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昔の話を読んで書きたくなりました。


・文字書き苦悩
※瀬戸氷河
「氷河ー、ちょっといい?」
食堂にいると、高曇さんに呼ばれた。
「なんですか?」
「氷河さ、まだ出してないものあるよね?」
「あ……いや……」
高曇さんが、笑顔で何枚か書類を見せる。
「これの分、全部報告書もらってないけど」
「か、書きます!すぐ書きますから!」
脅しにみえて怖い。
すぐに立ち上がり、急いで部屋に籠る。
部屋は恭二たちが荒らして、汚い。
掃除もしたいが、そんな暇はないので書類を漁って報告書を机に置く。
ペンをくるりと回し、報告書に向かう。
「うあー、なんも出てこねぇ……」
「だろうと思った」
高曇さんが部屋に入る。
まずい、今俺の部屋は汚いんだよ。
「あ!部屋汚いですけど……」
「いや、これの倍汚いやついるから、大丈夫だよ」
と、さして気にもせず、部屋に入り俺の書類を覗き見る。
「……全然できてないじゃん。」
「う……ごめんなさい。」
「まぁいいよ。待ってるから、さっさと書いて」
「はい……」
高曇さんは、俺のベッドに座りのんびりと待っている。
俺はペンを回しながら、ゆっくりと書いている。
思うように進まない俺を見ても、高曇さんはのんびりと待っていた。
これもこれで申し訳ない。
「高曇さん」
気になって呼びかけても返事がない。
「高曇さん……?」
ふと見ると、いつの間にか横になって寝ていた。
疲れていたのだろう。なんだかんだで忙しそうな人だったし。
休んでもらうとしよう。起きた頃にまとまった報告書を突きつければいい。
山下さんに教わったおかげで前よりは書けるようになったんだ。
今までの俺がどれだけひどかったのか……。
未だに思うように進まないが、なんとか書き上げていく。
後、一枚。
そんな時に高曇さんが目を覚ました。
「あ……寝ちゃったのか。ごめん氷河」
「いえ、待たせてる俺が悪いんだからいいですよ。それよりも、これ全部できてます。後、一枚なのでもうちょっと待っててください。」
書き上げた書類を渡す。
高曇さんは渡すとにこやかに笑う。
「ん、確かに。じゃ、読んでるから」
「はい。」
また書き上げる作業に戻る。
書類を読みながら、高曇さんが聞いてきた。
「氷河はさ、辛くないの?」
「何がですか?」
ペンを止めて、振り向く。
「ほら、手は動かして。独り言だから。」
「え、すみません」
怒られたので机に向き直る。
「こんなに魔術師に襲われて殺されかけて。生傷だってたえないだろうに。」
「奴らの狙いは俺の神血なんです。別の誰かが傷つくよりはマシだろ。」
「よくそんなこと言えるね。他人より自分が傷つけばいいだなんて」
「そうですか……?」
「自分に治癒術があるから?」
「いえ、見たくないから……ですよ」
「優しいね。君は。」
「結局どれも自分の為なんですよ。俺は、自分の事しか考えきれてないんです。」
「そうかなぁ……。」
ほら、と書き上げた最後の一枚を渡す。
「ありがとう。これからは、ちゃんと書いてよ。忙しいのは分かるけど」
「はい、すみませんでした」
高曇さんが部屋を出る。
机に突っ伏す。
「……疲れた」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上には逆らえない氷河。

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