忍者ブログ
一次創作ファンタジー小説中心サイト。 このサイトにある全ての小説の無断転載は禁止しています。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

氷河苛め祭。

サプライズフレア編。

・サプライズフレアの魔術師
※天城芳示
「追い詰めたぞ、魔術師」
銃口をやつに向ける。
魔術師は、先程の大爆発を起こした魔術師だ。
警戒してしすぎることはない。
「なんだよ……どうしてあの気持ち悪い塔がない……?」
魔術師は、動揺していた。
怒りに震えているようにも見える。
「おい!あの気持ち悪い塔はどうした!?」
「塔……?」
大寒波の際に建てられた塔だろうか。
「んなのとっくに壊れたよ。魔術師も仕留めた」
「死んだ……?あいつが……」
魔術師の何かが壊れた気がした。
「後を追うか?」
皮肉気味に訪ねると、魔術師が乾いた笑いを漏らす。
魔術師の後ろに人影が見える。
「おい、神血がどうなってもいいのか?」
「神血?」
魔術師が、指先にエネルギーを収束させる。
「あれは、俺に負けた。そう俺のものだ。まだ治癒してな いだろうからあそこにいるんじゃないか?」
と、確認するためだけに小さなエネルギー球をその人に向けて放つ。
その男は、悔しそうに肩を抱くだけで、気づいちゃいない。
そして、受け身をとれずに命中し、吹き飛ばされていた。
「氷河ッッ!!!」
「お、いたいた。ははは、さっきみたいにかわせもしないか。」
魔術師が、氷河に歩み寄る。
俺は、銃口を向けたまま呟く。
「誰がてめぇのものになった……。負かすだけで手に入れられるなら、あいつは俺のものだ」
「……それで」
「てめぇじゃ、あいつを手に入れられねぇよ。そもそも吸血鬼なんかに恋してる奴だ。」
「だから、神血はとたんに人間らしくなったのか。」
「もう、死ぬ覚悟は出来てるな?」
「最後に抵抗ぐらいはしようか!」
俺が撃ち、魔術師がフレアを発動させる。
氷河のためだ、殺してやるよ。


「もう、壊れてんじゃねーか馬鹿」
「…………ほう、じ」
赤い目をした氷河が、顔をあげる。
ボロボロだ、何をされていたんだか。
「……魔術師は仕留めた」
「そう、か……」
「んで、お前は何泣いてんだ」
「え?」
惚けた声を出す氷河。
自分で目元を拭ってようやく気づいた。
馬鹿だ。
「うわ、ほんとだ」
「ったく……馬鹿じゃねぇの」
彼の目元を指で拭う。
「ちょっ、芳示触んな」
「うるせぇ」
氷河は、恥ずかしそうに俺の手を払おうとするが、効かない。
改めて氷河を見る。
身体はボロボロで、そこいら中火傷の跡がある。
氷河が必死に隠してた傷跡にも火傷の跡がある。
消された、といったところだろう。
目は赤くつい先程まで悔しさで涙を流していたのが丸わかりだ。
「はぁぁ……」
俺は、重くため息をつく。
そして、氷河の身体を強く抱き締めた。
「芳示……!?」
「馬鹿だよてめぇは。呪われてるくせにふらふらと出歩きやがって!お前、自分の状況わかってんのか!?」
氷河は戸惑っていた。
俺がこんなことすんの珍しいからな。
「戦えないと割りきって、大人しくしてりゃいいだろうが!心配かけさせやがって……っ、ごほっ!」
「芳示!?」
フレアに喉を焼かれかけたか、咳が出る。
氷河が癖なのか治癒術をかけようと俺に触れようとする。
それを払う。
「俺はいいんだよ……てめぇのがどうみたって死にかけだろ!」
「こんな火傷……っ」
「焼けきってんだよ!馬鹿が!触れてるこっちが熱いぐらいだ!」
「んなの、芳示だって火傷してんだろ!あいつのフレアを食らったんだろ!?」
「てめぇほど、まともに受けちゃいねぇよ!」
「な、んだと!?」
言い争いになりかけたが、氷河が大人しくなった。
「なぁ……大事なものを守るにはどうすればいい?」
「あ?」
傷跡を押さえて氷河は言った。
「何よりも大事なものを……守るためには、どうすればいいんだろうな。」
「……しらねーよ」
「芳示?」
「俺だって守りきれなかった」
「え?」
思わず抱き締める力が強くなる。
「氷河がこんな目にあう前に、俺はお前を守りたかった」
「……芳示」
氷河が顔を伏せる。
「帰るぞ、お前しばらく寝てろ」
「……芳示が見張ってるなら」
「丙つけとくから、安心しろ」
「罠張り巡らされるな……」

好きなやつを焼かれて脱がされて泣かせられて黙ってられるほど、俺は寛大じゃない。
あいつが氷河で欲情していた可能性を考えるとそれだけで腹立たしい。
自分があんな目に遭っても気にするのは、思い人の傷跡だけだもんな。
俺の入る余地はねぇけど、なくても勝手に守らせてほしい。
あいつが血に塗れる姿は見たくない。
それがあいつ自身でしたことでも。

------------------
芳示と氷河の口喧嘩が好きです。

完全敗北。
敗者はすべて奪われる。

そういうお話。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
天草八津芽
性別:
女性
自己紹介:
BLでファンタジー小説が多いです。
ひっそりひそひそ書いてます。
ツイッター
メインアカウント(妄想ばかり)


オリキャラ紹介bot
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
P R

Copyright © [ 妄想の隠れ家 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]