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零雨様より、鹿屋と末沢の話を頂きました!

洗脳の魔術師編。

※ちょっとグロ注意。

※末沢針弥
ある日の夜中。僕は何となく、本当に何故か目が覚めた。いつもは月の光が顔に掛かるのだが、今日は何故か暗い。僕はゆっくりと窓を見た。
「っ!?」
鹿屋さんが、側に立っていた。
「鹿屋……さん?」
「…………」
「帰ってきてたんですね、良かった……!」
昼に純也達から嫌な情報を聞いていたので、鹿屋さんが無事に帰って来てくれたことに安心した。
「……鹿屋さん?」
鹿屋さんの反応がない。僕は不思議に思ってもう一度話し掛ける。
「どうしたんですか……?」
「末沢」
鹿屋さんは唐突に僕の名前を呼んだ。それが皮切りとなって、僕が口を挟む間もなく彼は言葉の羅列を並べ始める。
「末沢は俺のことどう思ってる?」
「好きか?」
「嫌いか?」
「無関心か?」
「俺はな、」
「『殺したい』」
「殺したくて殺したくて殺したくて殺したくて殺したくて殺したくて」
「どうにも見てられないんです」
「側に居られずにはいられないんです」
「末沢は俺の『トクベツ』なんですよ」
「あのですね、俺我慢してたんだよ、してたんです」
「ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと」
壊れた機械のように、鹿屋さんは言葉を羅列する。「変」だ、いつもの鹿屋さんじゃない!
「末沢のことがな?分かるだろ?分かりますよね?だって俺の末沢だし」
「末沢」
「末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢」
「なんで」
「なんでなんでなんで」
「俺の末沢」
「俺に気が付いてくれないんです?」
「見てくださいよ」
「こっちを見ろ」
「俺を見ろよ」
気が付くと僕は鹿屋さんに両手首を押さえ付けられ押し倒されていた。
「か、鹿屋、さ……っ!」
「良い顔ですよ」
鹿屋さんの顔が愉悦に歪む。
「もっと泣いて鳴いて媚びて乱れて叫んで下さい」
鹿屋さんがゆっくりと僕の目を覗き込む。鹿屋さんの目は狂気で狂喜に凶器な眼をしていた。そのまま彼はべろ、と僕の瞼を舐め上げる。嫌悪で鳥肌が立った。
「う……っ」
「ハハ。こういうの、嫌ですか?ならもっと嫌な事してあげますよ」
頭が移動し、顔に鹿屋さんの短い黒髪が掛かる。と同時に喉元に鋭い傷み。首を噛まれた、のか。
「気に入った人間の血の味は違うって言いますけど、全然変わらないですねぇ」
顔を上げてにこりと微笑んだ鹿屋さんの唇は僕の血で赤く、それを舌で舐める仕草が妙に艶かしい。
「やっ……あ……」
また顔が見えなくなり、首に生暖かい感触がする。べろぉ、べろぉと血を舐め取られ、ぐりぐりと舌で傷口を抉られる。
「そうだ」
傷みと不快感に耐えていると鹿屋さんは満面の笑顔でまた顔を上げた。
「足」
「え?」
「足、痛いですよね?傷、傷みますよね?」
右手を離し、鹿屋さんは腰のポーチを探る。確かそこには武器が入っていた筈。その予想通り、彼の右手には小刀が握られていた。その手を無造作に振るい、そして僕の手に突き刺した。
「いっ……ぐ、うう……!」
ベッドに縫い付けられた僕の手。悲鳴を出すことは堪えたが、思わず涙が顔を伝う。
「ああ……可愛い。可愛いです、末沢」
「どう、して……鹿屋さん」
「俺はね、魔術師に会ったんですよ、崇高な魔術師に。でも何ででしょう、本部では指名手配になってるんです」
鹿屋さんは愛しげに、優しく僕の涙を舐めとる。気持ち悪い。血の臭いがする。
「その人の言葉に魅了されたんですよ……壊してでも、自分の物にしてしまえば良い、とね」
僕は理解した、鹿屋さんは洗脳されているのだ。任務で魔術師に捕まり、魔術で操られてしまっているのだ。……でも、どうして僕の所へきたんだろうか。
「末沢」
僕の冷静になろうという思考を邪魔するように、操られた鹿屋さんは僕の名前を呼ぶ。
「末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢末沢」
何処から取り出したのだろう、鹿屋さんは大きな斧を持っていた。ギシ、とベッドが軋み、鹿屋さんが床に立つ。
ゆらり、ゆら。鹿屋さんの足が覚束無い。
「足、痛いですよね?」
もう一度鹿屋さんは言った。
「まさか、いや……っ!嫌だ!」
嫌な音が聞こえた。肉と骨が折れて千切れて裂けて切れた音。
認めたくなくて、顔を動かせない。鹿屋さんの顔に血が、痛い、眼球が勝手に動いて、足に、足が。
「あああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!」
痛い、痛い、痛い痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
「痛いですか?」
「でもそれは俺からの痛みです」
「鉱石化なんかより」
「ボウガンの矢が刺さるより」
「断然幸せでしょう?」
「幸せ、幸せなんだ」
「末沢、幸せか?」
「俺も幸せだよ」
「ハハ」
シーツが、赤く、紅く、朱く、染まっていく。自分の姿、思考、傷みがまるで他人事のように見える。
「末沢」
鹿屋さんは、幸せそうな顔をしていた。
「末沢ぁ……好きですよ、愛してます」


