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夜は夜で忙しいから、今甘い話を書いてみる。

欲求不満なのは、あたしだぜ!


・休憩中
※瀬戸氷河
治癒をしてから部屋に戻りベッドに座る。
そういえば、ここしばらく恭二に会っていない。
恭二は滅多にない長期の任務で出掛けているから仕方ないのだが。
あの煩いけど心地いい声も聞けず、安らげるぬくもりに随分触れていない。
「恭二……」
ぽつりとその名を呼んでみる。
返事は当然帰ってこない。
寂しい、んだろうな。
俺は恭二のものなんだから、主人がいなきゃ寂しいものだ。
恭二の何もかもがない。
「きょうじ……」
首筋の後に触れながら、また呟く。
口にしていなければ忘れてしまいそうだ。
本人がいなければ名前を呼ぶことはないのだから。
そう、いなければ呼ぶことはない。
気づいてしまった。
俺がこんなに意識して恭二の名前を呼んでいるってことは。
「よっぽど、依存してるってこと、じゃねぇか……」
顔が熱い。
気づいてしまった事が恥ずかしい。
顔を隠すように踞る。
ああ、どうかしている。
俺はどこまで恭二が好きなんだか。
「おい氷河」
「ほ、芳示!?」
不意に芳示に呼ばれて顔をあげる。
「……お前、大丈夫か?」
「大丈夫って何が?」
芳示が俺の額に手を当てる。
「顔真っ赤だぞ。熱でもあんのかと思ったが……そうでもねぇな」
「な、なんでもねぇって!心配すんなよ、芳示!」
慌てて取り繕うが、更に顔が火照るだけだった。
芳示に何気ない事をされただけなのに。
「お前がほっとくと無茶ばっかするからだろ」
「そりゃ、悪いと思ってるけど、さ」
「……あ」
芳示が急ににやりと笑う。
「お前、恭二がいないから寂しくなってきたんだろ?」
「恭二!?ち、違うって!」
恭二の名を出され、動揺してしまった。
そこを更に突かれる。
「ははーん、図星かよ。んで、寂しくなったから傷痕の痛みに安堵しながら名前を呼んでましたってとこか?」
「お前の勘の良さはそろそろ杜矢さんに匹敵するな!」
完全に見抜かれた。
観念して、本音をぼやくことにした。
「恭二、って俺は何気なく呼んでたけどさ……いなかったら、名前って呼ばなくなるんだよな。意識しないと呼べなくなっててさ。」
「……氷河」
「ん?」
「ほんと、どうかしてるよ、お前。そんなに恭二が好きだったとはな……」
「ちょ、おい、芳示!」
「ツンデレなのが好きだーって恭二騒いでたけど、今のお前デレデレだもんな。」
「デレデレ……って、なぁ!?」
そこまで惚れ気に語ってたか、俺!?
「お前はツンデレの意味を勘違いしてるわ。本来は回りに人がいるとツンツンしてて、二人きりになると急にデレデレすんだぞ。お前、逆だもん。恭二にツンツンしてどうすんだっつの」
「な、な……っ!」
恥ずかしくなってきて、言葉が出てこない。
ツンデレだのなんだの……!
また蹲る。
「おい、どーした?」
「もう……俺は恭二に依存してんだから……いいだろ、それで……!」
「……意外と弱い?」
「だから、これ以上変な話すんな……!どうにかなっちまうだろ……!」
「ああー、自覚しちまうのが怖いんだな、よし。」
なにがよしだよ。
芳示はからかうように問いかける。
「恭二が好きなんだろ?」
「好きだよ--どうかしてるって思うぐらい……」
「で、いないから寂しいんだろ?」
「決まってる……!声だって随分聞いてねぇし……」
「抱かれたいとか?」
「抱かれ……っ!?いや、まぁ、そう、かもな……。一肌恋しいというか--な。」
「吸血されたいとか?」
「ああ……心配なんだよ、恭二が餓えてねぇかなってさ……。」
「お前的には?」
「じわりとした……あの痛みが欲しい……。もう、耐えきれねぇよ……。」
「会いたい?」
「きょうじ、いつ帰ってくるんだろうな……。恭二……。」
「………………」
「芳示?」
「今の、録音した」
「は?」
顔をあげると、芳示がいつの間にレコーダーを持っていた。
芳示までも恥ずかしそうにしている。
「いや……恭二に聞かせてみようと思ったんだが……想像以上で……」
「…………寄越せ」
「嫌だ。」
「いいから、寄越せ」
「恭二に聞かすんだよ」
「だーから、それを止めろって言ってんだよ!つか、データ消せ!」
俺が手を伸ばすと、芳示にひらりとかわされ再生ボタンを押された。
芳示の最初の質問から音声が流れる。
「うあああああああ!返せ、寄越せ、消させろ!」
羞恥心が爆発して、叫ぶ。
芳示が大笑いしながら、俺の猛攻をかわしていく。
「あははははは!ぜってぇ聞かせてやる!」

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欲求、不満だったんですよ……!

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