忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

アンハッピーシリーズ第一弾。


逃げ出せ、悪魔から。


※天城芳示
氷河を引っ張りながら、遊園地を逃げ回る。
途中、何度か追っ手に捕まりにそうになったが、恭二が太刀で振り払う。
突然、氷河が笑いだした。
「そういやさ、前もこんなことあったよな!芳示が俺を連れ回してさ!」
「あぁ?あったか、そんなん?」
走りながら、答える。
氷河の笑みを見ると、惑う。
悪魔の言葉が蘇る。
『嫌なことを忘れた彼は、幸せよ』
違う、この氷河は、幸せじゃねぇだろ……。
「あったよ!俺が家にいた頃に、恭二と芳示が俺を無理やり連れ出してさ!」
「ああ、あの頃のお前はおとなしかったな!」
「だろ!?でも、やっぱ嬉しかったよ!あの時から俺の世界は変わったんだから!」
――どん底にな。
今の氷河はそれから先の記憶が無い。
だからこそ、無邪気に笑える。
なんだか今の氷河の方が見てて痛々しい。
「何処に逃げるつもりなのかしら!?」
後ろから悪魔の声が響く。
「逃げ場なんてないわよ!ここは、私の遊園地なのだから!」
周囲を着ぐるみの従業員で囲まれる。
俺たちは、氷河を囲むように集まる。
「芳示、氷河の手は離すなよ。」
「恭二!?」
「今日だけは、譲ってやるよ!俺はここでヒーローになるからさっ!」
恭二がにやりと口端を上げて笑う。
すぐに地を蹴り、太刀で影を凪ぎ払う。
「氷河、離すなよ」
「わ、分かってる!」
氷河が改めて俺の手を強く握り返す。
少し震えてるのが分かる。
戦えない氷河には、怖いんだ。
俺も安心させるように強く握り返す。
「行くぞ!」
目の前の影を蹴り飛ばす。
すると、奥に見えたのは城だった。
高いところなら、少しは安全だろう。
「芳示!走って!」
丙が俺の後ろの影を蹴る。
そして、針を構えた。

城の近くにある時計塔を見る。
城よりは狭いし、追っ手は来ないだろう。
「私からは逃げられないわよ!」
悪魔が指をならす。
「氷河、こっちだ!」
城に向かおうとしていた氷河を引っ張る。
「うわぁっ!?」
引っ張られてバランスを崩すが、持ち直す。
「あっぶねーだろ、芳示!俺が本部にいなか――っ、な、何言ってんだろ、俺?」
氷河が本部の話をしようとしたら、砂嵐のような音がそれをかき消した。
時計塔は螺旋階段。
手を離すことなく、駆け上がる。
途中、氷河がふらりとバランスを崩す。
階段につまづいてやがる。
「氷河!」
俺は転びそうになる氷河を支えようと、振り返る。
氷河が俺の胸に飛び込むように倒れる。
勢い余って俺は、氷河を庇って壁にぶつかる。
「ぐ……っ!」
「芳示!わりぃ、えっと……」
氷河が記憶に無いはずの、治癒術をかけようと手をかざす。
しかし、下から着ぐるみの従業員が追ってくるのが見えた。
「いいから立て!」
「え、あ、わかった!」
氷河が、ふらりと立ち上がる。
再度、氷河の手を引いて階段を駆け上がる。
倒れこんだ時だって、手を離しはしなかった。

屋上の扉が見え、それを蹴破る。
ついに行き止まり。
ある程度扉から距離を空ける。
氷河は、体力の限界だったか、息遣いが荒い。
俺も余裕はない。
「ふふ、もう逃げられないわよ」
悪魔の女が、現れる。
背後には着ぐるみの従業員がひしめいている。
「ほう、じ……っ」
氷河が助けを求めるように俺の名前を呼ぶ。
繋がれた手を強く握られる。
きっと氷河は、なんで俺が逃げてたかなんて分からないはずだ。
しかし、今は知らないからこそ怖がっている。
今の氷河は、脆くて弱い。
「さぁ、どうするの?」
悪魔が一歩ずつ足音を立てて近付いてくる。
その音を聞くたびに、氷河が震えてるのが分かる。
「恭二、わりぃな」
俺が呟くと、氷河は不思議そうに俺を見る。
なんで謝るの?みたいな表情だ。
それがちょっとおかしいな、と思いつつ、繋いだ右手を利用して氷河の身体をこちらに引き寄せる。
そして、すぐに手を離し右腕で氷河の身体を抱き締める。
左手で氷河の顔を固定する。
驚いて動かない氷河の顔に、唇に近付き。
キスをした。

-----------
ロマンチストなキスは、全てを救う。

続き、書きまーす!

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]