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ワンダーアビスワールドの2話です。

「なんか、最近唖奏君変わっちゃったね。」
「そうかな」
僕がミステリ小説を読んでいると、永月詠守さんが僕に話しかけてきた。
「絶望を知った感じ。それと中途半端に壊れた感じ。」
詠守さんも、夢呟と同じくらい分からない事を言う。
「そうね。夢呟に会ったときからかしら。あなた、夢呟に惚れた?」
僕は頷いた。
詠守さんは、悲しそうに溜め息をついた。
「あー、だからか。夢呟は重症だもの。唖奏君、感染したのね。残念だなぁ。唖奏君は私が壊す予定だったのに。」
「何で、」
詠守さんは、僕の首を絞め始めた。
「心は失敗しても、体くらいは壊させてよね…?」
詠守さんは、破壊衝動に取り付かれているのか。
首を絞める力が女の子とは思えないほど強い。
「ああ、これが命綱のない綱渡りなのかな」
僕が呟くと、詠守さんは嘲笑う。
「言うことまで、夢呟に似てるね。嫌だなぁ、そういうの。力が入っちゃうから」
苦しい。詠守さんは僕を壊す気だ。



「ごめんね、唖奏君…」



私、夢呟が大嫌いだから。





「どうしたの?」
はっ、と起き上がると詠守さんが僕を見ていた。
僕は机で眠ってしまっていたらしい。
栞の挟まっていないミステリ小説がその証拠だ。
「あ、ごめん。もう教室閉める時間か」
「珍しいね。唖奏君がこんな時間までいるなんて」
先ほどの夢を思い出すと、詠守さんが恐ろしく見えてしまう。
だからなのか、小さな声で答えた。
「そうかな…。」
「夢呟はもう帰ったよ。唖奏君、最近は夢呟と一緒だよね。」
夢呟には先に帰ると事前に伝えられている。
だから、暇つぶしにミステリ小説を読んでいたんだ。
「夢呟が好きなの?」
詠守さんが興味津々に僕を見る。
僕は彼女から目を逸らして、答える。
「さぁね…」
「秘密なーんだ、残念。」
詠守さんは楽しそうに笑う。
ミステリ小説をしまい、鞄を持ち上げる。
「帰るよ、じゃあね、詠守さん」
「ばいばい、唖奏君」
僕が教室を出た後に、激しい物音がした。
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