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不思議の幻想郷のある曲に、一目惚れ。

ハートフルな話。



・亡霊と幻影の異世界
※瀬戸氷河
ふと気づけば、そこはただ広い草原だった。
あのとき、側にいたはずの恭二たちがいない。
「どこだよ……ここ……」
風が穏やかにそよぐ草原。
ただここに俺一人というのは、広すぎた。

きっかけは、なんだったのだろうか。
あまりに突然のことだった。
ふと、本部が白い光に包まれると、本部という施設がなくなっていて、俺は強い突風に吹き飛ばされた。
目覚めると、先ほどいた荒野とは思えない草原。

歩くしかない。進むしかない。
銃を構えながら進む。
見渡しても誰もいない。
草原を抜け薄暗い森に入る。
そこで初めて人らしい影に出会えた。
「あ、おい!」
声をかけると、人が動きを止める。
森にすむ人といったら、夜桜さんだろう。
夜桜さんが、振り返る。
「……っ!」
振り返った夜桜さんの顔には真っ白な仮面が被せられていた。
「ん、だよ……これ……」
夜桜さんであって夜桜さんじゃない。
他にも夜桜さんの姿をした男は何人もいた。
銃を撃つこともできず、逃げ出した。
誰もいない。そう思うことが怖かった。

気づけば、そこは町だった。
どいつもこいつも知ってる人なのに、白い仮面を被っている。
町ほどの人口密度になると、ただ気味が悪くてしょうがない。
「恭二……っ!どこだよ……」
町を走り抜ける。
あいつらの仮面を見ないように、目を伏せながら。
ここには俺しかいないのか?
皆、あんな仮面をしているのだろうか。
もしかしたら、恭二も……!

町から明るい花畑を抜け、たどり着いたのは白い部屋。
おもちゃ箱が重なったような部屋。
芳賀すらも白い仮面。
「は、っ……どうして……」
町を走り抜けたせいで、息が切れる。
整えながら、辺りを見回す。
出口の前に、見知った男がいた。
吸血鬼であった男。先ほどまで側にいた男。
「恭二!」
思わず駆け寄る。
だが、恭二はくるりと振り返り、部屋を出てしまった。
「……なんで、だよ……恭二……!」
恭二の顔にも白い仮面が被せられていた。
ふと、恭二の表情を思い出そうとする。
だが、靄がかかったように見えずに消えていく。
恭二だけじゃない。
誰の顔も思い出せない。
靄がかかってしまう。
「誰も、思い出せない……だれも、いない……?」
恭二もいない俺だけが取り残された世界。
俺だけ、なんて……。
ふと少女の声がした。
「一人は……寂しいよ……」
とても幼い少女の声だった。
泣きそうな、悲しそうな声だった。
「いく、しかない……!」
恭二を追いかける。
ドアの向こうは、また穏やかな湖。
進まなければ、なにも見えてこない。
増えていく白い仮面の連中を避けながら、走る。
恭二の仮面を、外さないと……。

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続きそうなので、分割。

ハートフルだろう?
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