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完結記念に全部うpしちゃいます。
空間論法殺法編。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
そして、零雨様に書いていただいた噂の本編でございます。

キャスト
榎本恭二(えのもときょうじ)
子供心の吸血鬼。
瀬戸氷河(せとひょうが)
凍てつく光の魔弾。
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
赤空核(あかぞらさね)
反面常識人。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
一一哉(にのまえかずや)
計算の策師。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。


※多々角円
「自己紹介でもします?」
既にカズヤ先輩の自室と言っても良い風紀委員会の特別室にて。僕は入口の扉の近くに立っていて、先輩はいつもの特等席に座って微笑んだ。
「自分の名前は、一一哉と申します。釣木学園風紀委員長を務めさせて頂いてます」
「はあ……」
「ちなみに、能力は『物事を計算する』。簡単に言うと未来が分かります」
僕達と一緒に居た二人は戸惑ったように視線を合わせ、サネ達と一緒に居た人達の方を見る。ホウジという人はソファーに座り、ヒノエという人はその斜め後ろに立っていた。彼らの向かいのソファーに座っている眼鏡の人が苦笑いしてカズヤ先輩を見る。
「氷河さん、どうぞ。あ、得意な武器とか魔術とか言ってくれると助かります」
「ああ……俺は瀬戸氷河だ。メインは銃だが、氷魔術や治癒術も使える」
「んでんで!半分吸血鬼でウルトラクールな榎本恭二だぜッ!」
ヒョウガという人を真ん中にして、二人掛けのソファーにキョウジという人とサネが彼を挟むようにして座っている。三人とも狭そうなのに誰も動こうとしない。いや、ヒョウガは動きたそうだったが、二人が挟んでいるせいで逃げられないのだろう。
魔術だとか、吸血鬼だとか。実は僕は学園内でもそういう物と関わったことが無かった。だから少しドキドキしていたりする。しかし、未だこの神隠し事件に対する僕の知識はかなり低い状態だ。カズヤ先輩が彼らに能力を明かしたのも、彼らに得意な戦い方を言わせたのも、そもそも彼らがどういう世界から来たのかもさっぱり分かっていない。しかも、それはかなり些細な問題であるし、僕は核心を何一つ知らされていなかった。それは彼ら四人もそうだろうが。
「赤空核、『常識を覆す』能力を持ってるぜ」
サネが楽しげに言う。
「……天城芳示。基本的に銃なら何でも使う」
「俺は大浦丙です。毒針とかスタンガンとか……罠系の武器を使うね」
ヒノエは少し僕の方を見た。ごめんね、と顔で言っているのが分かったのでニコッと笑ってみた。
「多々角、お前の番だぜ」
「あ、うん。えーと、多々角円です。『上下左右を操って』重力操作とかが出来る能力です」
「……弟の、多々角環です。能力は『心を読み書きする』から、余計なことを考えない方が……いいですよ」
僕に続いてタマキも自己紹介する。タマキはホウジの隣でソファーの上に体育座りをして座っている。変な座り方だ。しかも妙にツンケンした話し方である。まあ……能力を明かした途端態度が豹変する人間もいるから警戒しているのだろう。心を読んで悟った風でも、やはりそこは僕達よりも年下だと感じさせられる。是非将来カズヤ先輩やサネみたいにならないでほしい。
「に、兄ちゃん……」
タマキが恥ずかしそうに僕に話し掛ける。
「なんだい?」
「兄ちゃんが一番余計なこと考えてるよ……」
恥ずかしいのは僕だった。


※一一哉
可愛いまどちゃんは置いておいて。
これで戦い方の検討も計算出来たし、今後の動き方も答えが出た。……というか、実は犯人は既に分かっているのだが。それがまどちゃんに黙っていた事項であり、彼ら四人にもしばらく隠しておくべき事項である。答えが同じでも、過程が変化すれば出てくる答えも意味が変わってくる。恐れているのはそこであり、少しでも彼らを観察してこちらの理想の計算結果にしたいところなのである。
「一哉」
「なんでしょう?」
「色々説明するって言ってたよな。自己紹介も終わったんだし、話してくれないか」
来た。氷河の質問により自分は解答者となる。
「そうですね。氷河さんと恭二さんには軽く話しましたが、これからのことをお話しします」
さて、呼吸をするより簡単な説得の腕の見せ所だ。立ち上がって後ろにあるホワイトボードの前に立つ。
「何から聞きたいですか?」
相手に質問させることにより、主導権を向こうが握っていると思わせつつ、こっちが全て自由に語れる権利が得られる。
「なんで俺達が来たか……っていうか、魔物を倒せる人間が来るって何で分かってたんだ?」
おそらく四人で一番状況を理解しているであろう氷河が聞いてくる。彼を攻略してしまえば、大体は解決しそうだ。
「それは『計算する』能力と、核君の『常識を覆す』能力で分かりました。貴方方が来る前も何度か神隠しの人間達に接触はしています」
正確に言うと、自分の計算で色々と誘導させ、核君が常識を覆して魔物を倒せる人間を呼び寄せた。つまり、彼らが来たのは自分と核君のせいであるのだ。ただ、あの場で核君が常識を覆さなければ、彼らの代わりの人間か魔物がこちらに来ていたから、どちらにしろ神隠しは起こっていた。それを少し都合の良いように書き換えただけだ、彼らからしたら迷惑な話だろうが。
「魔物を倒せる人間?」
芳示が口を挟む。
「えぇ。この神隠し事件のせいで、この世界にいるはずのない魔物が出現しているんです。それを退治して欲しいんですよ」
「この魔物を倒していけば、犯人を辿れるはずだぜ」
核君が助け船を出してくれたお陰か、芳示と丙も納得してくれたようだ。
「あの……カズヤ先輩」
まどちゃんが遠慮がちに手を挙げる。彼には今話したことすら事前に話していなかったが、それを聞くのだろうか。いや、そんな馬鹿な真似をまどちゃんはしない。
「犯人が彼らの世界側だった場合はどうするんですか?手の出しようがありませんよね……?」
中々良い質問だ。こちら側の人間が異世界を受け入れていることをアピールしつつ、彼らが思い付かない質問を投げ掛けてくる。
「そうだ!ていうか、犯人は絶対俺達の世界の魔術師だろッ!」
恭二が思い付いたとばかりに大声で話す。氷河や芳示に同意を求め、彼らも頷きそうな雰囲気だ。それにたまちゃんが首を傾ける。
「どうしてそう思うんですか?」
「このガッコーは魔物とか出ないんだろ?俺達の世界じゃ魔物と魔術師はふかーく関係してるからさ、決まりだろ!」
イエス!と恭二が変な顔で親指を立ててウインクする。自分にはちょっと理解できない行動だ。
「ふゥん。まァ犯人が誰にしろ、この学園内にはいると思うぜ」
「なんで?」
「企業秘密、だ」
核君が彼の真似をして変な顔で親指を立ててウインクした。核君がやると尚更間抜けに見える……。
「他に質問はありますか?」
見回して意見が挙がらないのを確認してにっこりと笑って見せた。
「よし、じゃあ犯人を捕まえに行きましょうか」

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