コラボ第二弾。
知らぬまま忘れる学生。

キャスト
月下美人の不良
瀬戸 氷河
せと ひょうが

自称半分名探偵助手
小城 リリス
こじろ リリス

迷惑な名探偵
黒塚 裕
くろつか ゆう

最強の現国教師
赤空 葉菊
あかぞら はぎく

※小城リリス
重い空気のなかで待っていると、氷河さんが戻ってきました。
「全部、終わらせてきた。時期にこの異世界は消えるはずだ。」
そういう氷河さんの表情は、無理して笑っているようでした。
「そうですか。助かります。」
裕さんが、微笑む。
「氷河さん、尋ねたいことがあるのですが」
と、切り出そうとすると氷河さんがストップと止めます。
「悪い、先に着替えていいか？」
「ああ、構わないけど」
裕さんが、先に扉を開けます。
いまだに空間はおかしいことになっています。
その法則を知る裕さんが、生物室へと案内します。
「待ってますから」
「悪いな」
氷河さんが準備室に入ります。
「……制服のが似合っていましたのに」
「そうだな。なかなかいいもんだったのになー」
私と葉菊さんが呟くと、裕さんがくすりと笑います。
「それ、本人が聞いたらなんていうかな」
「いいんだよ、あいつの意思は。私が楽しいか楽しくないかだ」
葉菊さんが、横暴に答えます。
「もう二度と着ないからな」
「わっ！いつのまに」
準備室を出て制服をもった氷河さん。
それを葉菊さんに返します。
でも、葉菊さんは受けとりません。
「いらんよ。お前持っとけば？コスプレになるだろ？」
「コスプレしねぇから！」
「とーにーかーくー、いらん！」
「なら、置いとくからな！」
苛立たしげに近くの机に制服を置く氷河さん。
裕さんが、わざとらしく咳をします。
「氷河さん、いいですか？」
「ん、ああ、答えられる範囲なら答えるぜ？」
裕さんが口端をつりあげる。
「では……、貴方は凍らせる能力の持ち主ですよね？」
少し考えてから彼が答えます。
「そう、なるな」
「では、あの時の傷はどう消したんですか？」
「あれが俺のだと推測したわけか……。なんてことない傷だったから、すぐに血が止まったんだよ。」
「なんてことない……あれだけ椅子についていたのに……」
裕さんが、頭を抱えます。
あの裕さんが苦戦しているのでしょうか。
「……もしかして、治癒能力もあるってことはないですか？」
「んな簡単に傷がなおったら苦労しないだろ。」
言葉をごまかすが、治癒能力は否定されています。
「ありがとうございます。」
「そうか、それなら……」
氷河さんが、私に何かを差し出します。
神社などにある御守りでしょうか。
「リリスちゃん、これやるよ」
「これは……？」
それを受けとります。
「効果は、厄災払い。二度とこんな目に遭わないように」
「ありがとう、ございます。」
それを大事に抱えると、氷河さんはくすりと笑います。
「リリスちゃん。今日みたものは全部忘れるんだ。忘れたほうがいい」
「こんなに印象深い出来事忘れられませんよ」
「忘れさせる。こっちのやり方で」
氷河さんが真面目な表情で、言います。
私はそれが怖くて、一歩後ずさります。
「忘れさせる、って……」
「こっちの能力で、記憶を消すんだよ。覚えててもらっちゃ困るんでな」
「そんなの……」
葉菊さんと裕さんがなにも言わずに、俯きます。
「……氷河さんのことも忘れないといけないんですね。まだ謎は解けていないのに」
「俺はここの人間じゃない。解けない謎もあるもんだろ」
「そう、でしょうか」
「あんまり思い詰めるなよ。忘れちゃえば楽になるんだから」
「……。」
とうとうなにもいえなくなりました。
氷河さんが背を向け、高く指を鳴らします。
すると、男女二人が氷河さんの側に現れます。
「－－－－ぐらいは、しとけよ」
「了解ですよー」
「命令じゃ、ね」
生物室の扉を開けます。
そして、なにも言わずに出ていってしまいます。

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切り取り。
裕は、なんでも言い当てる人。
ばれてんじゃん。