氷河ヒロイン化企画。
どんな形であれ、絡まれるのはヒロインの特権。


今回は、弱者ーズ。

・弱いからこそ徒党を組め
※瀬戸氷河
今、俺はかなり後悔している。
俺の問題に、巻き込んでしまった事を。
最も弱い彼らを巻き込んでしまった事を。
「もう、いいから逃げろって！」
「「「そしたら、俺たち減給なの！」」」
魔術師は高らかに笑う。
そして、前線にいた赤羽が吹き飛ばされる。
「おい、赤羽！」
「だい、じょぶだから……っ！氷河は自分だけ守っててくれない？」
手仕舞と津川が、俺を守るように傍に集まる。
「氷河、まだ傷付いてないね？」
「あ、ああ……」
「なら、安心だ！俺たちの給料が！」
ことのあらましはこうだな。
手仕舞、津川、赤羽の三人は、魔術師と戦ってる俺の加勢にいけ、と任務を受けたらしい。
その時、白河さんがこういったそうだ。
『最近、瀬戸が魔術師と絡むと、必ず大怪我して帰ってくるんだ。おまえら、今回もそうなったら、減給な』
だから、彼らは怯えながら戦ってる。
あまり魔術師と争わないような三人が。
「俺が条然を加勢に行くから、津川は絶対氷河守れよ！」
手仕舞が、鉄爪を手に斬り掛かる。
「さて、そろそろ試しどきかな……？」
津川がライフルに弾を詰める。
急に影が黒くなる。
「津川っ！離れろ！」
「っえ？」
津川を前に突き飛ばす。
その真下から影の槍が伸びる。
反動を利用して、俺も後ろにバックステップで下がる。
「氷河っ！」
下がったところに、更に影が剣の形をして、斬り掛かる。
「ぐ……っ！」
咄嗟にガードし、浅く腕を斬られる。
「やばい、減給！」
津川が、魔術師に向けてライフルを撃つ。
科学の作り出した魔弾らしいそれは、火をまとうが魔術師を掠める。
「何してんだよ、津川ー！」
「ごめん！」
手仕舞が、津川を怒鳴る。
「大丈夫、氷河？」
津川が、心配そうに俺の傷をみる。
「……わりぃ、限界だわ」
「え？」
津川が置いたライフルを取る。
そして、弾を詰め替える。
魔弾ではなくただの弾に。
「俺にも暴れさせろ！」
ライフルを撃つ。
やはり魔術師を掠める。
魔術師は風の防御魔術を使ってんだな、あれは。
「返す！」
「え、えぇ！？」
津川が戸惑いながらも、受け取る。
魔術師に接近するために地を蹴る。
氷の魔術式を詰めた魔弾の入ったハンドガンを抜く。
「氷河！？」
赤羽が、驚いて振り返る。
「馬鹿、あぶねぇだろ！」
背を向けた赤羽を狙う魔術師が、魔術を発動させようと杖を振りかざす。
「させるか！」
手仕舞が鉄爪で、杖を弾く。
「凍れッ！」
俺が魔術師の足元に魔弾を放つ。
魔術師の足は凍り付き、身動きが取れなくなった。

「氷河、何してんのさ」
赤羽が、呆れながらも聞く。
「やっぱ戦ってる時のがいいわ、すっきりする。」
「本当に戦闘好きなんだね、氷河って。」
赤羽が剣をしまい、俺もハンドガンを戻す。
「ヒ、ヒヒヒヒ……っ！」
魔術師が笑う。
「こいつ、まだ……！」
俺がハンドガンを構えるより早く魔術師が指先から魔術を放つ。
「氷河！」
手仕舞が、俺の前に立つ。
「うあぁっ！？」
雷の魔術を手仕舞が食らう。
そして、崩れ落ちるように倒れた。
「やっぱ止めさせばよかったね。」
津川がライフルで魔術師の頭を貫く。
俺は倒れた手仕舞に治癒術をかける。
「おい、手仕舞！」
「……氷河って、本当にすごいね、これが治癒術かぁ……」
それほど強い魔術ではなかったからか、すぐに手仕舞の治癒は終わった。

落ち着いた所で、俺は三人に向き合う。
「……ありがとな。津川に赤羽に手仕舞。」
三人は何故か互いに顔を見合わせる。
「……気にすんなって」
「いいって、いいって！」
「氷河まだ若いんだからー、無茶すんなよー？」
最後に手仕舞さんが、笑う。
「それは聞けないな」
俺もくすりと笑う。
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にゃーっ、ぬるい！