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ばっさりなはなし。


・ソードブレイカー
※天城芳示
俺は、見てしまった。
氷河が剣で斬られるところを。
胸辺りをばっさりと斬られ、倒れる氷河。
紅い血溜まりを作るあいつのそばにいられなかった。
俺がもう少し早ければ、あいつを庇ってやれたのに。
氷河を斬った野郎は、横になっていた氷河の脇腹を踏みながら、剣の切っ先をあいつの目の前に見せる。
「くそ、あの野郎……!」
氷河がまずい。
殺されちまうとかそんなんじゃなくて。
あいつはレイゼーに斬られたトラウマがあんだよ。
剣が苦手な理由はそこにある。
言うことを聞かない身体を無理に動かして、野郎を突き飛ばす。
「く、っ……!」
やはり受けたダメージが多かったのか、膝をつく俺。
「ほうじ……!」
起き上がり血溜まりに座り込む氷河。
傷はある程度自分で治してしまったようだが、それでもまだ残る斬られた後が痛ましい。
「おっかしーよな……。こんなに明るい色した血があるかよ……。」
氷河は自分の血を見つめながら、呟く。
「だから、嫌いなんだ。神血なんて。芳示を巻き込んで怪我させるこの血が……嫌いだ……。」
白い身体に映える紅。
こんなこと考えたくないが、とても似合っているんだ。
美しいとさえ思えてしまう。
氷河は苦しんでいるのに。
「氷河」
「ん?」
「黙ってろ。あいつしめてくるから。」
「お前だって、ぼろぼろじゃんかよ……」
「治してくれんだろ?」
「出来る限りは、な……」
そう言いつつも、氷河が俺に手をかざすだけで傷はほとんど回復した。
「よし、そこにいろよ」
それだけ言って、地を蹴った。

※瀬戸氷河
綺麗にばっさり斬られるとは思わなかった。
全て俺の油断が招いたことだ。
俺は俺の嫌った血の上で芳示の戦いを見ている。
紅い血。俺に流れる神血。
人は選ばれた血だとか神の代わりだとかいって持て囃す。
選ばれたくも、神の代わりにもなりたくなかった。
俺のせいで大事な人が、助けてくれた人が皆傷付いていく。
俺はそれがたまらなく嫌だった。
こんな血のどこがいいのだろう。
何が美しいのだろう。
馬鹿げてる。
「どいつもこいつも……馬鹿げてる」


-------------------
きられるだけのはなし。

これでいいのか、おい。

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