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コラボ中間点。

零雨様の『最もシリーズ』と『本部シリーズ』がコラボ。
零雨様に書いて頂いた噂の裏側。

キャスト
東西南北紡(よもひろつむぐ)
スペースチルドレンの魔術師。
恋賀棺月(れんがかんづき)
魔術大国の亡霊。


「やあ、どうしたんだい?」
ふわりと紡の前に恋賀が現れる。
「報告。先生に言われたから」
「ハハ、そーかそーか。律儀な人だね」
恋賀は浮いていた体を地面に置くと、楽しそうにステッキを振った。対する紡はそれを無表情で眺めている。
「ボクの神隠しは本部の人間によって終わらされてしまった」
「……本部だと?」
恋賀の体がピクリと震えた。
「何故君達の世界に本部の人間が居るんだ?」
「ボクが呼んだのさ。神血をね」
「それは……」
「もちろん。先生が言ったから」
まるで義務であるかの様に無理矢理口角を吊り上げて笑う紡に、恋賀は少し苛立たしげにステッキで地面を叩いた。そんなことをしたって彼が変わらないのは彼も承知してはいるが、ムカつかずにはいられないのだ。
「インセインハート……洗脳の魔術師だったか。あいつは一体何を考えているんだ」
「そんなの。ボクに聞かれたって困るよ」
ふう、と恋賀はため息をついてみるがそんなのはポーズに過ぎない。何を考えているのか分からないのは洗脳の魔術師だけじゃなく、全ての魔術師に言えることだからだ。魔術師なんてヤツらはいつだって自分達の好きな様に、やりたい様にやる生物だ。
「スペースチルドレンの魔術師、ええと、君は名前があるんだっけ」
「東西南北。東西南北紡」
「そうそう、東西南北君。君は何を考えているんだい?」
「何を。って」
「君も彼も魔術師のクセにちっとも魔術師っぽく無いじゃないか。名前を持ってるのも例外中の例外だし……君の目指す所は何処にあるんだ?」
紡の魔術――学園では能力と言ったりと様々だ――は他の魔術師と違い、完成品として扱われている。物事が至らない時はいつだって紡の未熟な使い方のせいだ。自身の力の先を求めようとしない紡は魔術師として別に何か求める物がある筈だと恋賀は踏んでいた。
紡は笑った顔をいつもの無表情に戻し、顔に手を当てる。そうして少し考えて、眉尻を困った風に下げた。
「学園を盛り上げる。かな」
「……はあ!?」
恋賀は目を丸くして叫んでしまった。ステッキを落としそうになって慌てて握り直す。
「釣木学園は皆が何かしらの事件を起こして解決して。とても皆楽しそうだし。ボクも楽しい。だからボクもそういう事件を起こして学園を盛り上げたいと思っているのさ」
「…………」
恋賀は返事に詰まった。魔術師は自分の欲の為に、欲求を満たす為に魔術師になるのだ。なのに紡の目的は違う。回りまわって己の為になるにしても、行動それ自体は他人の為の行動ではないか。その思いを知ってか知らずか、紡はフッと微笑む。
「事件は起こったら解決されるものだよ。今回は本部の人間を呼んだけど。あのまま放って置いても学園の人間がいずれ解決していた」
「…………」
「悪役ってのは。そういう物だ」
音もせずに紡の後ろの地面に穴が開いた。中には至って普通の空間が広がっており、それはまさしく紡の空間を繋ぐ能力によるものだと言えた。
「これでボクの用件は終わった。アナタはボクに何かあるかな」
その穴に片足を入れてから、思い出しように振り返って質問する紡に恋賀は苦笑いして首を横に振った。
「……いいや」
「そうか。じゃあね」
紡は軽く手を振ると向こうの空間へと行き、あっさりとその穴は閉じてしまう。
「悪役なんて、酷い言い様だ」
恋賀もそう呟けば霞のようにその場から消えてしまった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
異世界の魔術師トーク。
魔術師の発祥はこちらなのですが、学園というシステムを取り込んだ魔術師もまた厄介という話。

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