※鹿屋牙狼
末沢が、泣いている。
だが、俺にはどうすることも出来ない。
何故なら、俺が魔術師に操られていて、俺が末沢を傷付けてしまったからだ。真っ白なベッドシーツが赤黒い血でじわじわ染まっている。
「末沢ぁ……好きですよ、愛してます」
こんな所で告白をする羽目になろうとは。一生言わないつもりだった、押し隠していた感情が吐露する。
「良い感じに魔術が効いてるなァ」
振り返る(勝手に動いているのだが)と、俺を洗脳した魔術師がケタケタ笑いながら立っていた。
「オマエって実はかなり病んでるのねェ。テキトーに本部の人間殺させようと思ってたケド……自由にさせて正解だったわ」
「いくら貴方でも、末沢はあげませんよ。末沢は俺の物ですから」
「いらねェよ」
魔術師は声を上げて笑った。コイツこそ殺してやりたいと思っても考えても体は動かなくて。悔しくて悔しくて悔しくてしょうがない。
「オマエがもっとヤッちまえ」
「……誰がやるか、馬鹿」
「おろ?」
声が出た。
「俺を操ろうなんて……良い度胸だ」
「魔術が弱くなってきた、か」
魔術師の手が俺の顔に伸びる。今度は深く洗脳されるだろう。今の俺の意識さえ消されてしまうかもしれない。だが、今の俺は口だけしか自由にならないので、反撃の術はない。ああ、悔しい。
「かっ、鹿屋、さん……っ!」
俺の顔に触れようとしていた手が止まる。魔術師が末沢の方を向いた。
「鹿屋、さん、鹿屋さんっ!」
「末沢っ!」
「僕なら……大丈夫、だから……っ!」
「ギャハ、痛ェならサッサと気絶しちまえば楽なのにヨ」
魔術師が末沢に近付き、体に触れるか触れないかの所まで手を伸ばす。
「いっそオレがトドメをさしてやろーかァ?」
「止めろ!」
俺がいくら言っても悲しいかな体は意思に反して動かない。――と思ったのだが、体が勝手に動いて俺は斧で魔術師を攻撃していた。
「うひょー、あぶねえ!」
魔術師はあっさりと避けてしまったが、末沢を引き離すことは出来た。俺の意思とは無関係に口が開き、声帯が震える。
「末沢は、俺の物ですよ。貴方でも末沢に危害を加えれば、殺します」
「……魔術が完全に消えた、ってワケじゃあなさそうだ。ソレがオマエのパンドラの箱ってか?」
「知らないな」
俺は動揺を隠すため(と言ってもどうせ顔には出ないのだが)にしらを切った。洗脳されて出来た人格はさっきの行動から分かるように末沢にかなりの執着心と独占欲がある。それを害する人間は洗脳した魔術師であろうとも排除するという訳だ。自分で動ければ良かったが、まだ最悪な状況ではない。
「……ヤベ、もう人が来たか」
魔術師は魔術で何か見ているのか、視線を宙にさ迷わせるとそう呟いた。
「オマエはオレの顔を見てる。コイツは見逃してやるがオマエは死んどけ」
俺の胸辺りに手を当てて魔術師は何か呟いた。と同時に体の違和感。
「ぐっ……!?」
「ギャハ、心臓止めちった☆」
俺は床に倒れて意識を失った。

――――――――――――――――――――――――――――――――
痛いものを見たいと言ったっけか、彼女が書きたいといったのだっけか。
とにかく、ちょっと痛々しい話。

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