氷河苛め祭。

衰弱氷河編。

・呪術 大祓いの日
※相模康司
急に高熱を出した氷河を看病することになってしまった。
ま、恭二たちは長い任務だし、才臥に任せたら氷河が可哀想だしな。
仕方ないっちゃしかたない。
「おい、氷河。なんか食うか？」
「食欲ねーよ……」
布団でもぞもぞしながら氷河が答える。
「そうだと思った……。ちょっと待ってろ。簡単に用意するから」
「ん……待ってる……」
弱ってると結構素直だなあいつ。
普段は無茶苦茶ひねてるのに。

食堂でおかゆを簡単に作り、薬を何個か用意する。
この世界に本部メンバーを治療するような医者はいない。
薬だって市販薬だ。
こんなのであいつの風邪が治るとは思えない。
「氷河、お粥作ってみたけど食うか？」
そう聞くと、氷河は驚いた様子で俺を見る。
「康司、料理作れたのか……」
「お前と同じ自炊レベル。」
氷河が半身だけ起き上がると、ぼんやりとした手つきで、眼鏡をかける。
「ほら、こんなんでいいか？」
「塩どこだよ。塩足んないだろ、どうみても」
氷河の味覚は少し壊れている。
塩をどっさり入れやがった。
それから一口食う。
「うまい、じゃねぇか」
「ま、その程度なら誰だって誤魔化せるだろ」
氷河はすぐに食べきってくれた。
で、次は一応薬なんだが……。
「市販薬って神血に聞くのか？」
ふと氷河に聞いてみた。
「わかんねーな……。風邪引くことって滅多にないから。」
「……試してみたほうがいいのかね」
「……飲んでみるか」
水と市販薬を手渡す。
少し触れただけでも、かなり熱い。
適当に選んだ市販薬を飲む。
その後、それを受けとると氷河が俺の腕に触れた。
「康司、冷てーなー……」
「お前が異常に熱いからな！」
氷河は離してくれる気配がない。
むしろべたべたと俺の体温を求めるように、触れる。
「氷河……？」
「あ、わりぃな！気持ちよかったからつい……」
俺の表情を見てすぐに手を引っ込めた。
もう少し触れててもよかったのにな。
「もっと冷たいもん持ってくるから待ってろ。」
「冷やしタオル程度じゃ、すぐ熱くなるからなー？」
「分かってるから、お前は大人しくしてろ」
「わかってる。」
それでも冷やしタオルしかもってこれないけどな。

冷やしタオルを氷河の額に乗せ、見守ることに。
ふいに氷河が話しかけてくる。
「康司、結構しっかりしてるのな」
「才臥や純也と一緒にいたらな……嫌でもこうなるって」
「そりゃいえてるな」
氷河と話す機会があまりなかった俺には、いい機会だ。
トラブルメーカー才臥と恭二の話で盛り上がった。
落ち着いたところで彼を気遣うように聞く。
「氷河、落ち着いてきたか？」
「ん、ああ……今のところはな」
氷河の顔色もよくなってきたと思う。
「そうか」
「ありがとな、康司。助かった」
「助かったにはまだはえーぞ」
と、氷河の額に触れる。
熱は少ししか下がっていない。
まだまだ氷河の体は熱い。
「……まだ絶対安静だ。動くなよ」
「う……そう、だよな……」
また布団に潜る氷河。
少しだけ顔を出して聞いてきた。
「まだ……いるん、だろ？」
「そのつもりだが」
「手、握らせて、くれ……ないか？」
「ん？ああ……」
さりげなく差し出した手に氷河が弱々しく握る。
「康司、冷えてるから気持ちいいんだよ……。」
弱々しさもある笑顔を向ける氷河。
思わず顔を背けてしまった。
んだよ、甘えられんじゃねぇかよ……。
「しばらくそばにいるから、大人しく寝てろよ」
「ん……、わかって、る……」
そういいながらも、かなり眠そうだ。
疲労が溜まっているのだろう。
「氷河も大変なはずなんだよな……」
この独り言は彼に聞こえていないだろう。

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大人しく甘える病人氷河。
弱ってると結構素直！