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泣き叫べ、不条理に。
・迷走混濁
※篝祇亜須磨
森の中で誰かが走ってくる。
瀬戸氷河さんだ。
俯いてて表情は見えないが、何やら様子がおかしい。
「どけよ!」
氷河さんが俺を突き飛ばそうとするが、その手を取る。
捕まれたことに驚いて、ハッと顔をあげる氷河さんは涙に濡れていた。
「あ、すま……っ!」
さらに驚かれ苦い顔をされる。
「どうしたんですか!?」
俺が、問い詰める前に氷河さんが手を振り払う。
「……っ、う……」
氷河さんが、嗚咽を漏らす。
そして、何が壊れたように彼は叫び出した。
「どうしたらいいんだよ、俺は……!なぁ、どうしたら、俺は恭二を守れるんだよ!?おれは、なにしたらいいか、わかんねぇよ……っ!」
「氷河さん……」
こんなに取り乱した氷河さんは、始めてだ。
涙を拭うこともなく、ただ叫ぶ。
そして、落ち着いたのか裾で涙を軽く拭う。
「なぁ……どうしたらいい?おれは、何ができる?おれ、はっ……!」
とても悔しそうに拳を握る。
その姿が痛々しい。
「氷河さん、何があったんですか?」
事情を聴こうとするも、 氷河さんは首を振るだけ。
「……う、あぁぁっ……!」
何に耐えきれなくなったのか、氷河さんが崩れ落ちるように座り込む。
俺は、氷河さんを抱き締める。
「氷河さんって、なに抱えて生きてるんだろ……」
泣きじゃくる氷河さんを、見て呟く。
気丈なこの人がこれほどまでに追い詰められる事情……。
十中八九神血だろう。
彼は、自分の血を嫌っている。
そのせいで多くの魔術師、魔物、人間に襲われたのだから当然だろう。
しかし、それでも彼は榎本恭二の為に血を利用している。
「……あす、ま」
氷河さんに呼ばれた。
彼らしくもない弱い声色。
「おれが、エリュシオンを--こわすって、いったら、どうする?」
「エリュシオンを……?」
「違う……。その、王を殺すといったら?」
エリュシオンの王。
エルディアスのことか。
彼は、やっとの思いで楽園を取り戻したんだ。
「そうしたら……俺が貴方の敵になります。」
答えると氷河さんは、弱々しく笑った、気がした。
「だよ、な……あすまは、空の関係者、だからな……」
また氷河さんが声を殺すように泣き始めた。
しばらくして、氷河さんから声がかかる。
「も、いい……」
突き放された。
ようやく見た彼の顔は、少し目元が腫れていた。
まだ涙は止まっていなくて、眼鏡のレンズがかなり濡れている。
「氷河さん、どうしてそんなことを?」
「あすまには、いえない……」
「そう、ですか……」
結構落ち込むな、氷河さんに拒絶されると。
「ねぇ、氷河さん」
「ん?」
「俺は、あの人たちみんな守りたいんです。もちろん貴方も」
黙って聞く氷河さん。
「氷河さんがどれほどの事情を抱えてるかなんて分かんない。けど、俺は誰かが氷河さんを狙うなら守りたい。」
俺は、氷河さんの涙を拭う。
「二度と泣かせたくない、って思いますよ」
「ちがっ……これは、泣いてんじゃなくて……つか、見んな!」
氷河さんがそっぽを向く。
「氷河さん、いや、氷河」
「んだよ……」
「……帰りましょう」
「……わかった、よ」
-------------------
いつも抱えきっていた男の崩落。
とりあえず、満足っ!
※篝祇亜須磨
森の中で誰かが走ってくる。
瀬戸氷河さんだ。
俯いてて表情は見えないが、何やら様子がおかしい。
「どけよ!」
氷河さんが俺を突き飛ばそうとするが、その手を取る。
捕まれたことに驚いて、ハッと顔をあげる氷河さんは涙に濡れていた。
「あ、すま……っ!」
さらに驚かれ苦い顔をされる。
「どうしたんですか!?」
俺が、問い詰める前に氷河さんが手を振り払う。
「……っ、う……」
氷河さんが、嗚咽を漏らす。
そして、何が壊れたように彼は叫び出した。
「どうしたらいいんだよ、俺は……!なぁ、どうしたら、俺は恭二を守れるんだよ!?おれは、なにしたらいいか、わかんねぇよ……っ!」
「氷河さん……」
こんなに取り乱した氷河さんは、始めてだ。
涙を拭うこともなく、ただ叫ぶ。
そして、落ち着いたのか裾で涙を軽く拭う。
「なぁ……どうしたらいい?おれは、何ができる?おれ、はっ……!」
とても悔しそうに拳を握る。
その姿が痛々しい。
「氷河さん、何があったんですか?」
事情を聴こうとするも、 氷河さんは首を振るだけ。
「……う、あぁぁっ……!」
何に耐えきれなくなったのか、氷河さんが崩れ落ちるように座り込む。
俺は、氷河さんを抱き締める。
「氷河さんって、なに抱えて生きてるんだろ……」
泣きじゃくる氷河さんを、見て呟く。
気丈なこの人がこれほどまでに追い詰められる事情……。
十中八九神血だろう。
彼は、自分の血を嫌っている。
そのせいで多くの魔術師、魔物、人間に襲われたのだから当然だろう。
しかし、それでも彼は榎本恭二の為に血を利用している。
「……あす、ま」
氷河さんに呼ばれた。
彼らしくもない弱い声色。
「おれが、エリュシオンを--こわすって、いったら、どうする?」
「エリュシオンを……?」
「違う……。その、王を殺すといったら?」
エリュシオンの王。
エルディアスのことか。
彼は、やっとの思いで楽園を取り戻したんだ。
「そうしたら……俺が貴方の敵になります。」
答えると氷河さんは、弱々しく笑った、気がした。
「だよ、な……あすまは、空の関係者、だからな……」
また氷河さんが声を殺すように泣き始めた。
しばらくして、氷河さんから声がかかる。
「も、いい……」
突き放された。
ようやく見た彼の顔は、少し目元が腫れていた。
まだ涙は止まっていなくて、眼鏡のレンズがかなり濡れている。
「氷河さん、どうしてそんなことを?」
「あすまには、いえない……」
「そう、ですか……」
結構落ち込むな、氷河さんに拒絶されると。
「ねぇ、氷河さん」
「ん?」
「俺は、あの人たちみんな守りたいんです。もちろん貴方も」
黙って聞く氷河さん。
「氷河さんがどれほどの事情を抱えてるかなんて分かんない。けど、俺は誰かが氷河さんを狙うなら守りたい。」
俺は、氷河さんの涙を拭う。
「二度と泣かせたくない、って思いますよ」
「ちがっ……これは、泣いてんじゃなくて……つか、見んな!」
氷河さんがそっぽを向く。
「氷河さん、いや、氷河」
「んだよ……」
「……帰りましょう」
「……わかった、よ」
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いつも抱えきっていた男の崩落。
とりあえず、満足っ!
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