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完結記念に全部うpしちゃいます。
アンチ・ザ・グラビティ編。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
そして、零雨様に書いていただいた噂の本編でございます。

キャスト
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。


※天城芳示
「芳示?」
丙の声がして、俺は我に返った。
「丙……」
俺達はいつのまにか、出口の光が見えない程洞窟の内部に入っていた。気絶していた訳ではないし、自分の足で歩いていた様な気もする。ただ、ここまでの記憶がすっぱり抜け落ちているのだ。しかも、一緒に居た筈の氷河と恭二が居ない。
「アイツらは?」
「分からない。信じられないかもしれないけど……洞窟に入ってからの記憶が無くて」
「いや、俺もだ」
すまなそうにする丙に俺も首を振る。この断たれた記憶と神隠しは何か関係があるのかもしれない。一応魔鉱石などによる精神影響を防ぐ護符は配布されて皆持っているのだが、全く効果が無かった。それほどに強力な魔術なのか、それとも……。
「とにかく、俺達は離れない様に調査しないと」
気を付けたって記憶が無くなってしまえば無意味だが、警戒はしておくべきなのだろう。
「ところで……」
俺はさっきから視界に入っていた物を見た。丙も気が付いていたようで、同意の言葉を上げる。
「うん、明らかに怪しいよね」
それは、古めかしい扉だった。凄い物を封印してますよー、と扉の雰囲気が語っている。
「行くしかねーだろ」
「だね」
丙が扉に触れると、扉はあっさりと開いた。何かあるだろうという俺の予想と反して、その先の道も全く変化が無かった。あえて言うなら、少し道が狭くなっている程度か。
だが、その少しの狭さはどんどん狭くなっていき、とうとう人が一人通れるかというギリギリなレベルまでになってしまった。
「芳示、大丈夫?」
「何とかな……」
そして、その道はとうとう行き止まりになってしまった。だが、行き止まりとは言っても薄い金属の板のような物で塞がれているだけで、向こうから明かりが見える。
「ちょっと下がれ」
俺は丙と距離を取って、その鉄板を思いっきり蹴った。ガシャアン!と大きな音がしたが、あっさりそれは吹き飛んでしまった。
「広そうだ、行けるぞ」
丙の返事を待たずに俺はそちら側へ出た。
そこは、学校の教室であった。
「な、に……ここ」
後から出てきた丙もその場所を見回して驚いている。黒板があり、机があり、椅子があり、そして何より学生服を着た少年達がいた。
「貴方達は……誰、ですか?」
教室内にいる黄緑髪と緑髪の少年のうち、黄緑髪の方がそう言って首を傾けた。


※多々角環
正直言って、僕は一哉さんや核さんの思い通りに行動するのは好きではない。かと言って、嬉しそうに利用される兄ちゃんを見ていると僕も嫌だとは言えないし、むしろ僕は兄ちゃんには喜んで利用されたいと思っている。それを分かっているからこそ、一哉さんと核さんは兄ちゃんを介してお願いをしてくるんだろう。
そして今回も、兄ちゃんと僕はそんな感じに利用されてとある教室まで来たのだった。
「うーん、パッと見は普通の教室と変わりがないね」
『成果を上げてカズヤ先輩に誉めてもらいたいなぁ』
兄ちゃんは教室に入るなりそう言った。心の中でも。黒板に、机に、教卓に、掃除用具の入ったロッカー。確かに、見たところは何の変鉄もない空き教室だ。
「僕は上の方見るから、タマキは普通に探してみて」
『タマキには無理を言って来てもらったし、帰りにアイス奢っちゃおうかな』
「うん、分かった。あ、僕抹茶アイスが食べたいな」
『じゃあ僕はバニラにしよう』
兄ちゃんは窓際まで行くと、能力を使って窓を地面に立った。そして、そのまま天井へと歩いていき、今度は天井を地面にして足をつける。そうして、天井の様子や電灯の様子を見始める。僕も普通に調査するべく、教卓や机の中などを一つ一つ見始めた。
「うーん、見付からないね」
『まあ、僕達が何かをした、っていうことがサネやカズヤ先輩にとっては重要なことなんだろう』
能力を使わなければ分からない天井や壁などを見終わった兄ちゃんは、僕と一緒に床に降りてロッカーの中などを調べていた。だが、普通に調査しても、特にこれといって目立った点も無く、兄ちゃんは困っていた。こんな時こそ、僕の出番だ。
「僕が『読む』ね」
「お願いしてもいい?」
「もちろん」
僕は目を閉じ、教室の作りを思い出しながら意識を集中させる。段々と目を瞑っていても置いてある物の形が分かるようになり……物の『声』が頭の中に入ってくる。
『毎回重い教科書入れるなよ……』『あの子は綺麗に僕を拭いてくれて嬉しいなあ』『暗いな……』『一緒に帰ろー!』『早く俺を使ってくれねーかな』『サネは何のアイスが好きなんだろう?』『自分の寿命ももーすぐ切れそうだなー』『此処は……何処だ?』
「えっ?」
『物』の声、時折入ってくる外の人の声とは全く異質な声が聞こえて、僕は思わず目を開けた。
『狭いな』『芳示、大丈夫?』『何とかな……』『あれ?』『あ』『なんか明るい』『出口か?ちょっと下がれ』『うん』
その一度拾った声は注目したせいか、一気に大きくなり段々と近付いてきた。
「タマキ?どうしたの?」
ガシャアン!とロッカーの扉が吹っ飛ぶのと、兄ちゃんが僕に声を掛けるのはほぼ同時だった。
「な……え?」
『広そうだ、行けるぞ』『あ、待って……』『ここって……』
兄ちゃんが僕を庇うように前に立ち、扉を吹き飛ばした何かに警戒する。警戒していると、僕が聞いている声の主であろう人達が、人が入れる筈の無いロッカーから出てきた。
「な、に……ここ」
「貴方達は……誰、ですか?」

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