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完結記念に全部うpしちゃいます。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
そして、零雨様に書いていただいた噂の本編でございます。

キャスト
榎本恭二(えのもときょうじ)
子供心の吸血鬼。
瀬戸氷河(せとひょうが)
凍てつく光の魔弾。
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
赤空核(あかぞらさね)
反面常識人。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
一一哉(にのまえかずや)
計算の策師。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。


○読んでない人でも大体分かる背景講座
●本部シリーズ
魔術師とか魔物がいるファンタジー。「本部」という魔物とかの討伐集団があり、主人公達はそこに所属している。皆戦う。
・榎本恭二(えのもときょうじ)
色々あって半吸血鬼。元気バカ系。氷河は俺のもの。
瀬戸氷河(せとひょうが)
眼鏡受け。治癒術師兼銃使い兼魔銃使い。神血という珍しい血を持つ。
天城芳示(あまぎほうじ)
トップレベルのガンナー。強い。しかし特攻野郎。
大浦丙(おおうらひのえ)
罠師。いつも眠そうやる気がない。協調性が高い。

●最もシリーズ
ファンタジー学園物。能力者が色々バトってるけど、銃や刃物なんかは現実社会と同じく怖いし、普通には使えない。
赤空核(あかぞらさね)
常識を覆す能力。唯我独尊の俺様。転校生。
多々角円(ほぼまるまどか)
上下左右を操る能力。優柔不断で流されやすい。一哉の後輩にあたる。
一一哉(にのまえかずや)
全てを計算して予測する能力。相手の数十歩先を行っているような性格。能力的に核と相性が悪い。
多々角環(ほぼまるたまき)
心を読み書きする能力。落ち着いているが子供っぽい。円の弟。


※瀬戸氷河
「神隠し、かー」
俺達は任務の目的地である洞窟の前にいた。メンバーは俺と、恭二と芳示と丙といういつもの面子。
「任務内容は分かってるよな?」
「分かってるって!消えた人探しだろ?つまんねーのー!」
「俺も同感だわ。魔物討伐とかそういう任務が良かったぜ」
恭二と芳示がぼやく。まあ、正直言ってこの面子は(本部の人間の半数以上は、だが)暴れるのが得意なので、こういう捜索任務は好きじゃないんだろう。そういう俺も暴れる方が良いのだが、任務だからしょうがない。
文句を言いながらも洞窟の中が気になるんだろう、二人はさっさと中へと入ってしまった。
「普通の洞窟に見えるけど……本当にあってる?」
「情報が間違ってなければな」
そう言いながら、俺と丙も洞窟に入る。
決して警戒は怠ってなかった。
なかったのだが、隣の丙が消えていた。
「……え?」
いつの間にか前にいたはずの二人も静かになっていて、しかしそれは二人が居なくなっていたからであった。
そして俺も、意識がふつりと途切れた。


※多々角円
「神隠し?」
「ああ、神隠しだ」
お昼休み、何の話題からそうなったのか、僕達は神隠しの話をしていた。
「釣木学園は特殊な学園だろ?そういう変な事件もあるんじゃあないかと思ってな」
そう言ってサネは焼きそばパンをパクつく。僕も甘めに作ってある玉子焼きを頬張りながら考える。
「んー……僕は外部の侵入者排除がメインであって、学園内部の構造には詳しく無いんだ。そういうのはカズヤ先輩の方が詳しいから聞いてみたら?」「俺が、か?」
やっぱり性格的にサネとカズヤ先輩は馬が合わないのだろうか、サネはいつもと同じく露骨に嫌そうな顔をした。
「サネが、興味あるんでしょ?僕が、あるんじゃないし」
「常識を……」
「ハイハイ、覆さない」
常識を覆してやりたい、と言おうとしたのだろう、僕はそれを遮り携帯を取り出す。僕もサネの扱いに結構慣れた物である。そして、カズヤ先輩に教室に来て欲しい旨を書いたメールを送った。すぐに「了解」と返事が返ってくる。
「……ッ!?」
ハッ、と気が付いた。何で僕は先輩なのに相手を呼び出してるんだ!?普通こっちから行くものだろう!?
「ッ、サネ!」
「これで一さんも俺絡みだって分かるだろ」
『常識を覆した』彼はニヤニヤと笑って頬杖をついている。
「君ってヤツは常識が無いのかッ!」
「常識は覆すモンだろ?」
「ハハ、その常識こそ覆した方がいいんじゃあないかな?」
真後ろから聞き慣れた声が聞こえて振り返る。案の定カズヤ先輩だった。
「よ、呼び出したりなんかしてすみませんッ!」
「構わないよ。丁度君達に用もあったしね」
サネが眉を動かす。何か考えている様子だ。
「……それは、神隠し関連だな?」
「うん、丁度君達が話していた話題だ」
二人は思わせ振りな視線を向け合っている。またカズヤ先輩とサネは水面下で能力の攻防を行っているのだろう。今回は僕にも何となく分かるが。
「学園内にそういう場所があるんですね?」
確認するように聞くとカズヤ先輩が頷く。しかし、神隠しが「現象」ではなく「場所」で起こるならば、そこに気を付ける慣習などが出来るだけで、そういきなり話題になるなんてことは無いだろう。
「でもね、その神隠しが起こる条件が未だに分かっていないんだ。三十年前から神隠しはあるらしいんだけど」
三十年前って、かなり昔からあるようだ。そんな歳月を掛けても分からないし、カズヤ先輩にも分からない物を僕達が分かるわけがない。
「それで、まどちゃんとたまちゃんにその場所に行って欲しくてさ」
「僕と……環に?」
中学生である環を呼ぶとは結構大事になりそうだ。
「うん、たまちゃんなら『読める』と思うよ」
やんわりと微笑むカズヤ先輩に、先輩が能力で何を計算したのか僕はとても気になった。が、聞いても当然教えてくれないだろう。
「……分かりました。今日の放課後行ってみます」
「よろしくね」
はいこれ、と事前に用意していたのであろう詳細を書いてある用紙を先輩は差し出す。用意周到である。
「つまりは」
焼きそばパンが入っていた袋を小さく畳んで結びながら(妙に貧乏臭い)サネが口を挟む。
「俺は一さんと、ってことか」
カズヤ先輩を見ると笑顔が肯定を示していた。サネは目を瞑って眉間を抑える。
「一さんの計算式、俺も少しは読めてきたぜ」
「どういうことだい?」
「今日の放課後、面白い事が起こるってことさ」

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