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なにもないって素晴らしい!という話。

いつかに書いたネタを全部解消したら100いくわ。

・休日謳歌の神血姫様
※瀬戸氷河
朝。
「ん、んんっ……」
目が覚めてしまった。
昨日は確か日が上りそうになるまで恭二に絡まれてたはずで、最後には恭二に抱きつかれる形で寝たはずだ。
「あれ……?」
その恭二がいない。
俺を起こさずに出ていったのか。
気配に気づかないとは不覚な。
気にすることじゃねぇな、と腕を伸ばす。
私服に着替えて、部屋を出る。
そう、今日俺にはなんの任務もない!
というか、休みをもらった。
この本部で休みをもらえるというのは、珍しいことらしい。
最初あたりにいた井是さんいわく、普段だって暇だから、依頼がこない限り休みみたいなもの、だそうだ。

午前。
オフで街に来ると、こんなに景色が違うのか!
本部の制服着てうろうろしてると、町の連中に煙たがられるからな。
私服だと活気があるいつもの大都市だ。
それでも俺は、魔術師や魔術結社の人間からしたら有名人なので、帽子で顔を隠すくらいのことは必要だ。
いざとなったら殴るし。
街でこのあとのための食料である菓子パンやコーヒーを買い揃えておく。
休憩に有名なコーヒーカフェのテラスで一休み。
うわー、充実してるぞ、俺。
今までの殺伐とした日々が嘘のよう。
「なに楽しそうにしてんだ」
「留川さん」
酒瓶を抱えた留川さんに、声をかけられた。
「休みなんで、気晴らしに外出てただけです」
「つか上品にコーヒー飲みやがって。氷河らしくなくて苛々する」
「その俺らしさって何?」
「まぁ、いいんだよ。」
よくないだろ。
「留川さんこそ、また飲むんですか?」
「飲むんだよ、今日は派手な任務があるからな」
この人の言う派手な任務は、組織か研究所かアジトを潰す任務だろう。
その度に飲み会されても困る。
「オフのお前を邪魔しちゃ悪いな!じゃな!」
と、留川さんはさっさと帰っていった。
最後の一杯を飲み干す。
「帰るか」

午後。
本部に戻り部屋に戻る。
以前残階さんらに借りた書物が散乱している。
中身は神血の資料と魔術書。
机には書きかけの報告書。
早く書き上げないと山下さんに怒られる。
「まずは、報告書」
椅子に座り、くるりとペンを回す。
嫌な記憶を手繰り寄せながら、書き上げていく。
たまに買ってきたパンを食べつつ、仕上げていく。
メロンパンって、うまい店のならそんなに甘くないんだよな。
さくふわってのが、うまいと恭二に勧められたから買ってみたが正解だった。
俺は甘いものが食べられないって訳じゃないからな。
苦手なだけだ。

なんとか報告書を片付けたので、コーヒーを飲みながら、魔術書を読み進める。
魔術書は読んでて面白いんだよ。
新しい使い方を編み出せそうな気がしてさ。
でも、俺の魔力じゃ足りないような大魔術は出来ないけど、な……。

夕方。
「ん、っ……」
いつの間にか眠っていたようだ。
魔術書が足元に落ちていた。
そして背中には毛布がかけられていた。
「起きた?」
「あ、丙……お疲れ」
任務に出掛けていたはずの丙がいた。
丙は俺のベッドに座って、穏やかに笑っていた。
「怪我、とかしてないか?」
「なに?やっと治癒術師としての自覚を持ったの?」
「違う、違う。丙は特別だ。あんま丙の傷みたくねぇし」
丙がクスクス笑う。
「そっか。大丈夫だよ。ありがと氷河」
「なら、いいんだ」
足元の本を広い、机の上に置いた。
窓を見ると、空が赤い。
「もう、こんな時間か」
「ずっと、読んでたの?」
「いや、街見て報告書書いてた。」
「氷河が報告書をねぇ……」
丙が立ち上がり、机にある俺の報告書をパラパラと見る。
「字は綺麗なのにな……」
「どういう意味だよ……」
苦笑いされた。
そんなに俺の文章力はないのか。
「あ、そろそろご飯食べようよ。」
「ん、ああ、そうだな」

夜。
「氷河ー!」
深夜に恭二が入ってくる。
ちょうど眠ろうとベッドに潜ったときに。
「恭二なー……」
軽く身を起こす。
すると恭二はすぐさま俺のベッドに乗り掛かる。
「貰いまーす!」
「どーぞ」
そして、首筋に噛みつかれる。
この軽い痛みにももうなれちまった。
恭二が上機嫌で、血を吸う。
すぐに牙が離れ、キスをされた。
「だから、自分の血の味なんてきもいだけだっつの!」
「へへへ、だってしたかったんだもーん」
吸血後のキスって、俺の血の味しかしない。
恭二にはうまいんだろうけど、俺には鉄の味しかしない。
「なー、氷河。今日も寝ていい?」
「もう勝手にしろよ……」
ぐふふー、と笑いながら恭二が俺のベッドに潜り込む。
狭い。が、すぐに恭二が俺に抱きつく。
けど、俺はこんなので安心して寝てしまう。
恭二はずっと俺の寝顔でも見てにやついているらしい。

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どこがなにもないって素晴らしいだよ!
どうやらいちゃつくのも、なにもないもうちにはいるようです。

争いもなにもない一日。

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