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第六話です。

「あ、私はセスィー・イグノランスといいます~」
セスィーと名乗った少女は一礼をする。
「私はユーニス・マースィレス。」
「アムステルの住人じゃないんですか?」
「ええ、違うわよ」
ユーニスは平然と答える。
「そうなんですか~…。異世界人ってことですか」
セスィーは状況があまり分かっていないらしく、のんびりと紅茶をすする。

The last Song 第六章 神隠し

「何で、おまえは神隠しとやらにあわないんだ?」
リーオはセスィーが用意してくれた紅茶をすすってから聞いた。
セスィーは首をかしげた。
「神隠し、ですか」
「あんた、そこに住んでるのに知らないの?この森で何人も神隠しにあって消えてるのよ。」
セスィーはしばらく考え込むと、のんびりと答える。
「そういえば、最近この小屋に誰も来ないですね~。」
「…今気付いたの?」
それに呆れるユーニス。
「そろそろ神祈りの日でしたのを忘れてました。」
「神祈りの日?」
ユーニスはヴァイスを見る。
「この森の神に祈りを捧げる儀式だ。神聖な森に住まう神に感謝の祈りを捧げるらしい。」
「そして、その日はいつも巫女たちが私の小屋に泊まるんです。」
「それなのに、忘れていたの…?」
セスィーはえへへ、と照れ笑いをする。
ユーニスは拳を震わせるが、平静を装っていた。
「だから神隠しにあわない理由は何だよ?」
リーオがセスィーに再度問うと、先にヴァイスが答えた。
「多分、セスィーは次元の変わり目に行かないからだろう」
「変わり目?」
「渦みたいなもの。」
ヴァイスは簡潔的に説明する。
「私は神の住まう神殿には行けませんから、そうなんでしょうねー。」
「ということは、神殿に行く道に変わり目があるってことね。セスィー、案内してよ」
「ちょっと待て。おまえら、そこに行くのか?」
リーオが聞く。
「行って次元の壁越え続けたら、そのうち犯人の居場所に着けると思わない?」
「壁は壊され続けてるから…そいつらの拠点の壁も壊れているってことか。」
ユーニスとヴァイスは揃って笑う。
「そういうこと」

「ええと…あちらの道になります。」
セスィーは神殿の道を指し示す。
「あっちね。」
「私も途中までは案内しますね~。」
セスィーは弓矢を持ってきていた。
「見た限り、神殿までは行けそうだぞ」
「じゃ、神殿の中に入れないのだろうな。」
リーオは木の間の神殿を見る。
神殿の中は見えそうになかった。
「じゃ、行きましょう。…あ、ちょっと待ってください。」
セスィーは弓矢を構えると、木の葉の方に矢を放った。
何匹かの魔物が打ち落とされていた。
「意外とやるわねー」
ユーニスが感心してセスィーを見る。
「おまえにもこのぐらい命中するようになればな」
「…いいでしょ、別に」
ヴァイスが小声で言う。
ユーニスはむすっとした表情で答える。

「ええと…もう私は行けそうにないです」
神殿についた。もう近くに見える。
セスィーは神殿の土地を踏むことが許されていないらしい。
まだ森であろう場所でセスィーは足を止めた。
「もう十分だ。助かったよセスィー」
リーオはセスィーに礼を言う。
セスィーはにこりと笑うと、スキップで森へ戻っていった。
「じゃ、行きましょ」
それを見届けると、ユーニスは平然と神殿の中へ行ってしまった。
「よく簡単に行けるよなぁ…どこに行くのか分かんねぇのに」
リーオが呆れたように呟くと、ヴァイスはくす、と笑う。
「さぁ、むしろ楽しんでいるのかもしれない」
そう言って、ヴァイスも神殿の奥に向かってしまった。
「おまえも平然としてるじゃねぇか…」
リーオは再び溜め息をついて、二人を追いかけた。
 

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