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完結記念に全部うpしちゃいます。
常識観念ブレイク編。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
そして、零雨様に書いていただいた噂の本編でございます。

キャスト
瀬戸氷河(せとひょうが)
凍てつく光の魔弾。
榎本恭二(えのもときょうじ)
子供心の吸血鬼。
赤空核(あかぞらさね)
反面常識人。
一一哉(にのまえかずや)
計算の策師。


※赤空核
「核君に言わなくちゃあいけないことがある」
放課後、一さんと合流した俺は彼にそう言われた。この台詞を言われるのは俺にとって予想の範囲内というか、常識を覆す範囲内だったので逆に聞き返す。
「嘘を吐いていたことか。それとも黙っていたことか?」
「両方だね」
「なるほど。じゃあ行くか」
こんな表面的に見れば適当なやりとりで話が通じるのは、単に互いの能力のお陰だと言える。その能力で対立することも多いが。
分からないだろう多々角の為に説明すると、一さんは多々角に嘘をついていて、尚且つ言っていないことがあった。だから、一さんは多々角の弟の居ない場所で多々角を唆し、お願いしたんだろう。弟がその場にいたら心を読まれてバレてしまうからな。
まずは、嘘をついていること。これは、神隠しが三十年も分かっていない……釣木学園の生徒の異常性を見れば、三十年も謎が解けないなんて有り得ない。もう一つは……まあいいか。
「で?何処に行くんだ?」
「屋上だよ」
一さんはそう言ってから、目を閉じて眉間にシワを寄せた。俺は面倒で能力を使う気になれなかったので、黙ってみていた。計算を一々狂わせるのも面倒であるし。
「え……これは、」
見ていると、彼は驚いたように唸り始めた。パッと目を開けて小走りで歩き始める。俺も着いていく。目的地はそのまま屋上だろう。
「何を見た?」
「……分からない」
「何だと?」
「不確定要素がかなり増えているんだ」
横目で一さんを見る。走りながらも、心は上の空で何処を見ているのか分からない目だった。一さんの能力は計算、つまり出ている事項からXやYを出す。だから、あまりにも分からない事項が多いと計算が上手くいかない。そういう面では俺の常識を覆す能力の方が応用が効くが、俺は未来を計算できる訳ではないので、そこまでは読み取れない。
「計算で何かが出てくるってのは分かるんだけど……その何か、は知らない何かなんだ」
「……ふゥん」
一さんの知識に無いのなら、俺が知る筈もない。俺は適当に相槌を打った。
そうこうしている間に屋上へと着く。鍵は開いていて(掛かっていても無意味だ)、俺達は外へ出た。
「……誰も、何も無いぜ?」
「計算では、『ここで待つ』必要がある」
言いつつ、一さんは屋上の扉を閉めた。俺はフェンスに近付き、校庭を見下ろす。が、ただそうしただけで、頭の中にその視界は入ってこなかった。
「もし、その屋上の扉が異世界に繋がっていたら、帰るとき俺達は神隠しにあうな」
「ハハ、そうだね」
「だが、それは『普通は』有り得ない」
俺は振り替えって一さんを正面から見た。
「能力者の仕業か」
「そうかもしれないし、違うかもしれない」
彼は微笑んで閉まっている扉を指差す。
すると、扉が開き、男が二人出てきた。
「外だ!」
「おい恭二、もっと警戒しろって!」
俺は無意識に溜め息をついてしまった。
「なんで犠牲者を増やしてるんだ……」


