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零雨様より、鹿屋と末沢の話を頂きました!

これが、彼らの日常。

※末沢針弥
「あれぇ?」
趣味であり、日課でもある洞窟探検の最中、僕は思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。
「また行き止まりだ」
ぺた、と行き止まりになっている壁を触る。淡い蒼色の鉱石が普通の岩に混ざって綺麗だ。
僕はキョロキョロと辺りを見回してから、赤と青のマントを翻して来た道を引き返す。地図なんてものは持ってないし、地図を作ろうとも考えない。いつものことである、罠は引っ掛かってこその罠だし、避けられればそれに越したことはないけど、自分の体と頭で覚えたいのだ。罠を理解し、反射で避けられる様になるまで覚えたい。本部の人たちは「物好きだな」とか言うけど、今まで死んでないし何とかなるんじゃないかと思ってる。
「それにしても……行き止まりが多いなあ」
僕は結構記憶力が良い方だ。地図に書かない分、道なんかは一回で覚えられる。迷路の類いは盛大に迷うけど、そういう時のために食糧だけは大量に持っているので死にはしない。さっきからやけに行き止まりが多い。ここは迷路系ダンジョンなんだろうか?
「って、あれ?」
目の前には壁があった。来た道を引き返しているにも関わらず、だ。
「おかしいな……間違えたのかな?」
さっきと同じ、蒼い鉱石の混ざった壁が目の前にあり、僕はさっさと戻る。
しかし。
「えっ、え、えぇ?」
さっきまで探検していたはずの別れ道が無くなっていた。あるのは、蒼い鉱石の混ざった壁。しかも、さっきよりも鉱石の量が増えている……気がする。
これは確実に変だ。多分洞窟型の大規模なトラップなんだろう。仕組みは分からないけど。
「……鹿屋さんが迎えに来てくれるかなぁ」
文句を言いながらもいつも迎えに来てくれる鹿屋さん。鹿屋さんは優秀なので罠に引っ掛かる前に避け、僕にわざと引っ掛からせる。でも優しいのですぐに助けてくれる。今回もうろうろしてれば来てくれるかなあ、なんて考えた時。
「末沢!」
噂をすれば鹿屋さんの声が聞こえた。
「鹿屋さ、――ッ!?」
振り返って足を踏み出した瞬間、右足に激痛が走った。
「なっ、トラバサミ……あはは」
足元にはトラバサミがあり、それを気が付かずに踏んでしまったらしい。最後の最後に引っ掛かるなんて僕も運が悪い。鹿屋さんが来る安心感から、僕は痛いのに笑ってしまった。
鹿屋さんはきっと呆れるだろうから、来る前に外しておこうと屈んでガチャガチャといじる。思ったよりも簡単に足は抜け、ほっとした。
「……鹿屋さん?」
やけに来るのが遅いなあ、なんて思って声のした方を見て――血の気が引くのが分かった。
声が聞こえた方向には、壁しかなかったのだ。


※鹿屋牙狼
「はあ……」
洞窟の中で俺はため息を着いていた。何故なら、この洞窟の先には末沢が居るからだ。
「あー……何やってんだか」
またため息をつく。いつもなら既に末沢を見付けてもいい頃合いだ。そうでないのには理由がある。
入口近くから今までの壁面にポツポツと現れ増えてきた小さな蒼い鉱石。これは魔術効果が込められている危険な物質だ。使い方を間違えなければ危険はないが、洞窟などの閉鎖された空間では共鳴が起こり幻覚などの魔術を発動させるかなり厄介な物である。しかも、視覚や聴覚など色々な方向から訴えかける物なので、強い防御壁でも張っていなければ影響を受けてしまう。加えて厄介なのは、ここが以前本部で倒した悪質な魔術師が通っていたという情報があることだ。そんな洞窟がただの洞窟であるわけがない。
「あっ……鹿屋さん!」
「……末沢?」
末沢の声が聞こえたような気がして、俺はその場で辺りを見回す。のと同時に嫌な予感がして反射的に飛び退いた。
「――ッ!」
ガッ!という音がして、俺が先程までいた場所にボウガンの矢が刺さっていた。
「冗談じゃねぇぞ……!」
俺は思わず舌打ちして、来るであろう第二撃に備えて印を組み、火術を発動させた。洞窟なので酸欠になる可能性もあるのだが、ボウガンに撃たれて身動き出来なくなるよりかはマシだ。
ゴウッ!とボウガンの第二撃がに近付いてきた瞬間、俺の回りを炎が包む。それはすぐに消えたが、ボウガンの矢は焼け消えていた。
「幻聴まで聞こえるようになるのか……!」
俺は蒼い鉱石の効果については知識だけで実際に入ったのはこれが初めてだ。ある程度の惑わしは予期していたが、こんなに面倒なものだとは。俺は蒼い鉱石対策に柊さんから貰った御守りがある為まだマシなんだろうが、それでも幻聴が聞こえるのだ。御守りも無い、俺よりも長時間影響下にいる末沢の方がマズいかもしれない。
「末沢……!」
俺は攻撃に警戒しながら先を急いだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
続きまーす。
これは、結構初期にもらった奴です。

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