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氷河苛め祭。

フラクタルミラージュ編。

・フラクタルミラージュの魔術師
※天城芳示
「氷河!」
恭二が叫ぶ。
その声でようやく俺たちに気づいた氷河が、こちらを見る。
「っ、う……ぁ……!」
呪いが蔓延しきっているのか、氷河が苦しそうに呻く。
最初の幻影で見たものと同じだ。
腹や肩から血が流れている。
「氷河……!」
恭二が駆け寄る。
俺たちは魔術師を警戒し、恭二を守ろうと牽制する。
「氷河!」
恭二が氷河を抱える。
呪いの魔力が目に見えて流れているのが、気味悪い。
「幻影、じゃ、ないよな……?」
「違うよ!俺は氷河を傷つけようだなんて思わないよ!」
「そっか……そう、だよな……」
安心したように笑う氷河。
だがすぐに苦しそうに呻く。
呪いの力が強い。
「ぐ……っあ……!」
「氷河、氷河……っ!」
恭二が涙をこらえる。
恭二はこういうのに弱いんだ。
「きょう、じ……こんなの、すぐ収まるから……さ」
「なに言ってんの。その呪いは君を殺そうとしてんだよ?」
魔術師が、容赦なく恭二を追い詰める。
「黙って、ろ……!こんなの……俺は、っ!」
「氷河……。」
恭二はもう泣いていた。
何を思い付いたのか氷河の首筋に、歯を立てる。
「氷河、その呪い……俺がもらうよ」
「何を……ッ!」
恭二が氷河の血を吸う。
見てわかる呪いの魔力が恭二にとりつく。
「っ、ぐ……あああああああっ!」
恭二が絶叫する。
首筋から離れ、踞る。
だが、すぐに氷河の手を握る。
「痛い……、こんなの耐えらんねぇ、じゃん……!」
それでも恭二は、氷河から血を吸おうとする。
「恭二!?もう、いいからっ!」
少し楽になったのか、氷河が叫ぶ。
また恭二の歯が氷河の首筋に刺さる。
「だって、氷河はずっとこんな痛みを抱えてたんだろ……!?」
「俺は……平気だったから……っ。恭二が請け負わなくていいんだよ……!」
氷河も壊れてきたのか、目尻に涙を浮かべる。
それを恭二が抱き締める。
「もう、そんな堪えんなよ……、みて、らんねぇよ……っ!」
「…………。」
動くなら今しかない。
というかもう限界だ。
「カースオリオンはどこにいる?」
俺は魔術師のこめかみに銃口を押し付ける。
魔術師は、抵抗もなく答えた。
「もうすぐ、出てくると思うよ。あいつは、呪った相手の死は見たがるから」
「そうか、それで十分だ」
用済みだ、と撃ち殺す。
丙が氷河と恭二の二人を支える。
ふと、丙が氷河の腕の傷を見る。
「氷河……これ、俺の、だよね?」
見えたのは、糸が深く埋まって切れたような傷。
「……丙でも幻影だろ」
「幻影でも、俺が傷つけたんだよね……ごめん。」
申し訳なさそうに謝る。
そんな丙に苛ついて、俺は乱暴に氷河の腕を取る。
「んなこといったら、俺は絶対氷河をボコボコにしてるだろ。なぁ?」
「……分かってんな。俺を追い込んだのは芳示だよ。」
「最後には蹴っ飛ばしたな。悪かったよ、氷河」
「いいって、喧嘩で芳示に負けるのは慣れてるし」
「ほほう、殴られなれたか?」
「二度はないけどな」
俺と氷河でくすりと笑い合う。
「氷河……っ」
ぐらりと恭二が崩れ落ちる。
「恭二!?くそっ、俺の呪いか!」
「帰るぞ丙!」
恭二を抱えてこの空間を脱出する。

------------------
傷跡はあまりにも大きかった。


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