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突飛に書いたハートフルものの最後。

全て救われる話っていいよね!

・或る亡霊と異世界の現実
※瀬戸氷河
とある少女が異世界を生み出して、少女を救ってから。
俺は自分が倒れていた小さな洞窟に来た。
ここに少女がいると思ったからだ。
「お、あった。」
少し奥を探せば、簡単に見つかった。
少女の小さな墓。
あの少女は遥か昔の亡霊。
かつてこの辺りには村があったそうだ。
そこで彼女は、今の魔術師のような力を持っていた。
恐らくこの時魔術なんてものはないと思っていたのだろう。
彼女は超能力者として恐れられ、崇められた。
それが彼女を一人にした。
そして、あの異世界を作り出した。
榛原さんから借りた資料には、そうあった。
何百年前の小さな村の悲劇だそうだ。
「たまに来てやれば……寂しくねぇだろ」
墓の前に花を添える。
ふと、墓の前に何か封筒が落ちていた。
何百年前のもののはずなのに、この封筒は新しめだ。
封を切り、中を開ける。
そこには、楽譜だけが入っていた。
少女が作り出した歌なのだろうか。
歌詞があの異世界を描いているようだ。
この曲は、ピアノで弾けそうだ。
それなら、弾いてみたいと思った。
けど、ここじゃだめだ。
「これ、借りてくぜ。ちゃんと返すから」
少女に言い残した。

滅びた自分の故郷の屋敷に戻った。
吸血鬼の趣味だろうか、俺の屋敷だけはそれほど壊れていなかった。
それでも俺の両親は死んだし、この町に人はいない。
「あの、ここでいいんですか?」
「ああ、悪いな。ちょっと荒れてるけど」
俺は、赤塚から古川さんを借りた。
彼女ならこれを歌えるだろうと思ったからだ。
「氷河さんの実家なんですよね?いいんですか?」
「ここにしかピアノはないからな。」
と、ピアノについた埃を払う。
「え、弾けるんですか?」
「恭二たちにはいうなよ」
「言いませんよ。いい趣味じゃないですか。」
ピアノに楽譜をセットする。
古川さんにも、コピーした楽譜を渡す。
「じゃ、これ。」
「あ、はい。なるほど……氷河さんが、これ歌わないんですか?」
「それ、音が高いから俺には無理だろ。それに歌はうまくねぇし」
「似合うとは思いますけどね」
古川さんがくすりと笑う。
鍵盤に指を乗せる。
「じゃ、頼む」
「はい。」
少女の歌を弾く。
古川さんはやはり天才的で、弾いてる俺も感情的になれるほど高揚させてくれる。
少女が異世界を描いた歌が響く。
弾き終えると、古川さんが口を開く。
「これ……いい歌ですね……」
「そう、だな……」
楽譜を丁寧にしまう。
古川さんも綺麗に折りたたんでいた。
「あ、そうだ報酬なんだけど……」
「それなら、これでいいです」
と、古川さんが楽譜を見せる。
「いいのか?そんなコピーで?」
「その楽譜は、作者のものなんでしょう?それなら私はこれでいいです」
「ありがとな、古川さん」
「いえいえ。それじゃ、また何かあったらよろしくお願いしますねー!」
古川さんは、先に帰って行った。
俺はピアノを少し掃除した。

少女に楽譜を返す。
墓の前に封筒戻すだけだが。
「弾いてみたんだ。いい曲だった」
草の上に寝転がる。
そういえば、この辺りに魔物がいない。
この洞窟の力なのか、それとも彼女が守っているのか。
落ち着く空間だ。俺には滅多にない安息の時間。
それも彼女が与えてくれるのだと思う。
一人じゃ、この時間は寂しいかもしれない。
「誰か、いれば……いいもんだろ……」

「氷河、氷河!」
「ん……っえ?」
誰かが俺を呼んでいる。
いつの間にか寝ていたみたいだ。
「氷河!」
「きょうじ……?どうしたんだ?」
恭二が心配そうに俺を見る。
「どうした、って心配してたんだよ!いつまでたっても戻ってこないんだもん!魔術師に何かされた?」
「いや、何も」
「でも、倒れてただろ!あの時みたいに……!」
そういえば、異世界から出たときも俺はここで倒れていたんだっけか。
俺はゆっくりと身を起こす。
「あの時は関係ない。恭二だって気づいただろ?ここは魔物が来ない。そんで、日も当たるし、寝てて気持ちいいし。滅多にない休憩場所なんだよ。」
「そういや……そうだったよーな……」
恭二も草の上に座る。
「氷河には、こんな場所が必要なのかもな。」
「そうだな。俺だって休みたい。」
「でも、一人じゃ寂しいだろ!俺がいてやるよ!」
恭二が寝転がる。
しかも、その言葉は俺があの子に言った言葉と同じだ。
「ありがとな、恭二」
「いいって、いいって!」
すると今度は、恭二が寝てしまい探しに来てくれた芳示に怒られるのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
とりあえず、これですっきり!

不思議の幻想郷から「another face」って曲がすごいよくて、それだけで一発書きしました。
心温まる曲ですよ。

そんな話。
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