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零雨様より、氷河と芳示の話を頂きました!

先ほどの続きであります。

※バッドエンド注意!

※瀬戸氷河
俺が捕まってから、何事も無く数日が過ぎた。
いつもなら(捕まるのにいつもならという表現はおかしいが)、拷問されたりだとか実験されたりだとか、俺の神血を魔術師が放っておくわけがない。
「こんにちはー、神血君」
檻の外に俺を捕まえた魔術師がいた。動物園で動物を見るかのように無邪気に俺に手を降っている。
「今日はね、神血君に面白いものを見せに来たんだー」
「なんだよ、それ」
魔術師は答える代わりに手に持っていた長い鎖を俺に見せ、それを引っ張った。その鎖は扉の外まで出ている。じゃら、と音がして誰かが中に入ってきた。
「芳示……!?」
その人物は芳示だった。魔術師の鎖が首輪に繋がっており、一緒に手錠も繋がれている。全身傷だらけで、格好良い顔は見るも無惨だ。特に酷いのは右足。どうやったのか、ひどく焼けただれていて芳示は足を引き摺りうまく歩けていなかった。
「お前……芳示に何した!?」
「氷河」
俺が怒りで声を荒げるも、芳示が俺の名を呼んで制す。その声は氷の様に冷たかった。
「ちょっと黙ってろ」
芳示と目が合う。その目は覚悟に満ちていて、まるでこれから死にに行くような、そんな恐ろしい目付きをしていた。
「お前は拷問とかされねーらしいから、安心して見てろって」
「そーそー。神血君には手出さないからさー」
「それって……まさか」
「黙ってろっつったろ」
ギロリと睨まれ、俺は出しかけた声を引っ込める。その様子がおかしかったのか、芳示はフッと笑った。
「はーい、実験体君。どーぞ」
かしゃん、と首輪と手錠を繋ぐ鎖が外れ、手錠があるものの、芳示の腕がある程度自由になる。魔術師はその自由になって手に何か瓶を持たせた。
「神血君。今何渡したか分かる?分かんないよねー?これね、俺の魔術入りの特製硫酸だよー」
「っ!?」
「実験体君の実験ショーだよーん!実験体君がんばれー!」
芳示は瓶の蓋を開けると、それを口元に近付け――口に入れた。ゴク、と喉が上下して飲み込むのが見える。
「――――ッ!!」
芳示の手から硫酸の入った瓶が滑り落ち、ガシャーンと部屋に響く。と同時に芳示が床に倒れ込んだ。
「芳示ッ!」
苦痛に顔を歪ませ、口をぱくぱくと動かす芳示。初めは床で転げ回っていたが、すぐに喉を掻きむしり始めた。あっという間に手と首が血塗れになる。
「アハハハハ!!すごー!良いリアクション!」
魔術師はあろうことかぴょんぴょんと跳んで面白がっていた。
「てめえ!」
「んー?あの実験体君は君の代わりに進んでやったんだよ?」
「俺の、代わり?」
「そうそう。あ、硫酸の致死量って10mlちょっとだから、ほっといたらもーすぐ彼死んじゃうよ」
アハ、と魔術師は気持ち悪い笑顔で笑い声を上げる。床には吐いたんだろう吐瀉物が溜まっていた。芳示は苦しそうに咳き込んでいる。よく見ると口の回りも足のように焼けただれていて、転げ回ったせいで洋服も所々焼けて穴が空いていた。
「頼む!芳示を殺さないでくれ!」
「えぇー?」
「何でもするから!俺の体で実験してもいい!」
「……本当に何でも?」
「ああ!早く芳示を!死んじまう!」
魔術師は俺の檻の鍵を黙って外した。
「じゃ、神血君が実験体君を治してよ」
ソイツの顔はさっきと同じ笑顔のままだった。俺は急いで芳示に駆け寄り、芳示の喉に手を当てて治癒術を掛ける。
「芳示ッ、芳示……ッ!」
焦って上手くイメージが働かない。早くしないと、芳示が死んでしまう。死んでしまう、死んでしまう!そう思えば思うほど、頭が働かない。思うようにいかない治癒術に、じわりと涙が浮かんで零れる。
「ほ、うじ……!」
もう無理だ。そう思い掛けた時、芳示の手が俺の手に被さり、ぎゅっと握った。温かい。芳示は、まだ生きている。不思議とパニックになった頭が落ち着くのが分かった。
「芳示、お前は殺させねぇ……!」
今度は、落ち着いて治癒術を掛けることが出来た。口から内臓にかけて、喉の傷、全身の焼けた跡、全てを治してやる。
「……ひょう、が」
「芳示!」
ようやく芳示の顔が苦しそうで無くなり、俺はホッと安堵のため息をついた。
「良かった、芳示が死ななくて……!」
「ハッ、俺が死ぬわけねーだろ」
言いつつ芳示は起き上がって俺を庇うように背に置く。彼の顔の先には、魔術師が居た。
「俺は、約束守ったぜ?」
「そーだねー。でも神血君との約束はまだ終わってないよー?」
「なんだと?」
魔術師の笑顔が深まるのと同時に、芳示の背中から赤い何かが生えてきた。いや、生えたんじゃない、芳示の体を貫通しているんだ。
「が……は……っ」
芳示を刺した物体はそのまま上へと伸び、芳示を串刺しにしたまま宙へとぶら下げる。まるで百舌鳥の早贄のようだ。
いつの間にか魔術師は俺の隣に居て、俺の背中を優しく押した。
「さーて、神血君。実験体君が死にそうだよ?早く治してあげなよー。アハハハハ!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで、バッドエンドな芳示と氷河を頂きました!
痛いの好きです!ありがとうございます!
この先に救いはありません。バッドエンドだもん。

魔術師はどいつもこいつもイカれてるくらいがいい。
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