※瀬戸氷河
扉を開けると、そこは外だった。恭二が飛び出す。真っ暗な洞窟に不自然な扉があって、そのままいきなり外に繋がってるって少しはおかしいとは思わないのか!
「外だ!」
「おい恭二、もっと警戒しろって!」
声を掛けるが全くの無駄で、俺も続いて外に出る。外は洞窟や森何かが一切無い何処かの屋上のような場所であった。空間接合術とかだろうか。俺は振り向いて来た道を確認しようとしたが、扉は既に閉まっていた。
「アンタ、誰?」
「ハハ、とりあえず、いらっしゃい」
そんなやり取りが聞こえて恭二の方を見ると、柔和な顔立ちの青年が立っていた。その後ろには、赤髪の青年。二人とも学生服を着ていた。
「お二人の不安を取り除く為に、名乗る前に少々お話をさせていただきます」
俺の警戒を読んだのか、柔和な顔立ちの青年は俺に微笑んだ。
「まず、自分達は貴方達の敵では無いということ。そして、自分達は貴方達よりも知識はあるが、全てを知っている訳ではないです」
「よくわかんないー」
恭二が困惑した声を上げる。俺も同感である。何が起こっているのか、さっぱりだ。
「後でちゃんと説明しますよ。……一番重要なのは、ここが異世界だということ、です」
「……え?」
「うええええええーー!?」
「恭二うるせえ!」
「いや、だってだって!異世界って!えーーッ!?」
いつものような大袈裟リアクションをする恭二にしかめた顔をして怒ると、くす、と笑い声が聞こえた。
「ほらー、氷河がうるさいから笑われたー」
「お前がだろ!」
「フフ、仲が良いんですね」
青年はニコニコと楽しそうに笑っている。なんか……警戒している自分が馬鹿みたいだ。恭二のせいで驚く暇も無かったし。
「改めて自己紹介させて頂きます。自分はここ、釣木学園の風紀委員長を務めている一一哉と申します」
「あ、えっと俺は瀬戸氷河、です」
「俺は榎本恭二!」
所属名まで言ってくれた相手には悪いが、本部のことは言わなかった。説明しても分からないだろうし、時間が掛かる。一哉はチラリと後ろの赤髪の青年の方を見た。
「赤空核、だ」
そのまま核は俺達の通り過ぎ、扉の前へと歩いていく。そして俺達が通ってきた扉を開けた。
「!?」
「やっぱり、か」
開けた先は、この建物の続きと言える普通の空間だった。俺達の通ってきた洞窟なんて、無い。赤髪の青年、核は俺達の方を見て皮肉っぽく笑った。
「お前達は神隠しに合っている。それを理解しているか?」
「……俺達は、神隠しの調査に来たんだ。原因が分かるなら巻き込まれたっていいさ」
「だろうな」
核と一哉は視線を合わせて頷きあう。一哉が話し始めた。
「貴方達には、頼みたいことがあるんです」
「頼みたいこと?って、なに?」
「この学園に魔物が出ている。それをお前達が倒してくれ、って事さ」
「魔物!?」
この異世界でも魔物という存在がいるのか。というか、そもそもここ学校だったのか……いや、二人とも学生服着てるけど。
「この世界に『普通は』魔物なんていない。自分達は能力者と呼ばれる特殊な存在ではあるんですが、魔物を倒すことは出来ないんです」
能力者、とは魔術師とかそういう感じだろうか。恭二はさっぱり分かってなさそうな顔をしていた。
「何で出来ないんだ?」
尋ねると、一哉は苦笑して核の方を指差す。
「核が空飛んでる!すげー!」
恭二を言っているように、核が宙に浮いていた。すぐに着地してしまったが、彼はそのままドヤ顔で近付いてくる。
「俺は常識を覆す能力を持つ。お前達が『普通は空を飛べない』と思ってるから、俺は飛べる」
「……つまり、自分達の知り合いの能力者というのは精神に働き掛ける力が多く、戦闘には向いてないんです」
「ま、心理戦とか、精々対人戦だな」
核は俺の肩に馴れ馴れしく組んできた。
「お前、氷の技を使えるんだな。期待してるぜ」
「何で知ってる!?」
「そりゃあ、俺が『出来ない』からさ。そこの榎本ってヤツも、人間じゃあないな」
「えっ、分かるの?」
「能力を使えばな」
「すげー……」
「ともかく、行くぞ」
俺の肩に腕を組んだまま核は歩き始めたので、俺も引っ張られる様に歩き始めた。
「歩きながらこの学園とか、神隠しについてもっとお話ししますね」
一哉と恭二が後ろから着いてくる。核は何だか楽しそうで、一哉は安心したような感じだった。
とりあえず、この状況ではこの一哉と核ってヤツらを信じるしかないだろう。……警戒は怠らないようにしなければ。

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