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完結記念に全部うpしちゃいます。
アンチ・ザ・グラビティ編。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
そして、零雨様に書いていただいた噂の本編でございます。

キャスト
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。


※大浦丙
どんな毒を使ったのか。普通に意識がありながらも体の自由を奪う神経毒だ。少し頭が朦朧とするかもしれないが、精神に異常をきたすような物ではない。
「それだ!兄ちゃんの能力は『上下左右を操る』から下である地面を認識出来なくなってしまったら、射程範囲内の物全ての上下左右が狂うんだ!」
緑髪の少年が焦ったように言う。また心を読んだのか。
「僕のは勝手に読んじゃうの!丙さん!芳示さん!何とかして!」
思ったことに一々答えてくれるなんて結構律儀な子供だ。もちろん、そうしてしまったのは自分だし何とかしてやりたいのは山々だが、机で身動きが出来ない。
「動けないことにはどうにも出来ねーよ」
同じことを思ったようで、苛立たしげに芳示がぼやく。すると緑髪の彼はまた黄緑髪の少年に近付き、倒れている頭に触れる。ふわ、と彼の体が浮きそうになるのを彼は黄緑髪の少年の腕に掴まることで回避した。
「やっぱり勝手に自動操縦(オートモード)になってるね。暴走しなくてよかった」
彼が浮き始めたことをきっかけに、机などの物までも四方八方に浮き漂い始めた。俺たちも例外ではなく、まさに無重力状態である。俺と芳示は顔を見合わせた。
「大変かもしれないけど、こっちに来て」
俺たちは壁や漂う机を蹴って彼らの元へ近付く。
「二人にやって欲しいのは、兄ちゃんを気絶させることなんだけど……」
「拘束さえ無ければ簡単だろ」
彼の話を最後まで聞こうとはせずに、芳示は黄緑髪の少年に銃を向けて躊躇なく撃った。
「ちょっと芳示……ッ!」
「心配すんな、麻酔弾だ」
怒っているかもとおそるおそる彼の様子を窺うと、案の定怒ったような顔をしていた。
「怒ってない。別にこれで危害が及ぶのは芳示さんだけだから」
「危害……?」
彼は着弾点付近を指差す。そこには、顔に触れた所でピタリと止まる麻酔弾があった。
「『上下左右を操る』のは自分に触れた瞬間から有効なんだ。だから、弾が体内に入る直前の触れた一瞬で能力を使って止めるのも理論的には可能なの。普通じゃ出来ないけど、自動操縦(オートモード)でなら出来る」
「つまり、何が言いたい訳?」
「加えてこのモードは危害を加える物を自動で排除するように操縦される」
「それを早く言えよ!」
芳示がツッコむが、彼は「言う前に撃ったんだろ」って顔をして睨んできた。
「つうか、銃も効かないとなるとどうすれば気絶させられるんだよ」
「それを考えるのが『本部』の人間の役目、でしょう?」
「ハハ、言うじゃないか」
俺は笑ったが、芳示は渋い顔をしている。こんな年下の少年に煽られるのが気に食わないんだろう。
コンッ。
「……何の音だ?」
俺たちは突然聞こえた音に警戒して身構えた。俺は黄緑髪の少年を注意深く見る。
「芳示さんの撃った弾が無い」
彼は俺達の斜め後ろを指差す。確かに、小さな弾が重力に従って転がっている。
『重力に従って』?
「芳示!避けろッ!」
反射的に俺は叫び、しかし芳示はさっきとは別の銃を構えた。ほぼ同時に銃口から飛び出す弾。転がっていた弾に当たり、弾はただの鉄屑となった。
「だから言ったでしょう」
何故か自慢げに緑髪の少年は言う。
「何で自慢げなんだよ」
「いたっ」
イラついたのか芳示が彼にデコピンをかました。大人気ない。
「……物理的にこの子を気絶させるのはやっぱり無理なんじゃないの?」
「それは俺も同感だな」
芳示とも緑髪の彼とも、そして黄緑髪の少年とも違う声がして、教室を見回すと見知らぬ赤髪の青年が逆さに浮いていた。
「赤空さん」
「赤空核、だ」
赤空核と名乗った青年は黄緑髪の少年の能力の影響下なのにまるで気にせず、此方へ『歩いて』来た。空中に見えない階段があるかのように、だ。なんか……色々なことが起こりすぎて驚かなくなってきた。
「天城芳示と大浦丙だったか?榎本と瀬戸から聞いてるぜ」
薄々考えてはいたけれど、恭二と氷河もこの世界に来ていたのか。とりあえず生きているようで俺は安心した。
「まあ……これは俺達の守備範囲だな。任せろ」
ニッと歯を見せて笑った彼は無造作に黄緑髪の少年の頭を掴んだ。しかし数秒もしないうちに離してしまった。
「受身を取る用意をしておけ」
「どういう、……ッ!?」
突然、体に重力が掛かった。それは当然床へ向けてのだ。俺達の体は先程まで壁が『下』で、無重力状態でも体の向きは変わっていなかった。つまり、床という『下』に対して俺達の体は平行であり……受身を取らないと痛い。
「ってえ!」
鈍い音を立てて、芳示は倒れた。俺も上手に受身を取れずに呻いてしまった。
「ハハハ!戦闘職種の人間が情けないな!」
赤髪に逆さのまま爆笑された。というか、なんで彼は重力が戻ったのにそのままなんだろうか。
「『常識を覆す』能力に不可能はないぜ。なあ、多々角弟?」
赤髪が緑髪の少年に話し掛けるが、少年は嫌そうな表情をしただけだった。彼は気にしていないようで、肩を竦めると扉へと声を掛ける。
「つれないな。おい、入ってきていいぜ」
ガラリと扉が開く。
「あっ、芳示!丙!」
「恭二!」
入ってきた人達の先頭に恭二がいて、続いて青髪の青年、氷河が入ってきた。
「ふーん」
教室内を見て、青髪の青年は微笑んだ。
「これで、計算式は整ったね」

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