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完結記念に全部うpしちゃいます。
アンチ・ザ・グラビティ編。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
そして、零雨様に書いていただいた噂の本編でございます。

キャスト
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。



※天城芳示
「貴方達は……誰、ですか?」
目の前の黄緑色の髪の少年は、そう言ってカクリと首を傾ける。
「本部の人間だ。お前は魔術師か?」
「本部?なにそれ。僕は魔術師なんかじゃあないですよ、普通の人間です」
カク、と更に少年の首が傾く。彼は後ろの緑髪の少年の方を少しだけ見る。と、緑髪の方は無言で壁の方まで下がった。
「本部を知らないって面白いギャグ言ってるね」
丙がニコリともせずに笑い声のような声を出す。確かに、本部は良くも悪くも有名だ。その本部を知らないなんて、よっぽどの辺境に住んでいるか世間知らずかしかない。だが、この洞窟は辺境というには町に近い為、二つとも当てはまらない。
「ギャグなんて言ってません。……まあ、倒したら分かりますかね」
俺達は咄嗟に武器を構えた。しかし、黄緑髪は俺達の武器を見ても微動だにしない。
「銃と、針?……やっぱり、この学園の人間じゃあ無いんですか」
「学園?」
ここは学校なのか?洞窟の中に学校があるなんて聞いたことがない。しかも、こんな普通の設備のだ。彼は俺達の問いには答えず、首を傾けた不自然の形のまま右手を上げた。その右の人差し指は、俺達から見て右側を指す。
「ッ!?」
突然体が、右側に引き寄せられる。いや、違う!この感覚は右側の壁に『落ちて』いる!俺は咄嗟に受け身を取り、壁へと『着地』した。丙も同じ様な体勢を取っている。
「こういう人間を排除する事こそ、風紀委員長の部下である僕の役割だ。覚悟してよね」
真上から声がする。黄緑髪の少年が、今や壁となった床に平然と立っていた。端の方に、緑髪の少年も床に立っているのが見える。おかしいのは向こうではなく、俺達の方ってことか。
「……丙ッ!」
「ああ、分かってる。どうみたって異常だ」
洞窟の中に学校がある事、その学校に居る人間が本部を知らない事、そしてこんな重力をねじ曲げてしまう能力を俺達よりも年下に見える少年が魔術式もなしにアッサリと使ってしまう事。全てが異常である。
「保護するか!?殺すか!?」
この少年が魔術師の実験台であるという可能性も捨てきれない為、無闇に殺すのは躊躇われる。だが、後ろの緑髪も同じ様に強力な魔術を持っているとしたら、かなり危険だ。
「僕が捕まえるよ」
言うや否や丙は素早く針を投げる。針は制服を貫き、いともたやすく少年の体に刺さった。
「うっ……」
黄緑髪が顔をしかめ、何故か緑髪が苦しそうに呻く。少し哀れな気分になったが、ちゃんと痛みのないヤツを選んだんだろう、丙は落ち着いている。
「保護するとか、殺すとか……随分上からの物言いだね」
黄緑髪は針が刺さったまま、苛立たしげに話す。即効性の毒ではないのか、時間稼ぎをしなければ。
「別に、そういうつもりじゃねーよ。話が噛み合わないから一回落ち着けって話だ」
「それは、僕の台詞だ」
彼はまた右手を上げ、今度は閉じていた手を開く。
すると。
今まで床で微動だにしなかった机が、俺達の居る壁に『降ってきた』。
部屋にある全ての机が、だ!
「あ、りえねー……!」


※多々角円
「タマキ」
不審人物を机を積み上げて拘束した後、弟の名を呼ぶ。時間稼ぎはもうおしまいだ。
「うん、何となく分かったよ」
タマキが僕に近付いて来たので、僕と手を繋がせて僕の上下左右を操る能力下に置く。不審人物が壁に立っているのも、机が不自然に壁に貼り付いているのも、僕の能力であれらの「下」を壁にしたのだ。
「こっちの短気そうなのが天城芳示、銃の扱いが得意みたい。それで、眠そうな顔の方は大浦丙、針とか罠とか使うんだね」
「なんで知ってるんだ……ッ!?」
タマキが説明すると、ヒノエとかいうヤツが目を丸くする。ちなみに、彼らは机を積み上げて拘束されてはいるものの、傷一つ付いていない。落下する机を一つ一つ操れるレベルでないと、サネやカズヤ先輩にはとてもじゃあないが着いていけない。
「僕は『心を読む』よ。貴方達の事、大体分かりました」
ふふ、とタマキが微笑む。
「この人達、悪い人じゃないみたい。異世界から来てるから話が噛み合わないだけ」
「異世界!?」
なるほど。僕は納得した。釣木学園では扉を開けたら異世界だった、なんてことが珍しくない。その逆もしかり、釣木学園が異世界引き寄せるなんてことも有り得る。彼らはそれで迷い混んでしまっただけということか。つまり、カズヤ先輩の言っていた「神隠しに巻き込まれた」ってヤツだ。
「異世界ってどういうことだよ……」
ホウジが掠れた声で呟く。そうか、僕らにとっては普通でも、彼らにとっては驚きの事実なんだ。
「えェと、説明するには長い話になりそうです。神隠しって言ったら分かりますか?あ、とりあえず拘束解きますね」
僕はタマキをまた離れさせ、能力を解こうと一歩踏み出そうとする、が。足が勝手に膝をつく。
「あ、れ?」
視界には異常はない。体だけが思い通りに動かない。ぐらぐら、体が倒れる。
「そっか、俺の毒が……」
ヒノエが呟く。ああ、そういえば針が刺さってたんだった。ふわふわと上下の感覚が無くなっていく。どっちが上で、どっちが下なのか。
「丙さんッ!一体何の毒を使ったのッ!?兄ちゃんの思考が変だ!」
タマキが叫んでいるが、その声が遠い。
「兄ちゃんッ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・現在の認識
天城芳示
→まだ円と環を魔術師関連の人間だと思っている。異世界って信じられないぜ。
大浦丙
→お互い話が噛み合わないのは理解してて、多分敵じゃないんだろうなあって感じ。
多々角円
→芳示と丙を神隠し関連or巻き込まれた人間だと思っている。とりあえず、話を聞いたら一哉に報告しようと考えている。
多々角環
→芳示と丙のことは読んで大体理解した。この後どうするべきか悩み中。
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