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女の子ブーム発動。
来鈴→あさぎ→優衣→宇美→茅野→芳賀→イシア→アルリス→最火→にょた物の順で、力尽きるまで頑張る。


今回は、来鈴舞皆。

・あまりにも優しくない彼女
※瀬戸氷河
「あ、いたいた。暇そうでよかった。」
「木津樹さん?」
ロビーで恭二達の帰りを待っていると、木津樹さんがこちらを呼ぶ。
「連絡しておこうと思ってね。もうすぐ榎本君達より酷い有様のやつが帰ってくるよ。」
「は?」
「いやー、治癒術師という発想は素晴らしいね。」
木津樹さんがそれだけ意味ありげに呟くと、ふらりと立ち去った。
そのすぐ後に、本部のドアが荒く開かれる。
そのドアを開けたのは、血塗れの来鈴さんだった。
「ちょっ、来鈴さん!?」
俺が慌てて駆け寄ると、来鈴さんは、くすりと笑う。
「あら、いいところに治癒術師さんがいたのね。助けてくれます?」
彼女の余裕そうな声に、頭が冷える。
「……科学室に行きますよ。なんか薬とかあるでしょうから」
「ふふ、宜しければ肩もお借りしたいのだけれど」
というが、すでに来鈴さんは俺の肩に手を置いている。
「既に借りてるじゃないですか」
「そうね。ごめんなさい。」
「つか、抱えていきますよ。来鈴さんくらいなら」
「それは止めるべきね。私が殺されてしまうわ。」
「誰に」
「貴方の知らない嫉妬心に」
「ん?」
「分からないのならいいわ。急ぎましょう。血が保たない。」
来鈴さんに急かされて、科学室に入る。

来鈴さんは、傷を負っているのに、余裕のある表情をする。
荒い息遣いであるはずなのに、口を開けばいつもの冷たい声で話す。
痛みを感じているはずなのに、感じない振りをしている。
恐ろしい、人だった。
「油断した」
科学室で椅子に座るなり、来鈴さんは愚痴るように言った。
「まさかあんなに撃たれるとは思わなかったもの。いいえ、私の正体がばれるとも思わなかったわ。人間だと思って、油断したのかしら。白河さんのいう通り、あの街は肥大化し過ぎたわね。そもそも――」
もはや愚痴だった。
俺は、彼女に聞いてみる。
「来鈴さん……痛くないんですか?」
「痛いわよ。けど、どれも急所ではないから、死ぬなら出血多量で死ぬだけよ。」
返ってきたのは、彼女らしい冷たい答え。
「――だよな。ちょっと待ってて下さい。」
魔力を集中させる。
足元の傷が深かったが、完治した。
「思った以上の効果なのですね。有り難うございます。助かりました。」
またも平淡に話す彼女。
段々と苛立ってきた。
「来鈴さんが、傷だらけなの、見たくなかったですよ」
「ここは、戦場なんだから、傷は当たり前じゃないですか。」
「来鈴さんは、あまり前線にはいないだろ」
「私は、秘書として雇われましたからね。本来であれば、前線には行かないわね。」
「だったら、俺とか護衛につけてもいいだろ」
「それは貴方が暴れたいだけではなくて?」
「そうですけど」
「……正直ね。」
まとまらない言葉を、少しずつ紡ぐ。
「嫌なんですよ。才臥とかならともかく、来鈴さんが傷付いてるのを見るのは。」
「それは、」
「もちろんあさぎちゃんや優衣ちゃんが傷付くのも、嫌ですよ?なんだろ、やっぱ女性だからなんですかねー……。」
「なら、偏見ではなくて?まぁ、過去にも兵役というのは、男にしか課されないものであったと聞きますからね。」
「そう、それですよ。喧嘩は男のもんじゃないですか」
そこで彼女は、怪訝な顔をした。
「時々貴方は意味が分からないわ。」
「……んー」
やはり思うように伝わらない。
「そうやって、言葉を詰まらせてまで、何が言いたいのかしら?」
来鈴さんが、苛立ちながらも聞く。
俺は頭に浮かんだ言葉を告げた。
「俺も酷い目に遭いますけど、あんたくらいは守れますよ。」
来鈴さんは、一瞬表情を変えた。
「……それが本心ね。かっこいいじゃない。」
「茶化されてる?」
「だって貴方は、受けだもの。似合わないわ。」
「いや、待て待て」
「そんな風にかっこつけられたって、困るだけだわ。やっぱり貴方に攻めは無理ね。特にノーマルは無理。」
「あの、来鈴さん?」
かなりメタな発言が聞こえたような。
来鈴さんは、柔らかい表情で笑う。
「ふふふ、でも、そうね。貴方は聞き上手な気がするから、頼もうかしら。たまに私の愚痴を聞いてくれるかしら?」
「愚痴、ですか」
「ええ、私は殺したい程、木津樹さんが嫌いなのよ。自分で何もやろうとしないで、全部私に押しつけて。そして、一人でケーキ食べてるのよ?腹立たしくならない?」
「そんな人なのかよ、あれ……」
「続きは、私の部屋にしましょう。コーヒーと紅茶なら、どちらがお好き?」
「コーヒーだな」
「それなら行きましょう。」

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目指した大人の恋愛が、捻れてこうなった。

氷河攻めとか無理だわー!
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