コラボ第二段。
騙される者と裏切り者。
急転直下。

キャスト
月下美人の不良
瀬戸 氷河
せと ひょうが

自称半分名探偵助手
小城 リリス
こじろ リリス

迷惑な名探偵
黒塚 裕
くろつか ゆう

最強の現国教師
赤空 葉菊
あかぞら はぎく

※瀬戸氷河
しゃきんと空を切った鋏がいい音を鳴らす。
買ったばかりの鋏なら、こんな音するんじゃないか？
しゃきん、しゃきんと繰り返す。
切り取るように。
空間も感情も好意も切り取るように。
リリスちゃんが、いつの間にか隣を歩いていた。
「氷河さん、ダメですよ。そうやって鋏を振り回しちゃー」
「振り回してはないだろ。切ってるだけだ」
「何をですか」
「空を」
しゃきんとまた空を切る。
リリスちゃんは、訳が分からなさそうに首を捻る。
裕がそんなリリスちゃんを笑いながらも、答える。
「屁理屈みたいですよ。大人げない」
「大人げないは傷付くだろ。」
「傷付いてないでしょ」
「自覚してるからな」
「……はぁ。」
体育館でのやりとりを思い出す。
頭のいいやつとの言葉だけのやりとり。
見透かされるのが怖くて強がっていたが、危なかったとは思う。
血のことも魔術のこともバラすわけにはいかない。
裕に一言でも漏らせば気づかれる。
すでに見透かされていたんだ。
確信に変えさせるわけにはいかなかった。
葉菊さんが、後ろから俺に聞く。
「で、犯人とはどうけりをつけるつもりだ？」
「出来るだけ俺のやり方で終わらせたいが、ルールがあるんだよな……」
人を殺せない。
それは俺の世界から入り込んだものでも例外はない。
「探偵がいるんだ。殺人は起こりえる状況だよ。」
「それはなしだ」
葉菊さんに怒られる裕。
「それなら……事故死ならどうかな？」
「事故……か。」
ルールをすり抜けられるなら、試してみる価値はある。
「やってみる、か。」
目の前には屋上への扉。
話している間にたどり着いてしまった。
「……俺の事情だから、お前らはここで待ってろ」
「しょうがないな」
葉菊さんが、裕とリリスちゃんの肩を掴む。
裕は、野次馬根性か見たそうにしてた。
リリスちゃんは、不安そうに俺を見る。
彼らは葉菊さんに任せて扉を開ける。

屋上は最悪の天気だった。
ただの紫の背景が広がる。
魔術師は、大量に積まれた机の上で待ち構えていた。
「あっれー？イメチェン？」
「ま、そんなとこだな」
「そっかー。学生気分はたのしい？」
「案外楽しめるもんだぜ？着てるだけでも、昔に戻れたみたいでさ」
「そうして、武器も置いてきてくれた？」
笑顔で問い掛けた魔術師に答えを見せる。
脅すように仕込んだ武器を一斉に出す。
「甘く見るな」
「そんなに持ってこなくてもいいじゃん……」
「言っただろ？お前は、残虐に殺すって」
「有言実行？真面目だなー……」
「俺は、わりと模範的な本部隊員だと思うぜ？」
「その模範どうなの……？」
魔術師が、山から降りる。
武器をしまい、ハンドガンだけを抜く。
「そうだ。殺す前に聞いといてやるよ。お前はどうしてここに来た？」
「聞いたんだよ。俺のような三流でも神血を殺せる方法があるって」
「誰だよ、それは」
「えー……守秘義務って言われちゃった」
「情報の量まで三流かよ、使えねーな」
机が飛んでくる。
それを軽くかわす。
「そんな嫌なやつだったっけ」
「んだよ、もう少し挑発してやろうか、三流魔術師」
「そんな腹立たしい奴だったっけ……！」
魔術師が複数の机を浮かせる。
それでも嘲笑う。
「挑発に乗るなんて安いやつだな」
「死んじゃえばいいのに……あの子と一緒にさ！」
机が四方から襲いかかる。
それを飛んでかわし、山にのる。
「さて、任務の続きと行くか……。残虐に撃ち抜いて凍らせて砕いてやるよ」
屋上は金網フェンスしかない。
金網が壊れて奴が落ちても、それは事故だ。
そう……事故なんだよ。

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ダークサイドかよってぐらい毛色が違う。

挑発してて余裕そうにしてますが、本当は根に持ってる。
さっさと殺したいぐらいに。

言葉攻めされたかった。