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友人に捧げた入門者向け本部シリーズ。短編です。
全20話で、全員分の日常が綴れたので、こちらにも上げておきます。

神崎、千早編。

※篝祇亜須磨
次は神崎さんの部屋だ。
科学の研究者である神崎さんは研究室でなく、自室も研究所らしくなっている。
雑に積み上げられた本に、机には計算式を書きなぐった紙が散乱している。
部屋に入った時は、夜月と二人で白板に書かれた計算式を睨んでいた。
「あれ?亜須磨じゃないか」
「え、亜須磨だって?」
夜月が俺に気付いてくれて、声をかける。
それでようやく俺に気付いた神崎さんは、軽く俺を見て確認しただけでまた白板に視線を戻す。
「何してたんですか、二人とも」
「新しい仮説が出てきたから検証中。理論から固めねぇと実験出来ないだろ」
「僕はその手伝いだよ。」
「休みなのによくやるね」
「科学者に休みはねぇよ。思いついたら即理論固め、そんで実験。」
神崎さんは魔術をライバル視している。
技術はどう見てもかつて大国を繁栄させた魔術の方が上。
だからこそ、焦りがあるのだろう。
夜月は、情報担当だから神崎さんと仕事をしていることが多い。
そのよしみで付き合えるのだろう。
「で、用は?亜須磨が用もなしにこんな所に来るわけないよね」
「ああ、白河さんから伝言。明日、12時までにラウンジに集合だってさ」
「12時ねー、分かった分かった」
生返事で答える神崎さん。
不安になってきたので、夜月に耳打ちする。
「ちゃんと神崎さん連れてこいよ?」
「大丈夫だって、これでもしっかりしてる人だから」
夜月も困ったように笑う。
「おい夜月に亜須磨!こっちの式どう思うー?」
「なんで俺にも聞くんですか!?」
「そこにいるからだろー?斬新なアイディアは何も知らない人から生まれるんだよ」
「それ、前にも似たような話を聞いたんだけど……」
神崎さんが白板に計算式を書きなぐりながら、俺に聞く。
その数式も神崎さんがやりたいことも、俺にはさっぱり分からない。
なのに、何を求めているんだろうか。
「いや、亜須磨には別の仕事があるな」
「え?」
急に神崎さんが、振り返り俺を指さす。
「亜須磨は俺の研究の実験に付き合ってもらうんだからな!」
「げっ……そう来ますか……」
神崎さんの実験は、無茶苦茶な要求をしてくることが多い。
俺たちのような前線部隊を研究に協力させているが、全員次は嫌だと言った。
俺だって二度と神崎さんの実験に付き合いたくないよ。
俺が付き合った時は空間論の理論証明だとかで、別次元だかに連れて行かれて死ぬかと思った。
これだけ言うとファンタジーすぎる話だよな。
神崎さんの専門分野が空間論というファンタジーじみたものだからなのだけれど。
「亜須磨なら大丈夫だって」
「いやいや、俺丈夫じゃないからね。」
夜月がくすりと笑う。
他人事だからってひどいよな。
「じゃ、俺行きますね」
「おう、期待しとけ亜須磨」
「……覚悟しておきます。」
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