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友人に捧げた入門者向け本部シリーズ。短編です。
全20話で、全員分の日常が綴れたので、こちらにも上げておきます。

木津樹、来鈴、緋月編。

※篝祇亜須磨
次は木津樹さんの部屋だ。
この組織の参謀であり、支部の隊長だった男だ。
俺はこの人が苦手だ。
なんだかって?それは見てみればわかる。
木津樹さんは恐らく執務室だ。
白河さんに回すまでもない雑用は全て彼が引き受けているからだ。
……正確には木津樹さんの秘書である彼女が、だけど。
ドアをノックすると来鈴さんが開けてくれた。
「あら、どうかしましたか?」
「白河さんから伝言を頼まれてしまいまして」
「とりあえず入って下さい」
部屋に入ると、木津樹さんと緋月さんが書類が格闘していた。
木津樹さんならともかくなんで緋月さんがいるのだろう。
彼は書類作業に向いているタイプじゃないのに。
「おい亜須磨!来たんなら手伝え!」
緋月さんが開口一番俺に怒鳴る。
ものすごく苛立ってるなぁ。
「あー、亜須磨じゃないか。手伝ってくれるのかい?」
木津樹さんが珍しく手を動かしながら俺に声をかける。
木津樹さんは普段何もしない人だ。
雑用は大体来鈴さんにまかせっきりで、自分は甘いお菓子を食べてばかりだ。
来鈴さんのストレスは当然溜まっていく。
「休みの日ぐらいは働いてもらわないと困ります」
「働いてたじゃんかー」
来鈴さんの笑顔の怒りが怖い。
木津樹さんも感じ取ったのか、愚痴愚痴言いながら手を動かす。
「なんで緋月さんも巻き込まれてるんですか?」
「ふらっと立ち寄っただけなのに、これだよ!おい、木津樹、これまとめたからな!」
「助かるねー、そのまま全部やってくれたら」
「誰がやるか!」
木津樹さんの言葉を遮って、断る緋月さん。
来鈴さんがあの二人を無視させるように強引に先ほどの内容を聞く。
「で、白河さんの伝言ってなんですか?」
「ああ、明日12時までにラウンジに集合ですとの事です。」
「分かりました。ありがとうございます、亜須磨」
「あ、亜須磨ー。おいしそうなものを持っているねー。」
木津樹さんがずっと持っていた茶葉に目を付けたようだ。
来鈴さんがあからさまな舌打ちをする。
「木津樹さん。お茶の時間はまだまだですよ」
「分かっているさ。それにその茶葉は僕に渡るものではないだろう?」
「ええ、小浜さんから宮代さんと氷河さんの分しかないですよ」
「宮代君と瀬戸君ね……瀬戸君の分はいらないと思うけどなぁ」
「味がわかるのは宮代さんか氷河さんぐらいじゃないかと言っていましたよ」
お茶やらお菓子やらに強いこだわりを持つ人は少ない。
俺だって違いは全然分からない。
こういうものにこだわりを持つのは、お菓子作りが得意な宮代さんに嗜好品が好きな氷河さんぐらいのものだろう。
木津樹さんと来鈴さんも人付き合いの多さから理解は出来ると思うけどね。
「俺はいらねぇから、手伝わないならさっさと帰れ。こいつの気が散るだろ」
「君だけだよ、上司にこいつとか言えるの」
「うるせぇな!さっさと手を動かせサボり魔!」
「はいはい」
緋月さんと来鈴さんという怖いお目付け役がいるから今日は一日中仕事をしていそうだな、木津樹さんは。
俺は大人しく部屋を出た。
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