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本部のメンバーによる後日談。
本当の没編はここからだ……!

これは、こちらで、連載されていますコラボ小説のシリーズであります。
先に本編を読まれる事をお勧めします。

キャスト
榎本恭二(えのもときょうじ)
子供心の吸血鬼。
瀬戸氷河(せとひょうが)
凍てつく光の魔弾。
天城芳示(あまぎほうじ)
特攻鬼軍曹ガンナー。
大浦丙(おおうらひのえ)
微睡みのトラップ。
赤空核(あかぞらさね)
反面常識人。
多々角円(ほぼまるまどか)
ノンストップ重力。
一一哉(にのまえかずや)
計算の策師。
多々角環(ほぼまるたまき)
筒抜けの仲間想い。


・神隠し後談
※瀬戸氷河
「なんですか、榛原さん」
何故か俺一人が情報室に呼び出された。
恐る恐る入ると、榛原さんと千神さんが資料を広げていた。
「あ、来たね。いや、今回の神隠しについて調べてみたんだ」
その資料はすべて神隠しの資料なのだろうか。
江崎さんが、椅子を用意してくれた。
大人しく座る。
「でも、神隠しの話なら、俺が報告書にして提出しましたけど……」
「違うよ。本来の神隠しについてさ。これでも僕は民俗学者でね。」
榛原さんが、一つの資料を千神さんに渡す。
そして、千神さんが語り始めた。
「神隠しってのは、本来、神域である山や森で、人が行方不明になったり、街や里からなんの前触れも無く失踪することを、神の仕業としてとらえた概念。バイ、ウィキペディアなんだってさ」
「だから、なんなんですか」
「そして、その神隠しは遭いやすい気質というのもあるらしいんだ。神様が神に近い人、気に入った人を消し去る現象。とまで言えばわかるんじゃない?」
千神さんが、資料を片づける。
千神さんの言わんとしていることはなんとなくわかる。
「ようするに……俺だけを狙っていたんじゃないか、って事か?」
「そうだよ。神の代替えとまで言われた君を神様が隠したがったんじゃないかな、って面白い推理。」
榛原さんが答えた。
この人が面白い推理だなんていうときは、だいたいこの人も信じていない推論だということだ。
「でも、神隠しと神血。どちらにも神がついてる。ありえない話ではないと思うがな」
モニターを見つめたまま柊さんが言う。
榛原さんは、少し困ったように笑う。
「まぁ、水城がこういうから調べてみたんだ」
「なるほど……」
さらに柊さんが続ける。
「氷河は、神の代替えなんだろ。何に狙われたっておかしくはない。異世界でも魔術師もどきがいたんだよな?異世界からも狙われるって相当だぞ」
「あれをもどきというか……」
「話を聞く限りじゃ、覚悟が足りない」
柊さんの目線は変わらず、モニターに向けている。
だが、柊さんは冷静に事実だけを射ていく。
「今回はたまたまもどきだからよかったけどな。異世界の敵は俺達の上を行く可能性が高い。氷河も、自覚を持つべきだ。」
「……すみません」

・残虐たる世界の差
※多々角円
「あのさ、ヒョウガ」
「んだよ?」
僕はヒョウガを呼び出してみた。
気になることがあったからだ。
「ヒョウガも、ホウジ達みたいな考えなの?」
「ん?どういう意味だ?」
言いたくないが、言葉にする。
「だから……、簡単に人を殺せるのかってこと」
「殺せる」
ヒョウガの答えは早かった。
「やっぱり……」
この人たちは住む世界が違う。
途端にヒョウガの表情が暗くなる。
「俺たちは、殺さなければ殺されるんだ。魔物に、魔術師に、人間に。だから、俺達には殺す覚悟が必要だ。生き延びるために。」
僕は怖くなった。
ちょっと前まで笑っていた人がここまで冷酷な表情になれるなんて。
「誰だってさ、死にたくないだろ。だから、俺は……恭二を守るためなら誰だって殺す。これは、あの日から……決めたことだ」
「……やっぱり、僕らとは全然住む世界が違うんですね」
「そういうことだ!」
ヒョウガが僕の先を歩く。
急に声が明るくなる。
「なぁ、円」
「なんです?」
くるりと振り返り、ホルダーから銃を抜いた。
その動作が速く、やはり差を思い知らされる。
そして、銃をくるくると器用に回す。
「俺、何人ぐらい殺してると思う?」
さわやかな笑顔で、えげつないことを聞く人だ。
「わかんないですよ。」
「そうだよな」
更に氷河が機嫌よく笑う。
「答えは?」
そう聞くと、満面の笑みでヒョウガは答えた。
「わかんねぇや!」

