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妄想の世界観。

癒しをください。


※天城芳示
本部の一室。
俺の部屋に氷河が入ってきた。
まぁ、こんなのはいつも通りでたわいのない話をしていた。
ある単語が出てくるまでは。
「――まるで魔術師の罠みたいだよな」
俺がそういうと氷河は、びくりと肩を震わせる。
氷河はすぐに気遣わせないように、平静を装う。
「ごめん。なんでもねぇわ。」
そう言っても、散々魔術師に弄られた事を思い出してしまったのか、まだ震えている。
「おい氷河」
「ん?」
俺は氷河を抱き締めた。
氷河は、驚いて俺を見る。
「まだ震えてんぞ」
「あ、わりぃ……」
目を伏せる氷河。
安心させるようにはっきりと言う。
「大丈夫だ。次は絶対俺が守ってやるから」
「芳示……」
「絶対、守ってやるから」
もう一度、強く言う。
氷河はただ頷いた。

「――って、夢を見たんだけどさー」
氷河に話すと、氷河は腹を抱えて笑っていた。
「ありえねぇわ!!ぜったいない!」
俺の夢はぶった切られていた。
「そうだよな、お前ならどんだけ魔術師に弄られても、耐えるし、助けて、とか言わねぇもんな。身体に嫌な記憶が染み付いてるわけでもねーし」
ほんと、可愛くねぇよこいつ。
痛々しいだけだ。
「だって俺が狙いなんだったらなぁ?俺は恭二や芳示が巻き込まれる方が嫌だからな。」
痛々しいうえに他人の心配しかしてない。
本当にどうかしている奴だ。
「けどさ、氷河が傷付くのが見てられない奴もいるんだよ」
思わず呟いた。
氷河は、え?ととぼけるだけだ。
「いいか。俺は絶対氷河を守るからな。お前が泣いたって盾になってやる。」
「それ、どういうことだよ」
「お前が望まない事でも俺のためなら遣り遂げる、って話かな」
「……俺は簡単に治せるのに」
「だから、お前は自分じゃなくて俺を治癒しろ」
「なんだよ、それ」
「いいか。自傷行為も禁止だからな。お前の痛みは全部俺が貰う。いいな?」
「え、ああ……」
戸惑いながらも頷く氷河。
「なら、いい」
俺は、氷河も自分も守りきる吸血鬼じゃないから。

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人間が神血に届く方法。
脆い夢と強過ぎる現実。


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