろ…。いや、殺されるかもな。」
ユーニスは苛立ちからか、無茶な提案をする。
それを本気なのだと思ったのか、リーオは呆れる。
ヴァイスがさらに付け加える。
「聞いた話だと、この森は神聖な場所だったらしい。だから、燃やしたら確実に殺されるね。」
「うう…じゃ、とっとと抜けるわよ!」
ユーニスは銃を構え、走り出した。
影から出てくる魔物はユーニスの銃で的確に撃たれている。
リーオとヴァイスは背後に出てきた魔物を切りつけたり、魔術で倒したりするぐらい。
走り抜けて光が差し込む場所へついた。
三人は息が荒く、周りに魔物がいないのを確認してから、皆同時に座り込んだ。
「あぁー…疲れたー…」
「おまえが走り抜けるなどと言うからだろう…」
「でも、のんびりしてたら俺達がダメだったかもしれない」
「そっか…。あーでも、休憩!あそこに小屋あるんだから!」
ユーニスは明るくなった森の小屋を指差す。
人が住んでいるのかわからないが、とりあえず入ることにした。
「いないんだから、入るわよー」
ずかずかと入るユーニスと慎重に入るヴァイス。
リーオだけは一応礼儀としてすいませんと言う。
「いないのかしらね。使っちゃおうか」
ユーニスが辺りを見て、言った。
確かに人はいないが、誰かが帰ってくるかもしれない。
「いいのかよ!?」
「いいんじゃないか。無人小屋なら文句は言われない」
リーオは自分と同じくらい良識人だと思っていたヴァイスの判断に驚き、しぶしぶ小屋の中をあさり始めた。
「なぁ…ここに住んでる人がいるよ。食料が新しい。」
食料庫を漁っていたリーオは、まだ新しい食料を見て言う。
「それだとやっばいなぁ…。」
「賊だと疑われてもおかしくないぞ。」
ユーニスとヴァイスは、漁る作業を止めさっさと出てしまおうとした。
すると、小屋の唯一の外への扉が開いた。
「あれ~?誰かいるんですか?」
「やばっ!」
小屋に住んでるらしき少女が、帰ってきた。
ユーニスは口封じをするためにか、少女に銃を構える。
それを見たリーオは慌ててユーニスを制する。
「待て!俺が話してみるから!おまえじゃダメだ!」
「…分かったわよ。任せる」
ユーニスは銃を下ろす。
それに安心したリーオは、いきなり銃を向けられてびくびくしている少女に声をかけた。
「あー…勝手に入って悪かった。俺達はちょっと休みたかったんだけなんだ。」
「そうなんですか。それは構わないです。けど…」
少女はユーニスを見て、びくびくと震える。
「銃のことか?いきなり脅して悪かった。ほら、おまえも。」
「わ、悪かったわよ。そんなことより!あんたは何でこの森にいるのよ?」
ユーニスは、少女に軽く謝ると話をすぐに切り替えた。
「あ、えっと。話すとちょっと長くなるかもしれないです~。何か飲みますか?」
「いらない。さっき飲んだから」
ユーニスが答える。
少女は減っていた水を見て、呆然とした。
「あ、いや、本当に悪かった」
リーオが謝ると、「少女は気にしなくて良いです。」と答え曖昧に笑った。