・異世界ガイド
※多々角環
僕は、丙さんにあることを聞いてみた。
まぁ、ごく当たり前の疑問だ。
「貴方たちの世界ってどんなところなんですか?」
「え?」
丙さんは、驚いた表情をした。
当然だ。僕らは彼らの非道さに引いた後だ。
「……気になるじゃないですか。尚更。」
「なら、話すけど」
丙さんが言葉を選ぶように話し始めた。
「本部ってのは、魔物討伐本部ってのが正式名称。名前の通り、魔物を狩って街を守るのが仕事。けど、最近は魔術師が人間を脅かすようになった」
「魔術師って……紡さんのような?」
「そうだよ。でも、こっちの世界の魔術師はもっとひどいよ。毒で人を殺したり、精神を壊そうとしてみたり、子供を利用したり。」
「うわ……」
紡さん、全然優しいじゃん。
丙さんの心の声が、その取り上げた魔術師を鮮明に語る。
質問変えよう。うん。
「あの、本部の人ってのは、どういう人たちなんですか?」
「俺らより、悪いやつばっかりだよ。辻斬りだっているくらいだしね。」
丙さんが優しげに笑った。
悪い奴という割には、そこまで嫌っていない。
「いい人ではあるんですね。」
「味方にはね。敵対したらきっとどこまでも残虐。」
くすりと笑う。
でも、すぐに丙さんの表情が暗くなる。
「……本部ってのは、君たちからしたら冷血な組織だよ。」
「それでも、受け入れるようには努力します。」

・彼の最大たる犠牲
※多々角円
「おい、円」
ヒョウガと話した後に、ホウジが僕を呼んだ。
「なに?」
「あいつは俺らの倍は殺してるぞ」
「ええ……?」
何故か信じられなかった。
一番人殺してそうなのはホウジじゃないか。
「ただその分、あいつは傷ついてる」
「え?」
ホウジの表情が重くなる。
「……氷河にはいうなよ?」
「言わないよ」
ホウジが一息ついて話し始めた。
「氷河は、神血っていう特殊な力の持ち主だ。当然、血の色も違うし、あいつはそれを過剰に気にしている。」
「ヒョウガが……?」
戸惑う僕の反応に、ホウジが少しだけ笑う。
「全然わかんねぇだろ。あいつ、隠すのだけはうまいからな。」
「……そうか」
「で、神血というのは魔術師にも、吸血鬼といった人外にも、人間にも利用される価値がある。だから、氷河は連中に常に狙われている。」
「だから、ツムグもヒョウガを狙ってたの?」
紡は、最初ヒョウガと何かを話していた。
それが理由だったのだろうか……。
「そうだ。あいつが狙われる理由は二つある。一つは神血の力を利用するため。二つ目は神血だからこそ恨まれて殺そうするため。……どっちだって、あいつは一度捕まれば殺されるギリギリまで痛めつけられる。」
「でも、ツムグは……!」
「あいつは甘いんだよ。本来、魔術師はイカれた連中だ。実際、毒に侵され、心身ともにぼろぼろになるまで痛めつけられ、精神を壊されかけた事もある。ほかにもいろいろされてた気がするが、そこに全て俺がかかわったわけでもねぇから、よくわからない。」
血の気が引いていく。
ホウジは淡々と話を続ける。
「あいつは、俺たちの中では一番人を殺してる。ただその分、死にかける程の傷も痛みも受けた。魔術師も、ただの人間も、みんなあいつの敵だからな。」
「そんなの……」
「想像つかねぇだろうな。あいつ、ここに来てからずっと楽しそうだもんな。そんな傷もねぇし。」
ホウジが目の前をみる。
キョウジとヒョウガが何やら話し込んでいて、二人とも楽しそうに爆笑している。
「……氷河にそんな素振り見せるなよ」
「え?」
「あいつは勘が鋭いから、お前があいつを気にしてっと、バレる。そしたら、あいつ結構気にして凹む。」
「……それなら、どうしたら」
ホウジがにやりと笑う。
「そうだな、お前はあいつを見て怖いと思えばいい。それだけでいい。」
「それも、傷つくんじゃないかな」
「いいんだよ。あいつだってそんぐらいわかってる」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
わりとダークな後日談編。
本部ってのが、いかに悪かよくわかるね!

以下、解説。
1、神隠し後談
神隠しについてうだうだと。
神血と神隠し。うまくかけあわないかなーと思ったら大失敗したでござる。
神と名のつくものには警戒してみようね。

2、残虐たる世界の差
最もシリーズのヒロイン円と本部シリーズのヒロイン氷河で会話させてみたかった。
内容えげつないけどな!
同時に学園サイドと本部サイドは分かり合えないように書いてます。
笑顔で「何人殺してると思う?」って聞く氷河がかわいいんだよ、これが(
表情多彩な所以。つか怖いね。

3、異世界ガイド
本部世界を語ってみようと思った。
そんで、思う存分引かれてみようと思った。
意外とうまくいってない。
環耐性ありそうなんだもんなー!
丙の言い方が優しいし!

4、彼の最大たる犠牲
最もシリーズヒロイン円にまだまだ嫌な知識を入れ込んでみた。
うまいこと氷河の会話がああなるように頑張ったけど、思った以上に芳示が好き勝手に語りやがった。
やっぱり好きなのよ。心配なのよ!
芳示が言いたいのは、殺してる分殺されかけてる。
世の中イーブンって話。
殺せるってことはその分、痛めつけられてるのよ。
だから、紡は全然甘いんだよね。
でも、その学生らしい甘さを彼らは理解しない。
そんな話、かなー?
この話を応用して、氷河との接し方が変わったらどうなるかな?(チラリ

円視点って結構書きやすい。
彼からみた本部は、とても冷酷無慈悲な残虐集団に見えてる気がして楽しい。

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