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アンハッピーシリーズ第一弾。

幸せにしてぇんだよー!


※天城芳示
ホラーハウスから出てくると、氷河は両手を上げて伸びをする。
その後、恭二を睨む。
「恭二が後ろから驚かすから、違う意味で怖かったっつの」
「だって、氷河いいリアクションすんだもん。そりゃやるだろ!」
「んだと、馬鹿恭二!」
二人が楽しそうに笑う。
あんなに笑う氷河は、久しぶりに見た。
きっと、恭二が吸血鬼に襲われてからずっと見てない。
「幸せかよ、畜生」
「幸せよ」
後ろから悪魔の声がした。
「思い出して御覧なさいな。彼が吸血鬼に襲われてから、先の話を。」
答えない俺を見て、悪魔が笑う。
「彼の記憶を隠すために誤魔化しながら暮らして、自分が吸血鬼に狙われてからは、なるべく貴方達を巻き込まないように、自分だけ傷付いて、更には魔術師にも狙われ、利用され、実験され、殴られ、斬られ、縛られエトセトラ。こんな記憶があるから、彼は笑えないのよ。」
「……だろうな。この世界はあいつには酷だ。」
「それなら、こんなもの全部忘れてしまえばいい。ずっとここで遊んでいたらいい。そうしたら幸せでしょう。」
俺は悪魔を嘲笑う。
「ちげぇよ。あれでもあいつは幸せじゃない。」
「本当にそうかしら?」
悪魔は、すっと消えた。

三人はいつの間に、射的みたいなゲームでハイスコアを出していた。
「なんかやった!いえーい!」
「「いえーい!」」
三人でハイタッチ。
俺も混ぜろ。
「あ、芳示遅いよ。」
丙が俺を呼ぶ。
ハイスコアを出したのは、氷河だった。
自慢気に玩具の銃をくるりと回す。
「いや、しかし、俺何でこんな上手いんだろ……」
氷河が呟くと、すぐに頭を抱えうずくまる。
「氷河!」
「な、んで、だろ……?何かを、忘れてる、ような……?」
氷河の記憶が完全に消えていない。
それに気付いた着ぐるみの従業員が話し掛ける。
「どうかしましたか?病気ですか?でしたらこちらに……」
「うるせぇんだよ!」
着ぐるみの従業員の頭を回し蹴りで蹴り落とす。
着ぐるみは黒い影に変わる。
俺は氷河の腕を乱暴に掴む。
「さっさと立て、氷河」
「え……?」
氷河の身体を引く。
氷河が引っ張られながらゆっくりと立ち上がるのを、確認してから、走りだす。
何処でもいい。逃げるために。
「芳示!?」
「うるせぇ!黙って走れ!」
恭二も丙も、俺たちを追い掛ける。
更に後ろに、着ぐるみの従業員と悪魔が追い掛けてくる。
人混みはいつの間にか黒い影として消えていた。

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幸せのシーン短すぎんだろ!!
私、氷河を幸せにしたいんじゃないのか!?

ぐおおお……。
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