ちょっと雑貨屋みると面白い。
衝動で書いてみた。

クリスマスムードにおされて。

・大事故前日譚・氷騙し
※如月才臥
買い物にいくという氷河に何となくついていくことにした。
なんだか面白そうだからだ。
「そういっても何もねぇからな」
氷河は、メモを見て呆れながらも買い物をしていく。
本部の連中は、頼むのものがどこかずれているからな。
「ドーナツとか自分で買えよ！」
「ああー、木津樹さんならね、何でも喜ぶぜ？」
「ムカつく、あの怠慢指揮者……」
適当に俺が五個選んでやった。
氷河はどうも何がいいのかいまいち分からないらしい。
「恭二や芳示が食ってるのしかわかんねぇんだよな。それから選べって言われても何がおすすめだかもよくわかってねぇ。」
「どうせ安いんだから、適当にひょひょいっていれりゃいいんじゃねぇの？」
「んー、それだとな……。俺、甘いの苦手だし、ちょっとやりにくい。」
「大丈夫だって。押し付ければみんな喜んで食うって」
「そういうものか？」
「俺なら奪ってでも食うけど」
「奪うなよ」

そして、最後に雑貨屋に入る。
小さなツリーとか最も頼まれたものが多いのは、ここらしい。
小さなツリーを選びながら、話す。
「小さくても気分がほしいのかねぇ、小浜さんとかは」
「そうじゃねぇか？俺は別にいいけどな……」
「氷河の癖にそういうロマンスはねぇのか」
「俺の癖にとはなんだよ。何をするわけでもねぇだろ」
「クリスマスなのに？つか、お前らバカなんだから深夜に騒ぐんだろ。聖夜というし。」
「ああ、忘れてた……。」
「お前、25日生きて出られるかな」
「動けなくなってると思うな……。」
ツリーを適当に選んで、一通りのものを揃える。
清算もすんで、戻ろうとするが。
ふとある地点で、氷河が足を止めた。
「…………」
ぼんやりとある一点を見つめる。
覗き込んでみると、そこには『手作りコーナー』の文字が見えた。
「おまえ、まさか」
「悪い、これもってろ」
頼まれたものを一通り押し付けられて、氷河は、ふらりとそこへ向かってしまった。
あいつ面白いぐらいに恭二を意識してんな。
面白そうだから、あとを追いかける。
「最近は、何でも出来るようになってるよな……」
主にお菓子作りのコーナーを見てる氷河。
恭二にでも作ってやりたいんだろうか。
明らかに恋してる思考がどうしようもないな。
「お前とでかけるとほんと面白いな。お前が、最近どうしようもないから面白い。」
「どういう意味だよ」
それでいて氷河は無自覚で、何も変わってないと思っている。
明らかに前よりも恭二を愛してるのに。
アピールするようになってきてんのに。
バカだ。本当にこいつは一周回ったバカだ。
「いやー、作ってやりたいなら作ればー？恭二にさ！」
「恭二に、か……」
本気で悩んでる！？
マジかよ、俺がちょっと背中を押したら実行するんじゃないか？
やべぇ、面白くなってきた！
「恭二なら、お前の手作り喜んで食うって！つか、求めてるって絶対！」
「そりゃ……分かってる……」
ほんのり顔が赤くなってる。
意識しすぎて面白すぎる。
「クリスマスだしさ！プレゼント的サプライズがねぇとさ！」
「プレゼント……」
「ないなら、尚更！」
「…………足りないのは、ラッピングだけだったか」
氷河が無言で、ラッピングの袋とリボンを手に取るとすぐにレジへと向かった。
笑いたいけど、堪えて待つ。
氷河ってこんなちょろかったっけ。
すぐに戻ってきて、俺が持っていたものを受けとる。
「俺が頼まれたんだから持つよ。」
「勝手に持たせたのは氷河だろ」
「そうだけど」
ラッピング類をまとめた小さな袋を見て、嬉しそうに微笑む氷河。
どうしようもなくなっていくというか、そんなんでいいのお前というか。
今日の氷河は完璧な受けだよな。

「木津樹さん！」
「ああー、ありがとうー」
「ったく、ドーナツぐらい自分で買えよ……」
「おや、人間らしい気がするのだけど、どうしたの？恋しちゃってるの？」
「……っな、なんでもねぇよ！」
「ツンデレ……」
「違うんだからな！」

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このどうしようもなさ！